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ウルトラマンブレーザー 第3話「その名はアースガロン」感想

深まるチームの輪

「シュワッチ!!」のセリフを切り取って「アッチ!ウワアッチ!」に変えるスタッフには脱帽の一言

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  • 静かに、しかし確かに結束していく者たち

 前回のラストでメカニック担当の「バンドウ・ヤスノブ」が合流し、ついに全メンバーが揃ったSKaRD。今回のブレーザーはそんなSKaRDの訓練と実践の様子がメインで描かれていました。個人的にはまずハルノ参謀長からの「アースガロンでブレーザーよりも先に怪獣を撃退せよ」という命令、そしてタガヌラーが起こした被害が明かされたものの、訓練そのものは特に変わったことなく行われていたのが素敵だと思いましたね。色々と起こっている中隊員たちを変に気負わせずに、いつも通りに過ごさせるゲント隊長の普段の振る舞い方が伺い知れます。

 さらにその楽しくてしんどい訓練などで隊員たちの仲が深まっていく様子が素晴らしかったです。ヤスノブは最後に合流したもののアンリやエミたち同年代とすぐに仲良くしていましたし、その他メンバーとも訓練や作戦立案の中で打ち解けていく過程がさらりと、それでいてじっくり描かれていました。おかげでいざ出撃の時のコンビネーションの良さを違和感なく見ることが出来たと言えます。訓練の内容も厳しそうな一方で、どこか微笑ましさを覚えましたね。(中でもジオラマを使った怪獣戦の想定訓練が楽しそうでした)

 次世代エネルギー「液化ティーテリウム」を狙うタガヌラーとの戦闘ではアースガロンの出撃・戦闘開始の過程もスムーズで、この辺りでも訓練の成果が出ていたように見えます。(余談ですが、関智一さん演じる科学者を抑えつけていたエミがここすきポイント)今回の作戦の結果だけを言うとタガヌラーにアースガロンを倒され、トドメもブレーザーがやってくれるなど散々でしたが、隊員たちの結束力は間違いなく上がったとわかる戦いでもありました。テルアキ副隊長の「良いチームにしていきましょう」という言葉に思わず見ている側も頷いてしまうくらい、アットホームかつ優秀なSKaRDに期待が持てる回だったと思います。改めてこのチームの今後が楽しみになってきましたね。

 

 

  • 隊長の優しい表と未だ見えぬ裏……?

 そんなSKaRDを引っ張るゲント隊長の手腕にも唸らされた今回。アンリに対しこのチームの自立性を説くシーンや航空部隊や「そちらの攻撃がこちらに当たるかもしれない」と半ば脅す形で引かせるなど、上手い!と感じさせるやり口には思わず舌を巻きました。自身が考える「隊員自らが考え、共に行動していく理想のチーム」を実現するために、時に親しげに時にクレバーに行動する隊長には驚かされるばかりです。

 その一方でゲント隊長がブレーザーの件について思案していた様子も印象に残りました。前回から何故自分がウルトラマンになれるのか?と考えていましたが、今回はそのきっかけとも言える出来事の回想シーンが出てきたのが興味深かったです。避難が送れた一般人だと思っていた光に手を伸ばした結果……という流れが、隊長のキャラクターとウルトラマンの神秘性を同時に感じさせてきます。周囲には普段通りに接する中1人の時などに暗い表情を見せるのは、そのことに関する苦悩が入れ混じっているからでしょうか。

 またロッカーから隊長の妻子の写真が確認出来たのも注目ポイント。妻「ヒルマ・サトコ」と息子「ヒルマ・ジュン」という2人の家族*1がわかったのは収穫ですが、今のところ隊長の口からこの2人についてが全く出てこなかったのが少し気になりますね。妻子持ちという設定である以上近いうちに出てくるのだろうとは思っていますが、現状全く出てこないことには何とも言えないじれったさを覚えます。仕事中に家族の話をしないだけとも取れますが、もしかしたら写真の家族は……とちょっと不穏な妄想をしてしまいそうです。フレンドリーに見せかけて自分の奥底は隊員にも視聴者にもあまり見せないゲント隊長に、これからも目が離せなさそうです。

 

 

  • 空を飛び大地を駆ける、青き鋼鉄の機獣

 前回のラストでその姿を見せた「23式特殊戦術機甲獣 アースガロン」。怪獣対策チームであるSKaRDの主戦力「特戦獣(とくせんじゅう)」の1体です。*2直立二足歩行の怪獣型、いわゆる「ゴジラ体型」をしており、人型に近いシルエットながら怪獣らしさも残しているデザインとなっています。武骨な装甲も相まってかなり厳ついのですが、顔は割と可愛らしいのが特徴的ですね。丸い目とピンと立った耳、口元はさながら子犬のような愛らしさが感じられます。(さらに戦闘中に倒れてピンチになるとグルグル目になるぞ!めっちゃ可愛い!!)

 武器は口に搭載された過電粒子砲「アースカノン」と両手に装備された機関銃「アースガン」、そして尻尾のハッチから発射される「テイルミサイル」。そこにロボ怪獣らしい膂力を合わせることで、巨大な怪獣に引けを取らない戦闘能力を発揮してくれます。残念ながら今回は上述の通りタガヌラー相手に押し負けてしまいましたが、タガヌラーの片方の鎌を破壊したりテイルミサイルでブレーザーを援護するなど最低限の仕事は果たしてくれたと思います。まだまだ起動したばかりなので、今後の戦いに期待したいですね。

 またこのアースガロンの出撃シークエンスの気合の入りようも今回の注目ポイント。ゲント隊長とアンリがコックピットに乗り込むと同時にテルアキ副隊長が整備班の人たちと通信・各部位のチェックをしたのち、ゆっくりとカタパルトが開き地上へ。冷却水を浴びながらリフトオフする過程をじっくり見せる演出で大いに感動させられました。ロボットものでこういった発進の手順をしっかり踏んでくれるのは、ファンとしてもすごく嬉しいです。またアースガロンの見た目と相まってゴジラシリーズのメカゴジラ(個人的には三式機龍)を彷彿とさせたのもたまらなかったですね。少年とオタクの心両方をくすぐってくれる、アースガロンの魅力を伝えるには最高の演出だったと思います。

 

 

  • 灼熱の鎧に身を包む大鎌甲虫

 アメリカをはじめとした各国の液化ティーテリウムを食するために出現した「甲虫怪獣 タガヌラー」。その別名通り、虫の特性を持った怪獣です。甲羅のような巨大な羽と両腕の大鎌、そしてその名前からタガメがモチーフにあると思われます。一方で顔の前面にゾウ(あるいはゾウムシ?)のような鼻を持っており、横長の線を引いたような目は間抜けな可愛らしさがあるもののどこか不気味なものを感じますね。虫の怪獣特有の、感情が読み取れない顔つきになっていると言えます。

 武器は上述の大鎌に加えて体内の熱を鼻から放出する熱エネルギー光線。液化ティーテリウムを餌として吸収し続けた結果体内温度が数万度に迫るほど上昇しているため、その熱を利用した光線や熱した鎌の威力はかなりのものとなっています。加えてその体内温度はウルトラマンですらまともに触れない高熱の鎧と化しているため攻撃することも困難。ただでさえ丈夫そうな外殻と相まって、アースガロンとブレーザー双方が攻めるのに苦労していましたね。

 そして液化ティーテリウムを大量に食べたことで体内のエネルギーが臨界点に達しており、下手に触れればエネルギー融合で大爆発を起こしてしまうとんでもない特性まで判明。この生きた爆弾を如何に安全に倒すのか、今回の戦闘はそこに焦点が当たっていたと思います。最終的にはブレーザーがタガヌラーの熱エネルギーを全て上空に放出させたおかげで難を逃れましたが、かなりギリギリの状態でしたね。食い意地が張っていたという点では前回のゲードスと通じるものがありますが、最後まで愛嬌に溢れていたあちらと比べると終始厄介だった、という印象です。

 また今回の戦闘シーンではブレーザーがタガヌラーの熱さに驚いていたのが面白かったです。触れた手をブンブンさせる仕草のほか、「ウワッチ!」と喋った時は思わず吹き出してしまいました。恐らくはウルトラマンでお馴染み「シュワッチ」のセリフを合成して作った音声なのでしょうが、わざわざそれを作ってみせた技術力に驚かされますね。(何より何とも人間臭いブレーザーにほっこりさせられます)毎回の如くコミカルな要素を見せてくれるブレーザーですが、今回もその本気で熱そうな様子のおかげで緊迫感が若干薄らいだ気がしました。

 

 

 次回は謎の軟体怪獣・レヴィーラが出現。見た目の不気味さに違わずまともに相手が出来ない怪獣のようですが、対抗手段は何と新型殺菌剤とのことで結構衝撃的です。しかもその殺菌剤を販売している化学企業には黒い秘密があるようで……?その秘密からして、いよいよ本作でも宇宙人の暗躍が見れそうな予感がしますね。そしてその企業に調べるエミが主役という点にも注目したいところです。前回から様々な場所に潜入する彼女の活躍も実に楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:名前に関してはOPのクレジットから確認した。

*2:最も現在判明している特戦獣はアースガロン1体のみ。しかし今後別の特戦獣が登場する可能性を考慮し、この場ではこのように書かせていただく