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デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編(デュエル・ウォーズ) 第38話「掌握!闇の波動」感想

邪悪な誘惑を断つ心

ウィンの心を仲間の切り札が守っているの、いいよね……!

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  • 恐ろしき邪神の企み

 新年に入ってから最初のデュエマWINは邪神くん視点のストーリー。前回ウィンの母親の話が出てきたことで、彼の闇の根源が母にあると見た邪神くんの暗躍が始まることになりました。ウィンの母親に会いたい感情を揺さぶろうとする態度は実に悪辣で、さながら悪魔のささやきの如く描かれていたのが印象に残ります。ウィンとの楽しそうな日常パートのせいで忘れそうになりますが、このジャシンが如何に邪悪で恐ろしい存在であるかがよくわかる回だったと思います。

 ただまぁ、前半は例によって上手くいかない邪神くんが見られたのでそこまでの危機感はありませんでした。ウィンに明らかに邪険にされたりして企みがことごとく阻止されていく様子はいつも通りのギャグ風味でおかしかったです。また「邪神くんはウィンの言うことに逆らえない」という設定が久々に出てきたのも印象深いですね。ジャシンは間違いなく危険な存在ですが、ウィンなら問題なく制御出来ることが改めて伝わってきたので安心感も得られました。

 邪神といえば配下のアビスロイヤルたちのギャグ描写も面白かったですね。冒頭から早々正月の催しを楽しむ様子に早くもほっこりさせられました。(デュエマで使われないことを嘆くラギルップに哀愁を覚えましたが)他にも邪神くん相手にボケをかますトートロットなど、今回のシリアスになりそうだった空気を和らげてくれていた印象を受けます。ジャシン帝率いるアビスロイヤルは世界の支配を目的としている侵略者ですが、こういった場面で愉快な連中である二面性を見せてくれるのは個人的にもとても好感が持てます。

 

 

  • 少年の心の強さと仲間の絆

 さて、そんな邪神くん相手に徹底して拒否し続けたウィンの心の強さも見逃せません。母のことを挙げられて誘いを受けても思い通りにはさせない姿勢は相変わらず見事といったところ。後半は母に対する想いを隠しきれずに邪神くんに付け込まれてしまったものの、結果的に突っぱね続けたことには感嘆させられます。一方でラストの「俺にはパパリンやみんながいるから」と会わない選択を取る姿からは、邪神くんへの抵抗と母への未練を断ち切ろうとする立ち振る舞いが見えてどこか切なくなりましたね。(そのシーンではウィンが表情を見せないままフェードアウトするのも意味深……

 またウィンの心の中の世界でジャシン帝の闇のマナを吸収する描写には度肝を抜かれました。自分の闇を制御するだけでなく、相手の闇すらも手にしてしまう力を持っているのは流石に予想外です。それを可能にしているであろうウィンの腕輪と、胸のペンダントの役割にも注目が止まりませんね。この2つのアクセサリーがどんな役割を持っているのか興味が尽きません。

 

 あとはやはり心の中で登場したクリーチャーたちの描写が注目ポイント。ウィンの奥底に眠る樹木(「記憶の木(メモリーツリー)」とかそういうものでしょうか)の前にシールドが5枚貼られた時は吹き出してしまいましたが、そのシールドからそれぞれウィンの仲間の切り札たちが出てきた時は胸が熱くなりました。箇条書きにすると……

  • 聖カオスマントラ》=カレン
  • 音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》=ウガタ
  • 電磁魔天エスザナドゥ》=ケンドラ
  • Drache der'Zen》=マズキ?(恐らく2話のイッサリスペクトの時か?)
  • 富轟皇 ゴルギーニ・エン・ゲルス》=ボウイ

 といった感じ。マズキはともかくとして、基本はどれもウィンが見てきたデュエマさいこークラブのカードであるのが良いですね。ウィンのイメージに過ぎないものの、彼の心を仲間たちが守っていると思うと中々にエモいです。ジャシン帝には敗れ去ってしまったとしても、ウィンたちの関係の深さが感じられる素敵な演出でした。

 

 

 といった感じでウィンと邪神くんの心理的攻防が描かれましたが、この2人の関係性の面白さがよく出ている回だと感じました。一応は使い手と切り札という関係に収まっているものの、邪神くんは何かあればウィンを貪って君臨する気であることは明白。それをあらゆる手で抑えつけるウィンもまた、邪神くんと仲良くしているもののそれ以上の関係に踏み込もうとしないように見えました。隙を見せれば裏切られる可能性を孕み、友人のようでいてそうとは言い切れない奇妙な間柄こそ両者の魅力といえるでしょう。

 他にもウィンの母親に関しても話しておきたいところ。今回ウィンのイメージ映像で彼に声をかける母親のシーンが描かれましたが、EDのキャスト欄でウィンの母親役の声優が一切クレジットされなませんでした。他の声優さんの兼役という可能性もなくはないのですが(ちなみに今回出演した女性声優はトートロットと学園長くらいしかめぼしい人がいなかったり)、どうしても何かあると疑ってみたくなりますね。未だに詳細が不明なままの母親の情報をひた隠しにする理由は何なのか、こちらにも期待してしまいます。

 

 

  • 意味深・不穏なOP&積み上げたものを語るED

 さて新年に入ったということで、毎クール変化するOP&EDも3度目の一新をすることになりました。決闘学園編がクライマックスに突入したこともあり、これまでの集大成ともいえる盛り上がりを魅せる曲であることが印象に残ります。

 まずOPのタイトルは「戦いが消えた日」。10人組のメンズアイドルグループSAD originals.さんが歌うこの曲は静か、かつ厳かな曲調が特徴的。これまでの本作のOPも静かな印象でしたが、今回はそれに不穏なリズムも加わっています。さながらこの先起こる大きな戦いの前触れのような、逃れられない苦難を謳っているかのようです。映像に関してもカイザの新ボルシャックや強烈な笑みを浮かべるリッパー教授、そしてウガタらしきシルエットとその後ろに立つ巨大なクリーチャーの影が目に留まりました。

 またこのOPは歌詞がやたら意味深である点も見逃せません。難解なところもあって理解し辛いのですが、「戦いを終わらせるためには戦って強くならなければならない“矛盾”」を語っているような内容となっています。その過程で起きる様々な出来事、結果的に戦いが巻き起こってしまう苦悩といったものを感じさせてきます。デュエルによる戦いの中で相互理解を描いてきたデュエマという作品の曲としてはかなり異質に思えますが、これが果たして何を意味しているのか非常に気になりますね。

 続けてED「Abyss-Over」を歌うのは人気歌い手の超学生さん。特撮ファンの人ならばアマプラ配信の『仮面ライダーBLACK SUN』の主題歌、または同じニチアサでデュエマアニメの1時間後に放送している『王様戦隊キングオージャー』のスパイダークモノスのシステム音声を担当している人といえばピンとくるでしょうか。スパイダークモノスー!!激しい曲調と超学生さんのガラガラとした声質が印象深い曲で、「勝ちたい」という衝動に従う本能を語っているように感じました。欲望(デザイア)や絶望、渇望といった“望”を盛り込んでいるのも面白いですね。

 そして映像は各キャラの過去の名場面を盛り込んでいるのがポイント。ウィンたちのこれまでの日々をまとめているかのような映像で、ここまで見ている身としては感慨深いものを覚えます。何よりラストに映った全キャラの集合写真(とアイキャッチSDキャラが描かれたビックリマン風シール)が素敵ですね。ウィン編が始まってからまだ1年と少ししか経っていないものの、そんな短い中でも積み上げてきたものがあることを感じさせてくれる内容となっていました。

 

 

 そして次回はマイハマ学園で生徒や教師が無気力になるという謎の事態が発生。予告では「ゾンビのよう」と説明されるほどの状態らしく、学園に何か異常が起こりつつあることが伝わってきます。デュエマさいこークラブとD4がそれぞれ事件の解決に動くものの、事態が収束するかは難しそうですね。また予告映像を見る限りウィンがリッパー教授とデュエマをするようですが、どんな展開が待っているのか……

 

 

 ではまた、次の機会に。