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2024年アニメ映画簡易感想 その4

 

 

 肌寒い時期が続く中、皆様はいかがお過ごしでしょうか。不肖メタレドも、毎日の如く吹き荒れる寒波に内心悲鳴を上げながらも日々を過ごしている真っ最中です。正直なるべく外に出ず過ごしたいとも思っているものの、気になる映画を観るためにも頑張って外出しています。まぁその分映画館で思う存分映画を楽しめるので、何だかんだで悪くないとは思いますね。

 さて遅ればせながら2024年の映画の感想を書いていく記事も今回がラスト。去年観た映画をこれで全て語り終えることが出来るので、ようやく済ませられたと少々ホッとしています。今さらな作品も多いものの、興味のある作品・鑑賞した作品の感想があれば読んでいただければ幸いです。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


映画 ラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章

 ラブライブシリーズの1つである通称『虹ヶ咲』の劇場シリーズ。テレビシリーズや最初の映画を経てついに完結するということで、どのような終わり方を迎えていくのかと期待しながら鑑賞することとなりました。全3部作の1作である本作は12人のスクールアイドルの内6人をピックアップしていく方式だったので、その6人に早速注目していきましたね。「スクールアイドルグランプリ」というイベントに参加しているものの、実質的には沖縄旅行として描かれているので彼女らが観光を楽しんでいる様子にまずほっこりさせられます*1

 それでいてスクールアイドルグランプリにて「競い合う」ことの意味を考えるストーリーは非常に興味深かったです。ラブライブという大会に参加することなく、各々の望むままにスクールアイドルとして活動してきた彼女たちだからこそぶち当たった問題と言えるでしょう。積極的なかすみや嵐珠(ランジュ)を除く面子が、そのことで思い悩む光景もある種新鮮でしたね。だからこそこのグランプリに挑戦することは相手を蹴落とすことではない、純粋な想いのぶつけ合いだと吹っ切れるまでの流れは感動的でした。嵐珠が歩夢のことを尊敬していることを口にするシーンにもあるように、互いをリスペクトし合ってこそ成り立つクリーンな競争。それをストレートに魅せてくれたので、見ていてとても気持ち良かったです。

 またギクシャクした関係を修復していく過程も大きな見どころ。本作から登場した現地のスクールアイドル「赤嶺天(あかみね・てん)」と「石嶺小糸(いしみね・こいと)」然り、いきなり登場した嵐珠の母親然り。妙に言葉が足りず拗れていく様子を、エマやかすみといった第三者が割って入ることで解きほぐしていくので見ていて安心感を覚えます。正面から向かい合って誤解を解く手助けをしてくれるので、和解に向かっていく流れも自然でストレスフリーで見ることが出来ました。(この手の「お互い想い合っているけど噛み合わず拗れる関係」はシリーズ全体の恒例ですが、虹ヶ咲はテレビシリーズの頃からやたらハイテンポでそれらを解決していきますね)そうした仲直りの光景も含め、相手と向き合って気持ちを確か合うことが全体を通して大きな意味を為していた内容だったと思います。

 そしてシリーズの目玉であるライブシーンはいつになく豪華。CGとセル画の違和感のない融合は本作でも遺憾なく発揮されており、また虹ヶ咲特有の特殊ステージの演出も1人1人かなり凝っていましたね。今回のメインキャラそれぞれのソロを描くだけでなく、エマは天との2人でステージに立つなど意外性もあり、マンネリ感もあまり覚えることなく楽しめました不満点を挙げるとするならばやはりかすみんだけライブシーンが省かれたことですが、それは2章以降で描かれると見ていいのでしょうか?劇場の音響と大スクリーンのおかげでいつも以上に迫力満点だったこともあり、ライブ映画としても大いに堪能出来て満足度も高かったです。

 

 

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

 廣嶋玲子氏原作の児童小説シリーズの実写映画化。原作は児童向けの『笑ゥせぇるすまん』ともう言うべきテイストの作品の一種であり、ゾッとする展開もあるものの基本はほんわかマイルドなストーリーが特徴的な作品です。原作小説やNHKで放送されているアニメなどをほんの少しチェックしているだけの身ながら、原作の不思議な雰囲気を再現した世界観に早速のめり込むこととなりました。それでいて天海祐希さん演じる「紅子(べにこ)」が実写ならではの妖艶な人物となっているのが面白いところ。おかげで原作とはまた違った魅力に繋がっていたと思います。

 個人的に実写版の絶妙と感じた点がストーリーの繋がり方で、異なるオムニバスエピソードが連続して描かれる展開に感心しました。銭天堂に迷い込みふしぎ駄菓子を買うお客が次々出てくるものの、どの登場人物も別の人物との繋がりがあり、そこから次のエピソードへとシームレスに派生していくのですんなり見ることが出来たと言えます。またオリジナルキャラクターである「等々力小太郎(とどりき・こたろう)」が新任の小学校教師であり、彼の生徒の多くが銭天堂に関わっていくことで彼の視点がスムーズに描かれていたのも見事。別々のお客の話同士で、1つの映画作品に違和感なく仕上がっていました。

 そしてたたりめ堂を営む「よどみ」が出てきてからは原作における「幸運」というテーマを、映画でしっかりと示されていたのが好印象。よどみが売る悪意の宿った駄菓子によって破滅しかける人間が描かれる中で、人の心は汚いモノばかりではないといったポジティブな要素を持ってくる終盤には少々涙ぐんでしまいました。駄菓子がもたらす福だけで思い上がることなく、自分の心と向き合って誠実に生きる先にこそ本当の幸運が掴める……ストレートながら気持ちの良い要素が上手いこと鑑賞中に伝わってきたと思います。(また本作では破滅寸前までいった人物が更生するなど、再起の描写が比較的マイルドになっていたおかげで「その人次第」のテーマがよりわかりやすくなっていました

 他にも目玉要素であるふしぎ駄菓子はいずれも美味しそうでしたね。紅子の駄菓子は素朴ながら食べてみたい魅力があり、よどみの駄菓子はどこか不気味と、イメージ通りのモノが実写で再現されていたので観ていてお腹が空いてきました。あとはようやく食べられた「ヤマ缶詰」や効果が微妙に変更された「堂々ドーナッツ」などの変更点も、原作とは異なるからこそ唸らされるものが多かったです。お菓子がメインの作品でもあるので、それらをしっかりと魅せてくれた点には大いに感動しました

(あと特撮オタクとしてのすごく個人的な余談ですが、番家天嵩さんや渡邊圭祐さんなど『仮面ライダー』に出演していた俳優さんがチラホラ出ていてニヤリときましたね*2

 

 

劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師

 1993年から30年以上に渡って放送されているアニメ『忍たま乱太郎』の映画。激情作品としては2011年の『忍術学園 全員出動!の段』から13年ぶりという事実も驚くべきことですが、本作はいつにも増してシリアスなストーリーに惹かれることとなりました。初報時から土井先生こと土井半助をメインとしたビジュアルが公開されており、果たしてどんな作品になるのかと鑑賞前からドキドキしていた次第です。*3

 まずは何と言っても、本作が忍者の世界のシビアさを全面に出していたのが特徴的。乱太郎たち一年生を除く劇中の忍者たちはいずれもギャグをほとんど挟むことなく、感情的になる時はあれど基本任務を忠実にこなしているので驚きも大きかったです。同時にドクタケが他領地との戦争を企てている過程もかなり戦略的で、忍者はその戦争を左右する影の兵器であることをしっかりと認識させられました。そのため普段のアニメのコミカルな内容は、忍術学園とプロの先生たちといった保護された空間あってこそ成り立っていることも同時に理解することが出来ましたね。

 また最大の注目ポイントである土井先生が敵に回る展開に関しては、ある程度覚悟していたものの息を飲むこととなりました。些細な事故から記憶を失い、ドクタケに騙され「天鬼(てんき)」として暗躍している瞬間はショックが大きかったです。天鬼は声優さんの演技の違いのおかげで、土井先生とは全く別の「最強の敵」としての印象も絶妙の一言。また稗田八方斎(ひえた・はっぽうさい)が珍しく外道な発想を動いているのも意外で、いつもよりもキリッとしたビジュアルと相まってただならぬ雰囲気を発していました。(ダンスシーンは結構愉快でしたが

 それだけに一年生たちの普段通りのギャグシーンや、どんな状況でも変わらない明るさには大いに救われました。何より本作の実質的な主人公であるきり丸と、土井先生の疑似家族のような関係が強調されていたのが良かったですね。土井先生がいなくなっていつもの元気を失うきり丸は見ていて辛かったのですが、その分お互いを大事に想っていることがこれでもかと伝わってきました。(2人とも戦争で天涯孤独になった経験にも触れている描写からも、彼らの関係の深さが窺い知れます)それ故必死になって土井先生の記憶を戻そうと奮闘する、生徒たちの健気さに涙ぐんでしまいます。過酷な世界観だからこそ、「帰る場所と家族」の存在の大きさが響く内容だったと思います。

 また本作は忍者同士の戦闘シーンのクオリティにも目を見張るものがありました。諜報で敵をかく乱するのは序の口、狭い場所で武器を使い飛び跳ねる戦いぶりはまさに忍者のイメージ通りといったところです。殺伐としている分、本気の殺し合いでもあることをキチンと魅せていました。そして生徒と先生、駆け出しと熟練で明確な実力差が出ていたのが面白かったですね。天鬼VS六年生6人の戦闘シーンを筆頭に、実力が上の忍者は複数がかりでもまず相手にならないことがハッキリと描かれていました。そういった点も、本作のシビアな忍者たちの魅力に繋がっていたと言えるでしょう。

(特にタソガレドキ城の雑渡昆奈門(ざっと・こんなもん)は、先生たちを除けば作中屈指の実力者としての存在感はかなりのもの。冷酷さと人情を同時に持ち合わせたキャラもあって個人的な推しキャラになりそうな予感です)

 

 

 余談ですが、今回感想を書いた作品はいずれもNHKにてテレビアニメシリーズが放送中、または放送された経験があるという共通点があります。*4昨年はそういった作品の映画がいくつも公開されたと考えると、中々に面白い話かもしれません。そして現在視聴している『チ。-地球の運動について-』をはじめとして、近年のNHKはアニメにも力を入れているので結構見応えがあることが多いです。来季のガメラも控えていることですし、NHKでアニメを楽しむこともまだまだ続きそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:本作からキャラクターデザイン等の変更があった点については、ここでは割愛させていただく。

*2:番家さんは『仮面ライダーセイバー』にて尾上そら役、渡邊さんは『仮面ライダージオウ』にてウォズ/仮面ライダーウォズ役をそれぞれ担当していた。

*3:ちなみに本作はベースとなる原作小説が存在しているが、筆者は原作の方は未読のまま映画を鑑賞したことをここに断っておく。

*4:『虹ヶ咲』のみ、キー局からの再放送枠である。