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ウルトラマンブレーザー 第17話「さすらいのザンギル」感想

彷徨する魂と共に

唐橋さん、三大特撮制覇おめでとうございます!

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  • 垣根を越えてわかりあう瞬間

 前回に続いてタガヌラーが出現したもののすぐに倒されるところから始まった今回のブレーザー。他にもこれまでの登場怪獣が丸で幽霊のような状態で現れる怪現象が起こる中、ゲント隊長に接触してきた謎の宇宙人・ザンギルとの共闘が描かれました。最初こそ幻影みたいな怪獣とそれを倒すザンギルに自作自演の匂いを感じましたが、話が進む中でザンギルに対する印象が大きく変わり、最終的には彼に愛着を覚えることになりましたね。

 何といってもゲント隊長に協力を持ち掛けてきた際、ザンギルが喫茶店で見せたお茶目な一面に惹かれました。地球の文化を学んだ結果時代劇の侍のような口調になってしまった点で既におかしいですし、コーヒーに「美味しくな~れ萌え萌えキュン♡」とか言うシーンは何とも愉快。「日本文化をズレた形で間違えている外国人」そのままの趣きが、ザンギルを悪い奴ではないという証明になっていたと言えます。おまけに協力を拒む隊長を無理やり投げ飛ばして現場にこさせる強引さもあって、その辺りがかえって彼の愛嬌になっていましたね。

 そんなザンギルに対するゲント隊長の態度の変化も印象に残りました。最初こそ宇宙人ということで彼を警戒していたものの、徐々に裏表のない様子に態度を軟化させていくのが微笑ましかったです。中でも最初はザンギルに名乗らなかった名前を、彼との共闘を終えた後に教えるくだりには感動しましたね。組織に属する者としての側面もあって宇宙人に心を開かなかった隊長ですが、最後にはヒルマ・ゲントという個人としてザンギルを認めてくれたことがわかります。

 それ故にザンギルが登場時点で既に幽霊だったこと、役目を終えて成仏していったことにほろりときてしまいます。疑ってきたが故の申し訳なさもあるのですが、それ以上にここまで好意的に仲間になってくれた相手が消えてしまったことに言いようのない悲しさを覚えました。ザンギルがいなくなった席に置かれたコーヒーと、それを見つめるゲント隊長の哀愁漂うラストは嫌でも目に焼き付いてしまいます。最初は怪しい宇宙人に劇中の隊長同様不信感を抱いていたものの、最後には地球人・宇宙人の垣根を越えた信頼関係を魅せてくれる素敵な回だったと思います。

 

 

  • 救われぬ魂に救済の武士道を

 改めまして、今回登場した宇宙人「宇宙侍 ザンギル」は本作では初めてとなる、ウルトラマン以外の味方側の宇宙人。巨大戦でウルトラマンと共闘してくれたのは『デッカー』のグレゴール人グレース以来でしょうか。刀の先端のような頭部と右手の巨大な剣など見た目こそ凶悪な宇宙人に見えますが、上述の通り本質は割と親しみやすい人物のようです。地球で活動するために擬態した姿(演じているのは今回三大特撮の出演を制覇した唐橋充さん!)も怪しいものの、裏を返せば古風なものが好きなズレてる人に見えるかも……?また一方で「顕現石(けんげきせき)」なるもので彷徨える怪獣の魂を実体化させて斬り、成仏させる使命を帯びているというのもどこかクールな印象を受けます。

 反して戦闘ではその見た目通り、巨大な右手の剣で相手を斬る侍らしい戦いぶりが特徴的。さらには頭部の刃も使うことが可能で、さながら人間ミサイルのような頭突きで上空のニジカガチを打ち落とすシーンは迫力満点の一言でした。途中真っ二つになったニジカガチに乗っ取られる醜態を晒してしまったものの、最終的には解放されて共に敵の魂にトドメを刺せたので情けないという印象はあまりなかったです。むしろブレーザーのチルソナイトソードに霊体を斬る力を与えるなど、協力を惜しまない様子もあって好感が持てる味方キャラとなってくれました。

 また余談ですが、戦闘狂だった頃のザンギルを倒して「108の怪獣の魂を成仏させる」使命を与えたという剣の達人が『メビウス』に登場した宇宙剣豪 ザムシャーだと思われる描写には驚かされました。(回想シーンにはチラッと映っていただけですが、ザムシャーの存在を知っている人ならそれだけでも十分わかるのが面白いところ)メビウスに登場するザムシャーは既に亡くなっているので、別次元のザムシャーなのかといった想像が捗ってしまいます。何より強さばかりを求めていた彼が、同じような状況にいたザンギルを救ったことに感慨深いものを覚えました。ザンギルが既に幽霊だった事実を考えると、彷徨っていた彼のために、ザムシャーはこの使命を与えたのかもしれませんね……

 

 

  • 怒れる神、虹を纏いて再び降臨

 そして今回ブレーザーとザンギル相手に戦った「天弓怪獣 ニジカガチ(怨霊態)」も忘れてはいけません。顕現石の力を奪って怨霊として現れた時はまさかあの強敵とまた戦うの!?と度肝を抜かれましたね。以前ヨコミネ教授によって誘導されていた頃の意志がなさげな様子とは異なり。明らかに人間に対する攻撃性をむき出しにした状態で街を襲っていたことにも衝撃を受けました。

 ニジカガチ再来ということでその強力な力は健在。それどころか実体と霊体を使い分けて相手の攻撃をすり抜けたり、炎を纏って突進する能力などを得てよりパワーアップしていました。しかもブレーザーの初手レインボー光輪を破壊するシーンも印象的。かつて自分を倒した技の対策をしてきたということでしょうか、ブレーザーに対してやたら攻撃的になっているようにも見えましたね。そのうえ真っ二つに斬られたかと思いきや今度はザンギルを乗っ取ったりと、異様な粘り強さまで発揮。アースガロンの援護とブレーザーの峰打ちでザンギルは解放されたものの、あのままだったらどうなっていたことかとゾッとさせられます。

 総じて再登場しても強敵だったニジカガチ。こういう再登場怪獣は大抵あっという間に倒されがちですが、こいつはむしろさらに厄介になって倒し辛かったというイメージです。何より以前は人間の考えを超越した超然的な存在に見えたニジカガチに、怨念に満ちた悪霊のような意志が見え隠れしていたことに恐怖を覚えます。神から怨霊になってしまったものの、得体の知れないという点ではある意味で変わっていないかもしれませんが。

 

 

 さて次回は謎の怪獣・イルーゴが街全体に謎のガスをばら撒くというバイオハザードが発生。それにより人々の生活が脅かされ、SKaRDも待機を命じられるなど重苦しい状況に追い込まれるようです。中でも予告に映っていたサトコさんとジュンくんがマスクをしているシーンに目が留まりますね。マスクとステイホームが標準となっていた幻日での時期を思い出させてくる光景に、どこか恐怖と緊張が走ります。この危険な事態をどうやって解決していくのか気になるところです。

 

 

 ではまた、次の機会に。