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2022年映画簡易感想 その1

 

 

 2022年に入りいくらかの日にちが過ぎましたが、皆様は如何お過ごしでしょうか。僕は今のところ去年とあまり変わらない日々を過ごせているかと思います。

 中でも映画鑑賞の方は今月の序盤からガンガン行ってきました。ずっと楽しみにしていた『スパイダーマン』から始まり、その後2作品くらいを映画館で観たりテレビで放送された映画を見たりと結構エンジョイしています。今回は劇場で楽しんだ映画の感想を書いていきたいと思います。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 

 

 

 

劇場版 呪術廻戦 0

 現在もジャンプで連載中の漫画を原作としたアニメ『呪術廻戦』。当ブログでテレビシリーズの感想を取り上げてきたのもあり、映画の方も試しに観に行きましたが、圧倒的な映像に一気に引き込まれました。テレビシリーズでも美麗だったアニメーションが劇場版クラスにまで引き上げられていることが一目で伝わってきましたね。

 ジャンプGIGAで短期連載されていた前日譚がベースとなっているようですが、本編と比べても王道の少年漫画的ストーリーだったのが特徴的。少年が愛する少女を救うために修行を重ね、強敵との戦いに身を投じていくわかりやすさもあってかなり見やすかったです。それでいて要所要所で薄気味悪さを感じさせる部分があるのが呪術らしいところ。

 主人公の「乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)」の方も気弱な少年というこれまた定番のタイプでした。基本はウジウジしているものの、怨霊と化した「折本里香(おりもと・りか)」や呪術高専の同級生たちたちへの想いが深いところに好感が持てます。彼らとの交流や戦いを経て徐々に前向きになっていく様子は見ていて素直に応援したくなりますね。一方で身内を傷つけた相手に対しては一転して苛烈になる姿には驚かされました。夏油への殺意を隠さない辺り、本作の「敵対者には容赦のない側面としての“呪い”」を彼も持っているのだと感じます。(里香すら圧倒させる気迫が怖い・・・・・・)

 それ故か、そんな仲間想いの乙骨こそが里香を呪った張本人、というオチにも納得がいきました。里香の死を受け入れられず怪物に変えてしまったのも、全ては彼女への愛故に。他人への愛が歪めてしまう原因となった本作の真相に、五条先生が放った「愛ほど歪んだ呪いは無い」の言葉が深く突き刺さっていました。そうして里香を歪めてしまった乙骨が彼女への愛に気付き、そんな自分を肯定することで彼女を解放するまでの物語こそ本作の主軸の1つであったと思います。

 また同じように歪んだ愛を見せてきた「夏油傑(げとう・すぐる)」も印象的でした。呪術師への愛故に、非術師の抹殺を企む彼は乙骨とは別ベクトルで上述の先生の言葉が突き刺さっていると言えます。(前者を「家族」、後者を「猿」呼ばわりする露骨さは最早清々しいです)憎たらしいほどに悪意に満ちている一方で仲間へのフォロー、そして五条先生との友情も持ち合わせているため、彼のことを最後まで嫌いにはなれませんでした。乙骨然り夏油然り、本作の最大のテーマであろう“愛”のために生きた者たちの在り方に心が震えましたね。

 

 乙骨と夏油以外にも魅力的な登場人物が多数いたのも嬉しかったところ。まず何と言っても同級生組の中でも真希が一際目立っていたのが良かったですね。乙骨に厳しくも親身に接してくれる面倒見の良さ、そして呪力を持たずともめげない強さには本編同様惚れ惚れしました。乙骨の成長に最も一役買っているのは間違いなく彼女でしょう。

 夏油側の呪詛師の中では「ミゲル」に驚かされましたね。足止めに徹していたとはいえ、五条先生とあそこまで渡り合えた実力には唖然とさせられます。彼ら以外でも京都で戦う七海や東堂ら京都校組と、本編を見ているとニヤリとさせられる要素も満載でした。

 そして肝心の戦闘シーンは流石MAPPAの一言。先程も書きましたが、テレビシリーズの時点で十分高かったクオリティを向上させたぬるぬる作画と迫力の構図に魅了させられました。どの戦闘シーンも見応えがあって良かったですが、個人的にはパンダ&狗巻VS夏油が印象的。敵が格上なうえ横で瀕死の真希のこともあり、緊迫感がありました。次点の乙骨と夏油の決戦の方も「失礼だな、純愛だよ」発言がキレッキレで素晴らしかったです。

 そんな映画単体として完成している本作ですが、本編の方にいくつかの布石を残している点も見どころの1つ。五条先生が手にかけたはずの夏油が何故本編で生きているのか?ラストの乙骨とミゲルの組み合わせはどういうことなのか?といった謎も多く、本編の方も気になってきました。(余談ですが悠仁たち本編の1年生組が出ることを個人的にちょっと期待していました)ここまで来たらテレビシリーズの方も是非2期をやってほしいところ。今回告知はされませんでしたが、気長に待っていたいと思います。

 

 

日本語劇場版 サンダーバード55/GoGo

 

Five!

Four!

Three!

Two!

One!

 

Thunderbirds!!

Are Go!!

 

 1965年にイギリスで製作された特撮SF人形劇『サンダーバード』。55年前に日本に上陸し、『ウルトラセブン』『勇者特急マイトガイン』といったその後の日本特撮やアニメに大きな影響を与えたという伝説の作品がまさかの完全新作で復活ということで驚きました。*1僕自身NHKでの放送やCGアニメでリメイクされた『サンダーバード ARE GO』の方にもハマっていた身としては、これも見なくてはいけない!と感じましたね。

 そうして映画館で観た本作は、「かつてのサンダーバードの復活」とも言うべき内容でした。革命的だった「人形特撮(スーパーマリオネーション)」を見事に復活させ、当時の雰囲気を出来る限り再現させた映像にまず魅せられます。背景の真新しさなど今の時代に作られたことがわかる部分もチラホラありますが、全体としては以前のサンダーバードそのものといった光景が見れましたね。ARE GOが「温故知新」ならば、本作は「原点回帰」と表現すべきでしょうか。

 そうして復活した本作は何と言ってもサンダーバードの出撃シーンが最大の魅力。今見ても精密かつロマン溢れる描写の数々をきちんとやってくれました。トレーシーアイランドのリビングの至る所に秘密基地のようなギミックが仕込まれ、内部に格納された機体のドックに繋がる流れは何度見ても興奮させられます。出撃してからも1号と2号を中心に現場での活躍シーンがある程度盛り込まれていてワクワクしっぱなしでした。今の時代だと違和感のある描写や解釈(ロケットの噴射口からパイロットが入る3号のシーンとか)もあるのははご愛敬。何年経っても色褪せないモノがそこにあると再確認出来ましたね。

 

 ストーリーは当時作られたレコードドラマを元にしているとのこと。全部で3編ありましたが、全体的な感想としては「ペネロープ無双」といったところです。全編通して「レディ・ペネロープ」が登場し、彼女と執事のパーカーのコンビが物語の中心にいました。

 1つ目の「サンダーバード登場」はペネロープが国際救助隊の設備を紹介してもらうというもの。当時の本編では既に国際救助隊の一員だったペネロープが、ジェフらトレーシー一家と初対面という構図が新鮮でしたね。詳細な説明と共に発信する各サンダーバードも、スペシャルビデオ感があって見応えがありました。(ペネロープ嬢はパーカーを酷使しすぎじゃない?などと引っかかったところもありましたが)

 2つ目の「雪男の恐怖」と3つ目の「大豪邸、襲撃」は一転していつものサンダーバードらしいエピソード。災害や事件の救助ために出動するサンダーバードの安定感が素敵です。前者はフッド、後者は謎の泥棒コンビと悪役の濃さもあって楽しく見れました。上述通りどちらもペネロープが果敢に事件に立ち向かうのが良かったですね。また彼女が泥棒に対して妙におっかない発言を連発した点がやけに印象に残りました。(泥棒が乗ったヘリを撃ち落とそうというパーカーの提案を「盗まれた品が傷つくから」という理由で却下していましたが、逆に言えば盗品が無かったら躊躇なく撃ち落とす気だったってことですか・・・・・・!?

 今回ペネロープの吹き替えを担当したのは満島ひかりさん。穏やかながらどこか底の知れない演技が実にペネロープのイメージに合っていて素晴らしかったです。当時ペネロープを演じていた黒柳徹子さんに負けない魅力があったかと思います。

 

 そんな魅力的な本編の他にも様々な映像があってこれもまた楽しめました。冒頭のメイキング映像は製作者のインタビューもあって結構見入りましたね。上述の映像再現を全力で為そうとする気概が感じられました。また最後には『ネビュラ・75』なる全く別の人形劇*2が始まり驚きました。こちらは気になるところでいきなり終わってしまったのでどうにかして続きを見てみたいところ。(日本語吹き替え版をどこかで放送してくれないですかね)

 幼い頃に見たあの光景を思い起こさせ、当時の興奮を蘇らせてくれた本作。サンダーバード熱が戻ってきた中、何かしらの形でもっと見てみたくなってきましたね。ひとまずはARE GOなどをもう一度レンタルで見返していきたいと思います。

 

 

 というわけで新年に入ってからも映画を楽しめて大満足でした。この調子で『大怪獣のあとしまつ』をはじめとしたこの先の公開作品も見ていきたいところですが、ここ最近またもや猛威を振るい始めたコロナウイルスの存在もあり、外出することを躊躇ってしまう自分もいます。

 映画も見たいけれども感染も防ぎたい。そんな思いのもと、感染対策を十全に整えながら映画館に行く所存です。映画に限らず、様々な娯楽を体調に気を付けながら楽しみたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:元々は2015年に開始されたクラウドファウンディングで製作された作品。出資者の元ににDVD・Blu-rayで発送された後、2016年にイギリスでプレミア上映。そして今年日本で劇場上映されるまでに至る。

*2:調べたところ、2020年から2021年にかけて製作された新作らしい。