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仮面ライダーセイバー 第27話「哀しみを、笑顔に変えて。」感想

哀しみ(バッドエンド)の先にある“絆”

その心に触れた時、新たなページが開かれる

仮面ライダーセイバー DXエレメンタルドラゴンワンダーライドブック

仮面ライダーセイバー DXエレメンタルドラゴンワンダーライドブック

  • 発売日: 2021/03/27
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 自分に無茶ぶりする系主人公

 賢人の闇堕ちという衝撃的な展開の後、精神世界らしき場所で出会った少年のことが気になる飛羽真。今回のセイバーはその少年が哀しむ理由をつきとめようとする場面から始まりました。あの世界に行くためにはプリミティブドラゴンに変身する必要があるので暴走のリスクはどうするのか、と疑問を抱いていた中、飛羽真がリベラシオンに籠って変身すると言い出した時は思わず膝を打ちましたね。序盤に登場したきりで話題に上がらなくなっていたリベラシオンの設定をここにきて再利用するのは中々に面白いです。

 たった1人になることで誰も傷つけないようにする飛羽真らしい考えで感心する一方、自分の身を省みない辺りは相変わらずで少し心配になってきます。案の定変身しては暴走し解除、再び変身して暴走するという流れを何度も繰り返していくシーンが流れたので見ていてハラハラしました。いい加減自分のことも大事にしてくれよマジで・・・・・・

 

 

  • その優しさが描く絆の物語

 そうして描かれた精神世界での出来事では、自身に近づく者を吹き飛ばす少年に悲しくなりました。(しかし少年に話しかける度に吹っ飛ばされる飛羽真の絵面にはちょっと笑ってしまったり)哀しみを吐露し助けを求めているのに、差し出される手を拒んでしまうジレンマが非常にもどかしいです。そしてそんな少年の抱える哀しみが「仲間を失った孤独」からくるものだと知った時は思わず目を見開きました。太古のドラゴンの生き残りである彼は仲間のドラゴンを人間たちに狩られてしまい、生き残った仲間を探して長い時を彷徨ってきた・・・・・・という過去が明かされたことに涙が零れてしまいます。プリミティブドラゴンが骨だけのドラゴンなのは恐らく骨だけになっても仲間を探し続けたことを意味しており、ライドブックを掴んで離さないようなフォルムも一度失ってしまったものを今度こそ失くさないため、といった感じにこれまでの疑問が氷解するような内容であったことも興味深かったですね。

 そしてそんな寂しさを抱く少年に飛羽真が優しく寄り添い、大自然の中にいる「友達」を彼に教えてくれる展開にはグッときました。失くしたと思っていたもの、探していたものは身近にあったという「青い鳥」テイストの答えで少年の孤独を埋めてくれる流れは非常に美しいです。またそれを物語を朗読するように話す飛羽真の姿も素晴らしかったです。全てを諦めてしまった少年の生を物語として捉え、「君の物語には続きがある」と語りかけて希望を示してくれる様子は小説家設定の面目躍如と言ったところ。まさに「物語の結末は、俺が決める!!」と言うべき展開でした。他にも精神世界に囚われた飛羽真の覚悟を見届けるために加勢する倫太郎に、未来は決まっていると諦め傍観していたら未来ではありえなかった展開に驚く賢人など、飛羽真以外のキャラにも見どころが満載でした。総じてセイバー屈指の神回だったと言えますね。

 

 

 

エレメンタルドラゴン!

『そして太古の力と手を結び、全てを救う神獣となる・・・・・・!』

 

プリミティブドラゴン!

エレメンタルドラゴン!ゲット!

 

烈火抜刀!

 

バキッ!ボキッ!ボーン!

 

メラッ!メラッ!バーン!

 

シェイクハンズ!

エレメンタルドラゴン!!

 

「エレメントマシマシ!キズナカタメ!

 

 プリミティブドラゴンの中に存在する少年を孤独から救ったことで生まれた「エレメンタルドラゴン」ワンダーライドブックをプリミティブドラゴンのブックと合体させ、変身したセイバーの強化形態「エレメンタルプリミティブドラゴン」。2つのライドブックを組み合わせることで暴走を克服した新フォームです。エレメンタルドラゴンとプリミティブドラゴンのブックが同時に開放することで巨大な手が描かれたページが開き、以前はプリミティブドラゴンが一方的に掴んでいた手がまるで握手をしているかように見える配置になっていることに感動を覚えます。次郎系ラーメン的ボイスでちょっと台無しでしたけど。

 その見た目もプリミティブドラゴンをベースにオレンジがかった赤色の配色になっており非常に興味深いです。何よりプリミティブドラゴン時のライドブックを拘束していたかのようなボディの所々に炎の意匠が入り、まるで炎が骨だけの竜を優しく包み込んでくれているかのようなデザインに変化している点に感激します。前述のライドブックのギミックといい、プリミティブドラゴンが孤独から解放されたことで救われたのだとわかるエモさ満点のフォームと言えます。

 また従来のセイバーの戦闘スタイルはそのままに、炎以外の属性攻撃を獲得しているのが特徴的。水に風、土さらには雷の力も得て巧みに使い分ける姿を見せました。必殺技も炎を中心に他の属性も重ね合わせた斬撃を放つなど、エフェクトが非常に派手で見栄えのいい戦い方を披露してくれます。他にも空中を軽やかに飛んで相手を翻弄するなど属性要素以外も十分に強化されていることがわかります。上記のストーリーと見事にマッチした秀逸なフォームということで大満足しましたね。

 

 

  • さらば気高き神獣

 飛羽真たちライダー側以外でも印象に残ったのがレジエルですね。セイバーへの復讐に固執する彼もストリウスによって「レジエル・フォビドゥン」にパワーアップして暴れはじめた時は驚きました。カラーリングが赤黒くなった以外は見た目に変化はないものの、ライダー3人を同時に相手にしてもものともせずに圧倒する様子は見事。ストリウスに利用されている感が半端ないのですが、それでも幹部怪人に相応しい暴れっぷりを見せつけてくれました。

 またそんなレジエルがエレメンタルプリミティブドラゴンにパワーアップしたセイバーと戦っている最中、自分がかつて人間であったことを忘れているかのような言動をしていたのに気づいてちょっと意外に感じました。突如フラッシュバックした人間であったころの記憶で見せた笑顔が今とは似ても似つかないほど爽やかであることにも驚きです。(余談ですが過去のタッセルの姿が天使っぽいのが妙にシュールで笑ってしまいます)

 そういうこともあってレジエルたちが如何にしてメギドになったのかという疑問が一気に湧いてきました。過去の記憶を覚えていないのも何かしらの理由があるように感じます。気になるのはレジエルがセイバーに倒された様子を見てほくそ笑むストリウス。今回レジエルをパワーアップさせたのも彼ですし、もしかしたらストリウスが他2人を利用しているのではないか?とも思えてきました。この様子だとズオスの身も危なさそうですね。

 ともあれレジエルは今回で退場。役者さんもオールアップ*1ということでとうとう出番が終わってしまいました。こうして寂しさを覚える辺り何だかんだで僕もレジエルのことが結構気に入っていたのだと実感します。ひとまずはここまで物語を盛り上げてくれたことに感謝を。今までありがとうございました。

 

 

 次回は未だに聖剣を封印することに囚われている賢人との対決。予告映像でカリバーが蓮に襲い掛かるシーンがあってちょっとショックを受けました。賢人の生存を誰よりも喜んでいたであろう彼がこうして憧れの賢人に攻撃されるというのはさすがに不憫に思えてきます。

 また今回のラストで何やら覚悟を決めた倫太郎の動向も気になります。恐らく飛羽真の元につく決心を固めたのだと思うのですが、一度帰ったのはどういうことなのでしょうか。まぁ倫太郎のことだから一旦サウザンベースに筋を通してから離反するのかもしれませんが、マスターロゴスの邪悪の笑みからして洗脳されそうな予感がプンプンするので少々心配・・・・・・大丈夫かな倫太郎・・・・・・

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:仮面ライダーWEB参照 https://www.kamen-rider-official.com/saber/28