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2023年春アニメ簡易感想 その8

 

 

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 現在放送中のアニメ『【推しの子】』も3話目に突入。制作陣の熱意が伝わってくる演出もあって2023年春アニメの中でも特に注目されている1作と言えるでしょう。かくいう僕も毎週本作に驚きとワクワクを感じながら視聴しています。

 そんな推しの子のOPテーマである「アイドル」ですが、YouTubeで公開されている公式MVをつい先日視聴しました。(公開されてから見るまで大分時間がたってしまいましたが)その結果、本作のキーパーソンである星野アイの心情を完璧に表した歌詞に息を飲むことに。周囲が求める完璧なアイドル像をこなすアイの表と裏を語りつつ、最後には嘘偽りのない愛する子どもたちへの「愛してる」に帰結する内容には感嘆する他ありません。『水星の魔女』やドラマ『大奥』*1の主題歌でもわかっていましたが、OPを担当しているYOASOBIさんのタイアップ作品の理解度の高さは毎回素晴らしいです。

 映像に関しても見事の一言。1番の歌詞の間は華やかで煌びやかな世界観でしたが、2番に入ってからの毒々しさに代わっていく映像にはビビりましたし、クライマックスに成長したアクアとルビーを持ってくる演出が何とも憎かったです。アニメ1話を見た後だと本当に感動出来るMVになっているので、まだ見ていない人は是非上の動画などで試しに視聴してみてください。下に続く

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

【推しの子】

第3話「漫画原作ドラマ」

 今回は原作読者から「重曹ちゃん」の愛称が付けられた「有馬かな(ありま・かな)」がメインのストーリー。彼女がヒロイン役として出演するドラマにアクアが関わる中、かなの役者としての強い姿勢が印象に残りました。漫画原作の実写化というある種の鬼門、役者を売り出すための企画に対して少しでも良い作品を作ろうとひた向きになる様子に惚れ惚れさせられます。コミュ力や他者への配慮も子役時代の頃とは比べ物にならないほど出来ており、苦難に晒されながらも努力を怠らない精神力には感動すら覚えますね。また一方で先輩として舐められたりやや毒舌だったりとネタ要素も満載なのが重曹ちゃんの魅力なのだ……

 そんなかなと再会を果たしたアクアも、彼女に少しずつ影響を受けていくのが今回のポイントの1つでもあります。例によってアイを死に追いやった父を追う執念を見せていましたが、かなとの触れ合いで役者としての道にも目を向ける兆しが出来かけていることが伝わってきました。そんな必死に頑張ってきた彼女が評価されていない現状に静かに憤っていたことからも、アクアのドライになり切れない人情味が感じられますね。総じて復讐に囚われているアクアにとってかながどれだけ重要な存在なのかがよくわかる回でもありました。

 

 

山田君とLv999の恋をする

第4話「山田さんのこと好きなんですか?」

 

【悲報】あかねっちが4話の序盤まで瑠璃姫がネカマであることに気付いていなかった件www

 

 まさかここまでヒントを貰っても気付かなかったとは……視聴者視点だとバレバレですが、茜からすればやはりアバターと本人のイメージを別と見れなかったのかもしれません。(前回の感想でも触れましたが、やはり一般人からすればネカマは理解し辛い文化なのでしょう)瑠璃姫ちゃんが「佐々木瑛太(ささき・えいた)」というメガネ男子という事実にガチでショックを受けている茜にはご愁傷様としか言えませんね。

 それよりもオフ会では瑛太の妹である「佐々木瑠奈(ささき・るな)」の噛みつきっぷりが強烈でしたね。茜に対して異常なまでに敵意むき出しな態度からは思春期の暴走というより、今のグループへの依存が感じられます。友好的な電話で誘うながらも裏がありそうな流れも中々におっかなくて、そういった意味では兄の言うような縄張り意識が強い、「サークルの姫」感溢れるキャラだったと言えるかもしれません。
 そのためアウェーな状況でもいつも通りだった茜にはある種の尊敬の念すら抱きます。失恋から立ち直ってからの前向きっぷりがまた可愛らしく思えてきました。一方で食生活に難がある山田にカレーを渡すなど、世話焼きお姉さんとしての一面も見せてくれたのがちょっとしたここすきポイント。上述の通り瑠奈との関係で一波乱ありそうなのが心配ですが、まぁそこは山田のフォローに期待しておくとしましょう。

 

 

スキップとローファー

第4話「ピリピリ カツカツ」

 前々からどこか掴みどころのなかった志摩くんですが、今回の前半で彼の心情を少しだけ垣間見ることが出来ました。子役としての過去は2話で語られたので置いておくとして、志摩くん自身が父親との関係や演じることに疲れていたことがわかったのは大きな収穫でしたね。自分は美津未や演劇部部長の「兼近鳴海(かねちか・なるみ)」先輩のようなしっかりとした目標を持ててないと卑下する様子からも、彼が目的や自分を見つめる機会を見失っていることがわかります。(余談ですが、兼近先輩にもしっかりフォローを入れてあげているのがここすきポイント。)それ故志摩くんに対して美津未のポジティブぶりが光っていたと思うので、彼もここから少しずつ前向きになれるのでしょうか。

 そして後半は生徒会会計の「高嶺十貴子(たかみね・ときこ)」先輩にスポットが当たることに。分刻みのスケジュールで自分を戒めているストイックな彼女が、美津未の天然さに癒されて態度が柔らかくなっていくのが微笑ましかったですね。美津未そっくりの猫が出てくる夢は少々シュールでしたが、高嶺先輩が自分を許してゆっくり過ごせるようになったと考えると悪くありません。「余裕を持って行動する」ことの尊さを丁寧に描いていたので、見ているこちらもほっこりさせられました。そして高嶺先輩の笑顔に脳を焼かれたサッカー部部長の瀬川くんが可愛いこと可愛いこと……

 

 

この素晴らしい世界に爆焔を!

第4話「紅い瞳の孤高の少女(ロンリーマスター)」

 友達とは何だろう?といった友人関係に足を踏み込んだ回。前回図書館のパートでゆんゆんに友達が出来ましたが、その「ふにふら」と「どどんこ」の2人にお金をたかられる展開にはちょっと愕然としました。「病気の弟に薬を買うため」という如何にも嘘くさい理由を怪しんでいたものの、最終的には渡してしまったゆんゆんの方にも少々呆れてしまいます。基本的には頭がキレるものの、ぼっちの経験からか友達のことになると判断力が鈍るゆんゆんの問題はこの頃からだったことが良くわかります。

 そんな騙されたゆんゆんのため、ふにふらたちに本気で怒るめぐみんがまぁカッコいいこと。「あの子は私の次に頭のいいから気付かないはずがない」といった言葉からもゆんゆんへの想いが感じられてついニヤニヤしてしまいます。普段はからかいからかわれる関係ながら、やはり奥底では信頼し合っていることがわかりますね。ある意味でめぐみんとゆんゆんは正しく「ライバル」をやっていると言えるかもしれません。(一方でめぐみんに合わせてスキルポイント調整をしていたゆんゆんが重すぎてちょっとドン引き……

 本筋以外でもめぐみんのパーティーの妄想など、このすば本編を知っているとニヤリとなるシーンも多くて面白かったです。イメージ映像の仲間がカズマたちと似ているようで微妙に外しているデザインなのがまた腹筋に悪いです。あとはやっぱりカモネギがほぼそのまんまなのが……

 

 

贄姫と獣の王

第2話「熊蜂と貴族の宴」

 サリフィが王妃になった衝撃が劇中の人物に大きく影響を与えた2話目。何と言っても人間を娶った王様に対する魔族たちの反感が露骨で変な笑いが出てきました。異なる種族がいがみ合う様子も見られ、この辺りのドロドロとしたやり取りからは魔族の国が1枚岩ではないことが読み取れます。彼らのような相手を王の威圧と暴力で黙らせようとする王様の強引さも鼻につきましたが、同時にこの国の歪みや王様の小心な内心が感じられましたね。(王様自身の「虚像の王」としての自嘲的な姿が目に焼き付きます)

 一方サリフィは王様の役に立つよう積極的に動いていくものの、自分が王様と魔族たちの間に溝を作る原因であると曇り始めていたのが印象的でした。自分が傷つくよりも愛する人の重荷になってしまうこと、何より「自分はいないほうがいいのかもしれない」ことに苦しむ様子は奇しくも今回の王様とそっくりです。それ故お互いに相手を必要としているという、1話の時と同じ答えを再確認するラストが心に響きました。自らを「熊蜂」と「造花」に例え卑下するオシャレな演出も相まって、2人ならとポジティブに捉えていく関係性が素晴らしかったと思います。

 

 

 推しの子アニメはOPの完璧さもさることながら、EDがまた素敵であることも忘れてはいけません。その女王蜂さんが歌う「メフィストは、アイの子どもたちの心情を端的に映してくれているこれまた素晴らしい楽曲に仕上がっています。

 

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 復讐の道に進むアクアをダウンビート、アイドルの栄光と母への憧れを見るルビーをアップビートで奏でるそれぞれのパート、そしてアイという星に手を伸ばすものの届かない切なさまでを歌った歌詞が何とも素敵。約2分という長尺と、映画のスクリーンのような横長の映像もあって耳と目で感じ入ってしまいますね。

 あとこれは個人的な余談ですが、EDを歌う女王蜂さんが注目されていることにちょっとニヤリときてしまいます。女王蜂さんのアニメタイアップ曲を以前から聞いていた身としては、ようやく多くの人にこの人の素晴らしさが伝わったか……!などと後方ファン面みたいなことをつい考えてしまいます。メインボーカルのアヴちゃんさんの歌声がまた最高で、是非多くの人にこのバンドの魅力に気付いてほしいと考えてしまいますね。

 そして女王蜂タイアップのアニメはどれも面白いからこっちもチェックしてもらいたいところ。具体的には『どろろ』と『後宮の烏』と『犬王』がおすすめだからみんなも見ようぜ!!

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ドラマ版大奥の主題歌に関しては、YOASOBIメンバーの幾田りらさん(YOASOBI内では「ikura」名義)がソロで手掛けている。