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ウルトラマンZ 第18話「2020年の再挑戦」感想

”あの日”の逆襲劇

とりあえずみんなも『ウルトラQ』19話を見てほしい

ウルトラ怪獣シリーズ 09 ケムール人

ウルトラ怪獣シリーズ 09 ケムール人

  • 発売日: 2013/06/29
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 不思議な時間の不思議な雰囲気

 「地底怪獣 パゴス」がいきなり登場した冒頭。STORAGEの2人も出撃し戦闘が激化するかと思いきや、途中でパゴスが消えるという謎の事態から物語が始まりました。そんな今回のZは全体的に独特の雰囲気を醸し出していて、直近で例えるならば前作『タイガ』の22話を彷彿とさせる不思議なエピソードでした。

 

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 まず今回のキーパーソンとなった謎の女性「カオリ」さんについて。唐草模様とも異なる変わった柄の服装はどこかバブル期のファッションのようにも見えます。そんな時代錯誤とも思える見た目の彼女が54年前に自分を誘拐したケムール人と一体化した存在であり、肉体を共有してからは歳を取っていないと判明してからはなるほどと納得出来ました。時間が止まったままの女性をメインに据えることで物語自体の雰囲気を54年前に寄せたのだと思われます。他にも通常よりも暗い映像と背景や無音のBGMの多さ、何よりヨウコ先輩の前にケムール人が現れた時のホラー演出といった『ウルトラQ』のような雰囲気を引き出していたのが印象的です。

 それでいてケムールの消去エネルギー源で人や物が消失する演出が進化していたのが素晴らしかったです。消える瞬間のSEなどはそのままに、当時よりもずっと自然に消えたように見せる技術の進歩には驚きました。タイガの22話を見た時も思ったことですが、昭和風の特撮を現代の技術で進化させたような画作りには感動を覚えます。

 一方でウルトラQは一件落着かと思ったら実は・・・・・・みたいなラストが多く、それを意識した今回もそんなホラーオチが待っているのではないかと身構えていたのですが、思った以上に平和に終わって安心しました。ハルキに対しては何かと親切なベリアロクのおかげでケムールから切り離されたカオリさんのシーンなんかは明らかに消滅したかのような演出だったので彼女の安否を心配しましたが、ラストに無事に回復している様子が映し出された時はホッと胸を撫で下ろしました。(ケムールに体を乗っ取られながらも抵抗する精神力を見せてくれたので生きていたのも何となく納得出来ます)総じて上手いこと当時のウルトラQを思い起こしてくれるような演出を見せてもらいましたね。

 

 

 また演出以外にも内容にもウルトラQ』のリンクを感じました。今回カオリさんの体を利用して人々を誘拐していた「誘拐怪人 ケムール人」はなんと54年前の事件を起こしたケムール人の同族とのこと。カオリさんの体を利用して当時のように誘拐の計画を企てていたことをやたら懇切丁寧に説明してくれました。

 また本編ではそれを裏付けるかのように初代ケムール人とのセットで有名な観覧車*1や神田博士著「2020年の挑戦」といったQ19話の劇中で使われたものが再登場しています。極めつけはユカがデータベースから54年前の事件について語るシーンですね。「民間人と警官隊の協力で撃退した」という説明から宇田川や神田博士の活躍のことを語っているのだろうということが察せられますし、ヘビクラ隊長が大真面目に「勇敢なる先人たちだ」と呟くシーンも色々考えさせてくれます。

 ここで湧いてきたのが”本作『Z』と『ウルトラQ』19話「2020年の挑戦」は同じ世界観なのか?”という疑問です。怪獣災害とそれに対抗する手段が当たり前のものと化している本作の世界観からして繋がっていてもおかしくないのですが、もしかしたらQそのものと酷似しているパラレルワールドの可能性もありますし、『マックス』24話「狙われない街」のように今回だけQと繋がっている場合も考えられます。その辺りをはっきりさせずにあえてぼかしたのは、視聴者それぞれの考えに任せているのかもしれません。

 

 しかし今回はウルトラQとの繋がりを示しただけで、当時のテーマなどを継承したような内容ではなかったのは少々残念。ケムール人もあくまで当時の仲間が出てきただけなのも惜しいと感じましたね。個人的には前述のマックスのような掘り下げがほしかったところです。

 とはいえ50年以上前の作品の続編を作れるのは長いことシリーズを続けているウルトラマンだからこそ出来るもの。今後もこういった作品同士のリンクをしていって世界観を広げてほしいですね。とりあえずみんなも『ウルトラQ』19話を見て今回と見比べてみよう!そしてケムール人の怖さとラストを見てトラウマを作ろう!

 

 

 さて次回はなんと超獣バラバが出現。もしや久しぶりにヤプールが出てくるのか?と期待していたらまさかのウルトラマンエース登場というそれ以上のサプライズには度肝を抜かされました。まさかZとAで「ウルトラマンAtoZ」が実現するとは!!声の出演として北斗役の高峰圭二(たかみね・けいじ)さんも出てくることが確定しており、既にワクワクしてしまっています。次回がもう待ちきれません!!

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:当時使われた観覧車のミニチュアを可能な限り再現した」とのこと。