この戦いの主役は
リッパー教授、あなたのアドバイスでかえってウガタがヤバいことになっていません?
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- 心を焦がす皇子との楽しい決戦
ウィンとカイザの激戦が続くデュエマWIN。前回に引き続き怒りに燃えるカイザに対し、ウィンがボルシャックや彼の母親への想いを語る場面が印象に残りましたが、それ以上に「楽しむ姿勢」をより強調していた様子が目に留まりました。負けて悔しくてもまた戦いたい、そんなデュエマが大好きだという気持ちをウィンが語ってくれるのが何とも喜ばしかったです。ずっと感じていたカイザの張りつめた心を解きほぐすのは、やはりその“楽しさ”にあるのだろうことが読み取れます。
個人的に嬉しかったのはカイザの積み上げてきたものや仲間たちを肯定してくれるような描写。ウィンが「お前が集めたんだぜ」と言ってくれたように、マイハマ学園を守ってきた行いがあったからこそ自分たちが楽しめた……感謝とも取れる言葉をカイザに送るシーンにグッときました。加えてボウイたちD4側の応援がこれまた素敵でウルっときましたね。切り捨てたと思っても仲間が付いてきてくれた辺りからも、カイザが決して孤独ではないことが強調されていたと思います。
カイザも前半こそ憤ってばかりに見えましたが、徐々に感化されただウィンと競い合うような態度になっていくのが見て取れましたね。(敗北が確定した時の悔しそうな笑顔がここすきポイント)上述の過程を経て、カイザの求めていた太陽=自分の居場所は目の前の仲間たちにあったことに気付く瞬間は感動的でした。その一方で相棒の鉄仮面(ボルシャック)が力尽きて消滅してしまったのは結構ショッキング。ここまでの暴走の仕打ちとしては少々重いような気がするので、カイザに何らかの救いがほしいところです。
あとはやはりデュエマパートの豪快なバトルが大きな見どころ。《アビスベル=覇統=ジャシン帝》と《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》がそれぞれの能力で大量展開を行い、互いに総攻撃を繰り返す展開は非常にド派手なものになっていました。シールドがブレイクされても何とか持ちこたえて、自分のターンで反撃に出るを繰り返していたのこともあり、見応え抜群の一言で何度もハラハラさせられましたよえぇ。
特にそれぞれのシールドから出てきたS・トリガーの呪文が本作恒例のマイナーカード祭りで楽しかったです。ウィンが《マリッジ・ブルー》を唱えたのはある意味でいつも通りだからまぁいいとして、カイザの最後のシールドから《アポカリプス・デイ》が出てきた時は吹き出してしまいました。こんな意外なカードを入れていた様子からもカイザが知らず知らずの内にウィンの影響を受けているのがわかりますし、何より見ていて楽しい、やっている側はよりハラハラドキドキで楽しいデュエマだったことが伝わってきます。覇統=ジャシン帝の耐性でのフィニッシュも含め、ライバルとの戦いは本当に面白い形で決着したと思いましたね。
- 禍々しい月より訪れし、全ての統べる究極の覇王
アビスベル=覇統(デスベル)=ジャシン帝(てい) 闇/自然文明 (10)
クリーチャー:アビスロイヤル 17000
パワー17000
革命チェンジ:コスト7以上のアビス
▪️T・ブレイカー
▪️相手のコスト10以上のクリーチャーがあれば、このクリーチャーは離れない。
▪️自分のシールドがブレイクされた時、相手のクリーチャーを1体選び、破壊する。
▪️終極宣言:自分のターンのはじめに、アビス・クリーチャーを好きな数、自分の墓地またはマナゾーンからコストを支払わずに召喚してもよい。ただし、それらが出た時にトリガーする能力は、トリガーしない。このターン、それらのクリーチャーは相手プレイヤーを攻撃できる。(「終極宣言」は、ゲーム中に一度だけ使える)
前回《邪騎 スベルニル》からの革命チェンジで登場したウィン最大の闇のキリフダ。彼と闇のマナを共鳴させ、最大にまで引き出すことで目覚めた《アビスベル=ジャシン帝》最強の姿です。チェンジ元であるスベルニルにまたがり、全身を《邪鎧 デ=アムド》の装甲に身を包んだその姿はまさに豪華絢爛。風格に関してもこれまでのジャシン帝以上に「闇の支配者」という称号が似合うでしょう。巨大な鎌を構えたビジュアルも相まって、ジャシン帝の本気の形態であることが伺えます。
基本スペックはコスト10、パワー17000のT・ブレイカーとこれまでのアビスの中でもトップクラスの超大型。(意図的に対比させているのでしょうが、バクテラスとサイズが共通しているのが面白いところです。)革命チェンジの条件はコスト7以上のアビスとバクテラスほどではないものの、狙って出すのが結構難しいものになっています。上述のスベルニルとのデザイナーズコンボを使うのが最も手っ取り早いですが、《トートロット=ザ=ダーティ》などを絡めた成長ギミックの使用も考慮しておくと良さそうです。
第1の能力である耐性は相手のコスト10以上のクリーチャーが条件。相手依存なので使いづらさが目立つものの、それさえ満たせればどんなことがあろうと場を離れることがない無敵状態となります。耐性が発情している状態でバトルして相打ちを狙うことも可能で、バクテラスのようなパワーが同じ相手だろうと自分だけは生き残れるといった使用法も可能。(最も後述の終極宣言のためにコスト10以上の相手は残しておきたいところですが)続くシールドブレイクに誘発して使える破壊能力は、実質自分のシールドを全て《デーモン・ハンド》にするも同然で強力と言えます。無論防御的な能力ですが、《黒神龍アブライゼ・ドルバ》の全ブレイクと組み合わせることで暴発戦術を狙うのも考えられますね。
そして最大の目玉と言えるのが終極宣言。墓地とマナゾーンのアビスを好きな数出すというド派手な能力で、それぞれの溜まり具合によっては盤面をアビスで埋め尽くすことも出来ます。踏み倒したアビスのcipは使えないものの、疑似的なアビスラッシュが付与されるので出たターンから総攻撃も可能。墓地が溜まりやすいアビスならば、あっという間にリーサル打点を形成するのも難しくはありません。どうせなら《深淵の三咆哮 バウワウジャ》や《深淵の螺穿 ラゼル=ズバイラル》といった攻撃時などに強力な効果を発揮するアビスを出したいですね。
《シス=魔=シャル》の終極宣言と酷似しているのが気になりますが、上述のcipの有無や出せる数などで差別化することは十分可能です。個人的にはこちらの踏み倒しは召喚扱いなので、《異端流し オニカマス》のような召喚以外に反応するメタカードをすり抜けられるのは大きな利点だと思いますね。(とはいえ革命チェンジで出す場合のメタの対処は必要ですが)まとめるとクセの強さがあるものの、それさえどうにかすれば圧倒的な爆発力でエンドゲームまで持って行けるほどのポテンシャルを秘めている1枚と言えるでしょう。ウィンと邪神くんが到達した最強の姿として、是非使いこなしてみたいところです。
- 主役は自分だ!ヒーローウガタ!?
ウィンVSカイザの傍らで繰り広げられていたもう1つの死闘、リッパー教授VS闇ウガタの対決は驚くほどあっさりついてしまうことに。まさか何の描写もなく教授が負けて終わりというのはちょっとガッカリしましたね。とはいえ教授の余裕な態度からして、この勝敗は想定内だったのかもしれないと考えられるのが興味深かったのですが。
問題は決着後の問答のシーン。リッパー教授がウガタに「こんなことして楽しいですか?」と問いかけてきた時は意外ながらちょっと頷かされてしまいました。(まぁ確かにここまで暗躍してやっていることが生徒の無気力ゾンビ化なのは正直ショボい……となりますね)そのうえで「人生を楽しむことは“自分が物語の主役だと思う”こと」というアドバイスをしてきたことに驚かされます。若干ウィンを絡めた煽りも入っていましたが、ウガタの精神的なカウンセリングもこなしているようにも見えますね。何だかんだで教授なりにウガタのことを慮っているということでしょうか。
上述のことと最終的に消されてもウィンに託す姿勢にリッパー教授の頼もしさを覚えたのですが、ラストシーンでウガタが「ヒーローウガタ」なる名前で名乗り始めたので思わずズッコケてしまいました。自分を主役だと思えばいいと助言した結果がこれだと、教授のせいでウガタの暴走が悪化したように見えてなりません。真意が見えない以上教授の思惑通りの可能性もありますが、どうにもやらかしてしまったみたいでちょっと肩の力が抜けてしまいますね。消えてしまった教授の安否も含め、このアドバイスの結果がどうなってしまうのか不安になってきました。
そして次回は全ての黒幕・COMPLEXとの戦いがいよいよ始まる模様。ウガタの願いを叶えんとするCOMPLEXと、その力で思うがままに振る舞うヒーローウガタの暴走が学園を支配していしまうようです。しかも自らをデュエル・マスターと名乗り、ジャシンの討伐を宣言するらしいのでもう見ていられなくなります。予告映像で確認出来る限りカレンまで自分のモノにするつもりのウガタを、果たしてウィンは止められるのか。クライマックスに向け楽しみになってきますね。(デュエマパートでは《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》やモチモチな《ガ:ナテハ》が気になるところ)
ではまた、次の機会に。