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ウルトラマンアーク 第7話「満月の応え」感想

月明かりの下、

キミは何を想う?

精霊ちゃん、気持ちはわかるがもうちょい言葉を選んでおくれ!

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  • 母の言葉、命を守りたい想い

 45度という超高気温を記録する星元市の様子から始まった今回のアーク。現実の日本が連日の熱帯日が続いているのもあって、熱そうな描写の数々だけで辟易としたものを覚えてしまいました。現実ではまだ45度やら48度にまでは到達してはいないのですが、その内この気温も当たり前のモノになりそうなのが怖いですね……

 閑話休題。地震や間欠泉のような異臭騒ぎまで発生する中で出現した怪獣・ホムガーとの戦いでは、ユウマの迷いなどが多く見られました。出現時から何かに備えていたホムガーの様子に、突如現れた謎の少女「杏樹(あんじゅ)」の警告は、想像力が豊かなユウマにとっては大きな動揺を生むものになっていたことが容易に読み取れます。アークがホムガーの猛攻を前に一度倒れてしまったのも、ユウマ自身の心が平静ではなくなっていたことが影響していたのかもしれません。さらにホムガーが子どもを身籠っている可能性まで見つけ出して、余計にどうするべきかを迷うユウマの姿は見ていてもどかしかったですね。前回は相手の側に立って考える想像力が、今回に限ってはどちらの側に立つかという迷いに繋がってしまったと言えるでしょう。

 しかし冒頭で出てきた母親との回想、そして満月からルーナアーマーの力を解き放って解決してくれたことには一安心。この辺りは母から「お月さまみたいにみんなを守れる人になってね」という願いが込められていたのが良かったですね。(ルーナアーマーに盾型の武器があるのは「守れる人になってね」という母の想いからきているかもしれませんね怪獣を生き物として捉え、双方が傷付かない形で持っていったことにユウマなりの奮闘が感じられます。そして全てが終わった後に、ホムガーと精霊についての記述を残したのも素晴らしかったです。再びホムガーが現れた際にどうするべきか、次の世代に情報を残していく姿勢も大いに評価したいと思いました。

 

 

  • 雄々しく吠える姿は、子のために戦う母の愛か

 今回登場した怪獣「灼熱怪獣 ホムガー」は近年では珍しい地底出身の四足歩行怪獣。そのビジュアルは一見すると「赤い虎」といったところで、スレンダーな体型からは過去作以上にリアルな四足歩行生物らしさが伺えます。それでいて全体の大きさはアークを軽く上回っており、背中に巨大なトゲを複数生やしているのが非生物的な特徴と言えます。他にもギョロリとした三白眼からは何を考えているのかよくわからない・不気味な印象を受けますね。

 劇中に伝わる「ホムガー伝説」にも登場する存在で数百年に一度、出産の際に満月の夜に現れガスなどから熱エネルギーを吸収する習性を持っているとのこと。そして自身の熱エネルギーを爆発させて、親の命と引き換えに子どもを産み落とすという非常に特異な繁殖を行います。母親の自己犠牲的生態に目が留まりますが、出産の際の大爆発で街一帯も吹き飛ぶ危険性を孕んでいるのが非常に厄介。多大な被害をもたらしてしまう点で、人類との共生の難しさを秘めている怪獣と言えるでしょう。

 さらに戦闘能力も凄まじく、俊敏な動きで相手を翻弄し、火炎放射や口の牙で攻撃してくる様子は実に苛烈の一言。特に牙の攻撃力は目を見張るものがあり、アークギガバリアーを突き破るほどの貫通力を発揮していました。そのうえ牙を突き刺すことで相手のエネルギーを奪う能力まで持っていて驚きましたね。上述の要素含め脅威的な存在ですが、その攻撃性はある意味で子のために奮闘する母親そのもの。(現実の犬や猫も子の妊娠・出産の時期は攻撃的になるといいますし)壮絶な生態ながら、命を繋いでいこうとする姿からホムガーもまた必死に生きていたことを感じさせてくれました。

 

 

  • 冴え渡る慈悲を胸に、今こそ月光の盾をかざす

 杏樹の訴えとホムガーの姿を受け、母の言葉を思い出したユウマが生み出した「ルーナアーマーキューブ」をアークアライザーに装填、変形させることで発言させた鎧「ルーナアーマー」。ソリドアーマーに続くアークのもう1つの派生形態です。幼少期のユウマが描いた「つきのちから」に即したデザインは、肩から胸にかけて鎧が集中しているのが特徴的。肩と背中から伸びた意匠を併せて翼が映えているようにも見えますね。その他左腕に円盤状の「ルーナソーサー」を装備しており、盾として防御に使ったりフリスビーのように投げるといった攻防一体の使用が可能と思われます。

 戦闘においては力のソリドアーマーに対して、こちらは速さをウリにしたスピード&トリッキーなスタイルとなっている模様。素早く攻撃してくるホムガー相手にそれ以上のスピードを発揮し、華麗に攻撃を回避してみせました。さらに驚くことにあまりの速さから質量を持った残像が生まれる現象まで発生。カ○ッゾ「質量を持った残像だというのか!」空中を自在に飛び、相手の攻撃を難なくかわす敏捷性は非常に頼もしいと言えます。

 今回はこの姿で攻撃技を披露することはありませんでしたが、代わりに周囲を守るために活躍したのが印象的。ルーナソーサーの回転で発生させた竜巻でホムガーを包み込み、爆発を最小限に抑えてくれました。時には怪獣を救い、街とそこに暮らす人々も守るための優しい力……月がモチーフということもあって『ウルトラマンコスモス』を彷彿とさせますね。マイフェイバリットがコスモスな身としては、その特徴を受け継いだルーナアーマーにも大いに好感が持てました。

 

 

  • その共存のための想像力を

 さて7話はユウマの決意と新たな力などが見どころだったものの、色々と波紋を呼んだ回でもありましたね。というのもホムガーと共に現れる精霊の少女・杏樹の描写に疑問を浮かべることが多かったからです。ホムガーの出産を無事見届けたいものの、攻撃してくる人間やウルトラマンに止めることを訴えていく理由にはまぁ納得しました。ただ一方的にも聞こえる言動が多く、聞いていて反感を抱いてしまうことが多かったです。ホムガーの都合ばかりを語っていて、批判される人間のことを考えていないことにも不満を覚えます。良くも悪くも杏樹が怪獣側に立ちすぎていたのが問題だったと言えるでしょう。態度をもう少し軟化させてもよかったのではないか?とも感じるばかりです。

 とはいえ杏樹の言っていることもあながち間違っていないのが興味深いところ。ホムガーもまた自然の生物であり、それを害獣・益獣を分けてしまうのは人間の都合なので彼女が訴えたくなる気持ちも理解出来ます。それに昔は人間も少なく、ホムガーの出産の際の被害もそれほど多くなかったであろうことが推察されます。ホムガーからしたら、数百年の間に人間の生息域が増えたのは完全に誤算だったのかもしれません。勝手に増えたのは人間の方なのにホムガーを排除するのはそちらの傲慢ではないのか……杏樹が伝えたかったのはそうした嘆きも含まれている可能性もあります。

 総じて人間と怪獣の共存の難しさがよく出ているエピソードになっていると感じましたね。視聴者としてはモヤモヤが残ることになってしまいましたが、制作側もある程度そうなることは予想しているでしょう。大切なのはどちらが正しくて間違っているのかではなく、どうするべきだったかと考えていくこと……そうして視聴者の想像力を育んでいってほしいという“想い”の結果ではないかと、個人的には考えた次第です。

 

 

 次回はまさかのカネゴンが登場!『ウルトラQ』の初登場以降も度々出演していますが、本格的にウルトラマンと戦うようです。しかも星元市の電子通貨や生放送時の投げ銭を食べるというデジタル方面に進化しているというのですから驚きです。お金の在り方が変わってきた現代で、カネゴンもついにキャッシュレスに対応するようになったんだなぁ……と不思議と感慨深いものを覚えますね。とにかくカネゴン相手にワチャワチャするコミカルな回になりそうなので、今のうちに笑いに備えておくとします。(あと配信に勤しむシュウとかいう約束されたギャグも楽しみです)

 

 

 ではまた、次の機会に。