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2022年映画簡易感想 その4

 

 

 ほぼ月1になりつつある映画感想が今回もやってきました。今回も数か月前に観た作品ばかりでほとんど今更感が強いと思いますが、自分の想いのままに感想を書き上げた次第です。そんな感想を読んでいただければ幸いですし、知らない作品に興味を持ってくれたらいいなぁ……とちょっと考えています。ともかく今回も宜しくお願いします。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島

 ガンダムシリーズの内初代ガンダムの第15話をリメイクした映画作品。本筋とはほとんど関係のないエピソードながら、単体として完成度の高い“いい話”なので今回の映画化にも納得しましたね。本作の監督を務める安彦良和氏が手掛けた『THE ORIGIN』に準じているのか、全体的にリアル調になっているのが特徴的な映画でした。それでいてコミカルだったり和やかなシーンは原作アニメを彷彿とさせるものが多く、どこか懐かしさも感じさせてくれます。※筆者は原作アニメのガンダム15話を見たことはあるものの、大分前なのでうろ覚えの場合があります。指摘に間違いがあった場合はご了承ください

 

 ともかく本作は原作と同じく「戦争が落とす影」に目を向けていくような内容でした。戦争によって家族を失った戦災孤児、そして彼らを育てるためにジオンを抜けた脱走兵「ククルス・ドアン」が暮らす孤島にアムロが介入することで、戦いがもたらすものについてを彼が知っていく展開は実に情緒的です。

 中でも身も心も連邦の軍人にならざるを得なくなってきているアムロが、それ以外の自分が求められていく様子が印象に残ります。最初は子どもたちに軍人として毛嫌いされていたものの、共に生活していく中でアムロ個人として好かれていく過程がまた微笑ましいですね。争いの渦中で戦いを強いられてきたアムロが、人間らしさとは何かを今一度見つめ直していくのがこのエピソードの魅力の1つだと思います。

 もう1人の主人公であるドアンに関しては原作からの変更点が多くて驚きました。まず共に暮らしている子どもが20人くらいにまで増加しており、さながら大家族の家長とも言うべき生活を送っていたことにギョッとさせられます。仲睦まじい光景にほっこりすると同時に、ドアンが抱えている子どもたちへの負い目が大きくなっているように思えましたね。(自分のせいで彼らの両親を死なせてしまったという事実はあくまで回想で仄めかしているのが特徴的です*1

 そして暮らしている島の奥深くにミサイルが設置されている事実にこれまた驚愕しました。恐らくはジオンが地球の各都市に向けて発射する予定だった兵器を如何にして無力化するのか……それを解決するために日夜戦ってたドアンに少しだけ悲しみを覚えます。自分の不始末を拭い去ろうとしているのは立派だと思いますが、その一方で彼が戦争の影から逃れられずにいることを深く印象付けられます。ただ、だからこそアムロがドアンのザクを海に投げ捨てることで、ドアンが戦いから解放されたことにより実感が得られたとも言えますね。

 

 その他ガンダムの目玉であるMS(モビルスーツ)での戦闘シーンはまずドアンのザク、通称「ドアンザク」の異様な強さが目に焼き付きました。巨大な岩を投げつける荒々しい戦法ではなくなった代わりに、ヒートアックス1本のみで高機動型ザク相手に圧倒する様子には驚きつつも痺れしました。凄腕のパイロットだったという設定に変更された故の、ボロボロな機体を操縦テクニックで補う玄人じみた戦闘に惚れ惚れさせられます。

 あとはアムロが駆るガンダムの恐ろしさがこれでもかと表現されていましたね。敵であるサザンクロス隊の1人を踏み潰すシーンのえげつなさもさることながら、後半ドアンたちの戦いに介入してからの鬼のような強さには戦慄してしまいました。ビームサーベルを構えながらゆっくりとこちら側に降りていく的視点の様子は、ガンダムが「連邦の悪魔」と呼ばれていることへの説得力を持たせてくれていたと思います。味方としては頼もしいことこの上ないだけに、宇宙世紀におけるガンダムの名前の恐ろしさを再確認した気分です。

 このように変更点がチラホラ見られたものの、個人的には気にならない程度だったので気兼ねせずに見られました。元々のエピソードが良く出来ていたからこそ、このように自由に変更出来る余地があったのかもしれません。明確な不満点を挙げるならば助けに来たスレッガーさんたちがあっさりやられたことくらい(空中戦は良かったものの不時着でジムの頭部が取れて戦線離脱はカッコ悪すぎて……)で、あとは概ね満足のいく作品でしたね。

 

 

劇場版 おいしい給食 卒業

 知る人ぞ知るドラマ『おいしい給食』の劇場版2作目。前作『Final Battle』は当時の情勢もあって映画館に足を運べず、レンタルで見ることになりましたが、本作は何とか映画館の大スクリーンで観ることが出来ました。ドラマのノリはそのままに、どこかウルっとさせられる内容を前にして観に来て良かった……!と思いましたね。

 

 そんな本作は上述の通り、給食を美味しく食べるという給食エンターテインメントとしての内容を見事に見せてくれていたのが最大の魅力でした。給食マニアの甘利田先生と生徒の神野くんの対決はドラマ同様シュールかつコミカルで、見ていてつい顔が綻びます。出てくる給食がどれも美味しそうなだけに、どう食べるかでマウントを取り合う2人のバカバカしさが相変わらず愛おしかったです。

 そのうえ甘利田先生の暴走ぶりがさらにパワーアップしているように感じたのが今回の劇場版の特徴。バトル中のオーバーリアクションもよりおかしくなっていましたが、それ以上に保護者向けの給食体験会に変装して潜入するシーンにはドン引きさせられました。ドラマSeason2の最終回で色々と包み隠さなくなってきた分、かえってタガが外れてしまったのかもしれません。そろそろ常軌を逸してきたものの、だからこそこの先生の魅力が増していたとも考えられますね。

 

 このようにいつも通りの世界観に、神野くんの卒業と給食改革という2つの問題立ち塞がってきたのが今回のキモ。特に後者は先生と神野くんにとって大打撃として描かれていただけに強く印象に残ります。健康志向のために給食が美味しくなくなってきているという事実は中々にショッキングです。(中盤で出てきた健康志向給食の「如何にも“美味しくなさそう”感」には逆に感心しました)もうすぐ給食が食べられなくなる神野くんにとって重大な、幸せが奪われる事態にどう立ち向かうかが大きな軸として描かれていましたね。

 そうした問題をシンプルな答えで執着させるのが素晴らしかったです。生徒のためという大義名分を振りかざす職員たち(というか鏑木委員長1人)に対し、「美味しい給食が大好きだから」という答えを以て訴え続ける先生の問答はかなり鮮烈に映りました。屁理屈で話を難しくしてしまう大人をあらかじめ見せたからこそ、それを脱ぎ捨てて神野くんと同じ舞台に上がった先生がカッコよく見えたのだと思います。

 そんなシンプルさは最後の給食のシーンでも描かれていました。先生が恥や外聞を捨て、これまで争いあっていた神野くんと同じ食べ方をする瞬間には思わず感動しましたね。卒業していく神野くんをライバルではなく、同じ給食を愛する同志として認めた先生の成長が窺い知れます。さらに卒業祝いのロールケーキを送るシーンなど、素直に美味しい気持ちを共有し合う形で2人の戦いに決着をつけたのは見事の一言。本作は神野くんとはまた別に、甘利田先生が小難しい教師の殻を“卒業”していくまでを描いていたように感じました。

 

 あとは給食センターの「四方田(よもだ)」さんが印象に残りました。甘利田先生の在り方に大人として無責任ではないか?と苦言を呈する一方で、自分子どもたちのために給食を作っているものの子どもたちに喜んでもらえない矛盾に苦しんでいるのが魅力的な人物でした。またこの人の存在が「何故給食は美味しいのか」という問いに向き合わせてくれていたのも特徴的です。

 四方田さんが自分の子ども時代の給食の苦しさを語りながら、大人の手を離れて食べる外食としての給食の美味しさを語るシーンには胸を打たれるものがありました。大人の小難しさの被害に遭った1人として、シンプルに美味しい給食を求めていたのが良く伝わってきます。四方田さんもまた、シンプルな答えを求めていた主人公だと個人的には感じましたね。

 

 

劇場版 異世界かるてっと ~あなざーわるど~

 人気の異世界作品が共演するギャグクロスオーバー作品の映画化。『オーバーロード』『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』『幼女戦記』『盾の勇者の成り上がり』の5作品をまとめた内容の劇場アニメ化には当初驚かされました。元々1話15分だけのショートアニメなのに、映画では上映時間が2時間近くということにも公開前は正直不安を覚えましたね。

 しかしいざ観てみたところ、予想以上にまとまった内容に感動させられました。テレビシリーズではコミカルな日常を過ごす主人公たちが、いつになく真面目に問題解決に動き出す様子はシンプルに興奮させられます。まるで『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』の映画を観たかのような満足感を覚えましたね。

 

 本作の魅力は何といっても映画オリジナルキャラにあります。パンタグリュエル」と「アレク」、そして「ヴェラ・ミトロヒナ」の3人がそのオリジナルキャラにあたりますが、既存の主人公たちと自然に馴染んでいく様子に驚かされました。それぞれ元の作品世界と関わりのある人物である*2のですが、それ以上に彼らの身の上が濃密に描写されていくことで、オリキャラの物語にのめり込むことが出来たのが最大のポイントだったと言えます。

 帝国と合衆国の戦争の被害者であるヴェラのやるせない憎しみ、ゴーレムであることを隠していたパンタグリュエルの寂しさなどが描かれることで、いつの間にか彼女らに感情移入させられました。それ故すれ違っていく彼女らを救うために奮闘するアインズたちに興奮させられたのだと感じましたね。オリキャラを中心にしつつ既存の主人公たちを活躍させる構図は、テレビシリーズのあるアニメの劇場版として理想的なものだったと思います。

 

 また元のシリーズの魅力でもあった他作品のキャラ同士の絡みは本作においても健在。各キャラが原作の時とほとんど違和感なく動き・喋るので、見ていて安心感がありますね。そこに別の世界の人物が加わることによって生まれる化学反応が映画でも変わらず楽しめたのは、ファンとしては嬉しいところだったと思います。そのうえテレビシリーズでの出来事を経たからこその新しい組み合わせの会話が見られたのもあってより素敵に仕上がっていました。(個人的には最後の作戦でデミウルゴスがトリをスバルに託すシーンがここすきポイント

 そして本作はバトル要素も多めだったおかげで、各キャラ本来の強さを存分に見せてくれたのがまた素晴らしいポイントでした。*3あのキャラとこのキャラが力を合わせるとどうなるのか……というファンの妄想を叶えたかのような絵面に興奮させられます。また敵ゴーレムを相手に戦う様子が次々と映される演出は、さながら特撮ヒーローのオールスター映画を観ているかのようでした。テレビ本編に続き、クロスオーバー作品のお手本のような仕上がりに大満足です。

 

 あとは本編とは深く関わりがないものの、リゼロ勢の扱いにも注目しました。冒頭からスバルの周囲がアニメ2期終了後のように変化していたのでびっくりしましたし、エンドロール後のガーフィールとオットーのサプライズ出演にはこれまた驚愕しました。(前者はもしかしたら今後他作品のキャラたちにも適用されるかもしれませんが)上述のアレクの件も含め、テレビ本編の時点から明らかに扱いの異なるリゼロ勢に何か重要な秘密があるのではないか?と改めて思いましたね。

 

 

 先月まで観たい映画の多さにてんてこ舞いになっていたのですが、ここ最近は大分落ち着いてきました。家でゆっくり出来る時間が増えたのは少々嬉しいですね。まぁその分、別の作品を配信で見たりするので結局のところ忙しいのですが……

 とはいえ『ONE PIECE』の映画やアニポケ映画のリバイバル上映など、観たいものはまだまだあります。そちらのことも忘れず、これからも映画を楽しんでいく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:この辺りは原作を見ていないとわかりにくいが、ある程度元ネタを知っている人向けの作品と考えると仕方ない部分のようにも思える。

*2:アレクに関しては映画鑑賞後調べてみた結果、リゼロ世界において関わりがあるどころか超重要人物だという情報を知りびっくりした次第。

*3:幼女戦記勢は銃火気が持ち込めなかったので原作さながらのバトルは出来なかったものの、チームワークの点で活躍していたと言える。