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仮面ライダーセイバー 第34話「目を覚ます、不死の剣士。」感想

友を救えなかったからこそ

バハトは近年の敵ライダーの中でも屈指の良キャラだと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 破滅を呼ぶ不死鳥、再び

 前回ルナとの再会への希望が持てた中で始まった今回のセイバー。何と言っても「バハト」の登場に大興奮する内容でした。劇場短編である『不死鳥の剣士と破滅の本』の敵キャラが本編にも出てきて本当に驚きました。映画の方を見ていないとわけが分からなくなる部分も多少見られたので決して褒められたことではないのですが、映画に登場したキャラや要素をテレビ本編で密接に搦めてくれるのは結構好きなので何だかんだで終始大喜びしながら見てしまいましたね。

 初登場した時は約20分という非常に短い上演時間ながら強烈な印象を残してくれたバハトですが、今回の登場でも素晴らしいインパクトを見せてくれました。狂ったように笑いながら飛羽真たちの元に現れ、襲いかかる辺りはまだ序の口、復活させてくれたマスターロゴス側の凌牙にさえ襲いかかる姿は劇中で言われたように「狂犬」のようでこれまた鮮烈。それでいてセイバーの実力を見極めるために一旦引く冷静さも併せ持つなどただの戦闘狂ではない描写がまた素敵です。理性がありながらも衝動のまま二場を引っ掻き回してくれる、トリックスター的キャラクターとしてよく出来ていると言えます。

 

 また今回映画では不明のままだったバハトの素性がようやく明かされたのも嬉しい情報でした。特に仲間の剣士に裏切られ、家族を殺された過去から剣士たちを憎むようになったというのが良かったですね。映画で世界を滅ぼそうとする理由として「争いをなくすため」と語っていたバハトにはそのような背景があったのか、と驚きつつも納得しました。

 それでいてそんなバハトを悲しい悪役として終わらせなかったのが個人的に素晴らしいと感じたポイント。ユーリから過去の悲劇を聞いた飛羽真の説得に納得しつつも、これまた狂った笑顔で一笑に付すバハトの姿は実に魅力的でした。最早家族のことなどどうでもいいとでも言いたげな空気で剣士と世界への復讐に執着し続ける救いようのなさが復讐者としては見事です。マスターしかりストリウスしかり、策謀を張り巡らせる悪役が多い本作において貴重な前線で悪事を行うキャラなのでここから倒されるまでも含め、この先の大暴れに期待したいですね。

 

 

  • 終わらぬ災厄を振りかざす漆黒の不死者

 

エターナルフェニックス!
「かつてから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる・・・・・・」
 
抜刀!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エターナルフェニックス!!
 
「虚無! 
漆黒の剣が、無に帰す・・・・・・!!」
 

 バハトが「覇剣ブレードライバー」に「エターナルフェニックスデュエマに出てくる龍炎鳳の方ではないワンダーライドブックを装填して変身した「仮面ライダーファルシオン エターナルフェニックス」。映画を観た人ならご存じの敵ライダーです。黒いボディから不死鳥の炎が噴き出しているようなデザインはいつ見てもカッコいいと感じます。

 またファルシオンと言えば映画で抜刀の音声が鳴った瞬間数秒間無音に包まれ、バハト自身の高笑いと共に変身する演出が印象的でした。TVシリーズでは流石に無音にするのはまずかったのか炎のメラメラ音付きでしたが、バハトの「シーッ・・・・・・」もあって出来る限り近い演出を使用としていたことに好感を持てます。

 戦闘ではセイバーと最光2人がかりにも対応出来るスペックの高さを見せつけてきて驚きました。映画の時よりも明らかに強くなっているとさえ感じます。一応エレメンタルプリミティブドラゴンやタテガミ氷獣戦記なら必殺技で圧倒出来ることが描かれましたが、倒されてもすぐに復活できるのが相当厄介です。他にも今回彼が持つ「無銘剣虚無」が他の聖剣の能力を無効化するとんでもない能力を持っていることが明かされたので一気に本作最強クラスのライダーとして君臨したように思えます。何よりバハトの狂気的なキャラクターと何度倒されても復活する能力が絶妙にマッチしていて存在感のある敵ライダーに仕上がっているのが最高ですね。個人的にはここ最近の敵ライダーの中でも特に好きかもしれません。

 

 

  • 友への想い、炎となりて

 今回は他にもバハトとユーリの関係、そしてそこから来る飛羽真とユーリの対比なども描かれました。かつては仲間だったものの世界の滅びを止めるためにバハトを封印せざるを得なかったユーリが飛羽真に「お前は友を救え」と激励を送るシーンなどが特に印象に残りましたね。かつては人を寄せ付けないぶっきらぼうぶりを発揮していたユーリが人間臭い一面、そして自身の過ちを繰り返させないための忠告をするほどに飛羽真を信頼してくれる姿を見せてくれたと思うと感慨深いです。

 そんなユーリが賢人の心を少しだけ動かしたのも良かったですね。廃工場のシーンでは突然現れた賢人に困惑しましたが(話がややこしくなるのでちょっと引っ込んでてくれる!?とか思ってしまったり)、友を信じられずに終わってしまったユーリの「信じられる友がいる、それって最高だぞ」という言葉を受けて飛羽真と一旦協力してくれるようになったのは感動的でした。ユーリにとって新しい友になった飛羽真との日々がそれぞれの昔の共に響く展開は素直に素晴らしいと思えます。ここまで来た以上、そろそろ賢人には自分の気持ちに正直になってほしいところです。

 

 

 というわけで今回はバハトの衝撃に色々持っていかれた内容でした。それ以外だとユーリ一時退場、そしてラストのルナ登場が記憶に残りましたね。前者は色々と頼もしかったユーリがマスターの手に渡ったという事実が絶望的。後者では彼女は本当にルナなのかという疑心暗鬼に見ていて陥ってしまったのでこれまた不穏に感じました。どんどん状況が飛羽真側に不利になっていく中、どうなってしまうのでしょうか。

 と思っていたら次回はついにマスターの元に全ての聖剣とライドブックが揃ってしまうという最悪の事態に。せっかく戻ってきてくれたルナとまたもやはぐれてしまいそうなカットもあって全く安心出来ません。一方エモーショナルドラゴンが出てくれるのは喜ばしいですね。ファルシオンに続いてこちらも出してくれるのかと思うとワクワクが止まりません。

 

 

 ではまた、次の機会に。