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仮面ライダーギーツ 第9話「邂逅F:Wake up!モンスター」感想

学び学ばれ、最後の勝利へ──

始まりのゲームは幕を閉じ、また新たな世界が造られる

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  • スターが学び、立ち上がる時

 景和の脱落というメタ的な意味で大番狂わせな展開が待っていた前回のギーツ。加えて缶を蹴ったはずなのにゲームが終了しないなど不穏な描写もありましたが、エリア拡大によってエリア外に飛ばされなかった扱いになってしまったことが今回明かされた時には内心ズッコケてしまいました。前回に続く後出しのルールにそんなのアリ!?とツッコみそうになってしまいます。(とはいえこの事態は運営からしても想定外だったらしいので、ツムリたちを責めるのは酷なようにも思えますね

 

 それよりも今回は、最終ゲームにてようやく描かれた英寿の内面が最大の見どころでした。後述の卵を育てる緊急ミッションを受け、自分だけが孵化させられていない状況に焦りを見せたことには驚きました。道長や祢音の前ではいつもの余裕な態度を崩さなかっただけに、1人きりになった時の神妙な表情が印象に残ります。(英寿が何かと他人を化かしているのは、自身の弱い一面を隠すためなのかもしれません)ただこれまで何度も自信たっぷりなスターを演じてきた英寿にも、こういった人間臭い一面があったことにはどこか嬉しくなりましたね。

 そんな英寿を奮い立たせてくれたのが道長、という展開も素晴らしかったです。彼の「死んでも生き抜いて勝ち残る」という姿勢が英寿の臆していた気持ちを払ってみせたことにはグッときました。勇気や無謀に対する「どうでもういい」発言は一見するとヤケクソになっているようにも聞こえますが、これまでの道長の描写のおかげで決してネガティブになっているのではないことが読み取れるのも良かったですね。

 何よりずっと自分の方が強いかのように振る舞っていた英寿が、子どものようにあしらっていた道長の影響を受けた事実が興味深いです。さながらずっと忘れていた初心を、子ども扱いしていた相手に思い出してもらったかのような構図です。*1おかげで英寿がここにきて新たな一歩を踏み出したようにも感じられますね。ずっと不遜であり続けた英寿が最後のゲームでようやく人間的な葛藤と成長を見せてくれる、非常に面白い内容でした。

 

 

  • 飛んで貫いて、弾き飛ばす一撃

 

ARMED PROPELLER!

ARMED DRILL!

 

 上述の通り今回はそれぞれのプレイヤーが卵を孵すことで新バックルを手に入れるという緊急ミッションシステムが導入されていましたが、何故卵なのかといった説明が全くなかったので困惑が大きかったです。戦いの中でも常に持っている理由も不明でしたし、元々不明瞭な点が多いデザイアグランプリの中でもとびきりわけがわからなかったですね。

 それはそれとして、そうして手に入れたバックルである「プロペラ」「ドリル」レイズバックルにはどれも性能的に良いアイテムという印象を受けました。プロペラは羽の部分を武器にしつつ、空を飛べるという現状唯一無二の能力でラスボスに近づくのにピッタリでしたし、ドリルはこれまでの小型バックルの中でも特に高い攻撃性能を発揮していました。(力押しが基本のバッファの戦闘スタイルとドリルの相性の良さよ)どちらも小型ながら優れている辺り、ゲーム終盤で手に入るアイテムらしいといったところでしょうか。

 

SET.

 

MONSTER!

 

READY FIGHT!!

 

 そして英寿が(無理やり)孵した卵の中から出現した「モンスター」レイズバックルを装填して変身した派生形態「モンスターフォーム」。大型バックルの1種なのですが、誕生経緯をはじめとして他のバックルとは異なる点がいくつもあります。無機質かつ機械的なデザインが多いバックルの中で動物のようなキャラクターの意匠が入っている(バックル自体に意思がある?)うえ、待機音含めた変身音も固有のものになっている異質さにまず目が行きますね。

 ギーツが変身した後の形態も独特のビジュアルをしていました。青いボディをベースに黄色の星のマークがいくつも散りばめられたような装甲と、両腕に付いた巨大なグローブが特徴的です。グローブ以外の装備がない辺り、大型バックルによる形態の中でも近接戦に振り切っているのでしょう。見た目はファンシーに思える一方で、どこかゴテゴテしさも感じられます。

 そしてあの巨大なラスボスを必殺技のパンチ1発で撃破する性能にも驚愕。伸びて巨大化した腕ギア3かな?を使ったパンチという豪快さに反して、体内にある缶を的確に破壊する精密さも相まって凄まじい威力でした。可愛らしい見た目に反した圧倒的なパワーはまさに怪物(モンスター)といったところ。デザイン、性能のどれもが他のバックルと一線を画するバックルとして、強烈な印象を残してくれましたね。

 

 

  • 新たなデザ神が願う世界

 そんなわけでラスボスを撃破した英寿がまたもやデザ神として降臨。勝利したことでいつも通りの憎たらしい素振りを見せていた英寿でしたが、上述の件もあってか道長たちへの態度がいくらか柔らかくなったようにも見えました。この辺りのシーンからは取るに足らない相手だと思っていた彼らを、英寿がようやく対等なライバルとして認めたようにも感じられますね。ずっと険悪だった道長との和解の道も示されたように感じられて大変良かったです。

 それはともかく、デザ神になった英寿の願いをツムリが「叶えるべきではない」と物申すシーンが気になりました。ここまでプレイヤーに好意的に接してきたツムリがここまで難色を示すほどの願いとは何なのか?それをまず考えてしまいます。叶えてしまうことで人類や運営側に何かしらの不都合が発生してしまうのでしょうか。(それでも叶える義務を果たした辺り、運営は良心的ですね)

 またようやくプレイヤーたちの前に姿を現した「ゲームマスター」の正体がギロリだと判明するラストも衝撃的。まぁ薄々そうだろうとは思っていましたが。わざわざ2つの顔を使い分けてゲームを進行する理由とは何か?ついに姿を現したパンクジャックの変身者といい、最後の最後に色々と気になる要素を次々と残してくれる終盤でした。

 

 

 というわけでデザイアグランプリは終了し、同時に2から始まった「邂逅」シリーズも無事完結。そして次回からは「謀略」シリーズがスタートする模様。

 新しく始まるデザイアグランプリで英寿をはじめとしたお馴染みの面子に加え、また新たなる参加者が次々と出てくるようで期待に胸が高鳴ります。特に今回姿を見せたパンクジャックの正体名前が30分前のアニメの主人公と同じだ……やナーゴが見せる新フォームなど、序盤から色々と飛ばしていくらしいのでワクワクが止まりません。残念ながら来週はお休み、次回は再来週になるようですが、気長に待っていたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:ずっと英寿に一矢報いようとしていた道長が、彼の心を動かしたという点で念願を果たした……と捉えることが出来るかもしれない。