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ウルトラマンブレーザー 第4話「エミ、かく戦えり」感想

その身を賭して真実を掴む

宇宙人が黒幕かと思いきやそ、そう来たか~~

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  • 敵を欺き、味方を導く女傑

 今回のブレーザーはサブタイにもある通りSKaRDの情報収集担当・エミが主役のエピソード。怪獣・レヴィーラを退けられる謎の殺菌剤「FK1」の秘密を探るため、化学企業「ノヴァイオ」に潜入、社長である「曽根崎浩(そねざき・ひろし)」の秘書として潜入している場面からスタートしました。本編開始時には既に潜入を果たし、順調に捜査を進めているエミの有能ぶりがまず印象に残りますね。ゲント隊長との情報交換のシーンでも、冷静に自分の任務をこなす真面目な面が見られました。また前回までの潜入では明るいキャラクターでいましたが、秘書ということで物静かな女性を演じきっている点に驚かされます。情報収集担当は伊達ではありません。

 中でも曽根崎から決定的な証言を得るために、敢えて潜入していることをバレるように仕向ける作戦に出た時は膝を打ちましたね。作戦を中断せざるを得なくなった状況で証拠を手に入れようとゴネるエミと、それを止めるゲント隊長の口論には劇中の曽根崎共々まんまと騙されました。そして何とかしようと焦る様子も全ては演技だとわかった今、彼女の計算高いキャラクターが見えくるようです。仲間たちにはフレンドリーな態度を取りつつ、任務中は冷静に虎視眈々とこなしていく……複数の顔を使い分ける、エミの底知れないスペックがこれでもかと伝わってきました。かといって冷徹な人物という話絵でもなく、隊長たちに向けるキャラも嘘ではないとわかるのが何とも素敵な話だと思います。

 あと余談ですが、エミがゲント隊長に花束を渡すラストシーンが印象的でした。ピンク色のガーベラに込められた花言葉感謝」から、お互いの相手へのリスペクトが感じられます。またご家族宛てと誤魔化すのが何とも可愛らしいです。(それはそれとして隊長の家族は今もご存命なのだろうか……?)本作のチーム仲と、エミの照れ隠しの両方にほっこりさせられる場面でしたね。

 

 

  • 恐るべきは人間のエゴ

 エミの活躍が素敵な回でしたが、同時に強烈な印象を残してくれたのが事件の黒幕である曽根崎社長。上述の通りレヴィーラを密かに生み出し、それを苦手とするFK1で対峙したかのように見せるマッチポンプを仕掛けた社長でしたが、その正体と目的は中々に衝撃的なものでした。というのも筆者は前回の予告の時点でこの社長が宇宙人であろうと予測しており、いざ本編が始まってから真相が近づくまでの間ずっとその考えで視聴していました。そのため曽根崎が宇宙人でも何でもないただの地球人だという答えに愕然としましたね。「こういうのは大体人間に化けた宇宙人の仕業だろう」という、ウルトラマンシリーズを見慣れたファンほど陥りやすい考えに、意表を突かれた気分です。

 他にも曽根崎の目的にドン引きすることになりました。レヴィーラによるマッチポンプを日本のみならず世界でも行おうとする理由が金ではなく、自らの名声を集める「リスペクト」というのはあまりにも下らなすぎて一周回って新鮮さを覚えます。瞑想中の自作曲やスクラップブックの切り抜きなどからも、彼のそのナルシストっぷりが伺えます。一見するとコミカルで愛嬌がありますが、そのためだけにここまでの被害を出したと考えると中々に凶悪です。元地球防衛軍所属の科学者としての頭脳を悪用し、怪獣までも利用して自らの自尊心を満たそうとした曽根崎の俗物ぶりは、良くも悪くも本作屈指のインパクトとなったと言えます。そして期待していた宇宙人の暗躍よりも先に、エゴに塗れた地球人を描く本作の挑戦的には作風にも舌を巻くことになりましたね。

 

 

  • 透けた身体を揺らし進む溶解天魔

 今回冒頭から登場した「軟体怪獣 レヴィーラ」は本作の新規怪獣の中でもかなり異質な存在。白濁した半透明のボディはグニャグニャと柔らかく、頭部と思われる部分は花弁のような形状で目や口も確認出来ない、奇怪なクリーチャー然とした見た目となっています。体の至るところに赤や黄色、紫がかった部分がある点も、この見た目だと綺麗な印象と同時に毒々しいショッキングさも内包していると思います。「水辺や海の生物がモチーフになっている」という共通点があったりするようですが、クリオネのあの可愛らしい神秘さと不気味なビジュアルをある意味で再現していると個人的には感じますね。

 またこのレヴィーラ、貧弱そうな見た目に反してブレーザーを力押しするレベルには膂力がある模様ウルトラマン相手に意外とパワフルなようです。さらに頭部から光線を発射するほか、体を液状化して攻撃を避けたり背後に回り込むなどトリッキーな戦いでブレーザーを翻弄していました。アースガロンに投げつけられた液体窒素で体を固められなければ、あのままブレーザーに勝っていた可能性もあります。そう考えると本作序盤の中でもかなりの強豪と言えるでしょう。

 そんなとにかくユニークな要素で劇中の人物と視聴者を翻弄していたレヴィーラですが、上述にもある通りの曽根崎によって生み出されたものだと判明した時は衝撃を受けましたね。宇宙に飛来した隕石に付着していた生命体と人工クリオネを掛け合わせたとのことですが、その結果人為的に歪められた怪獣という印象を受けました。この奇怪な見た目も、そんな研究によって出来上がった歪さなのではないかと思うと何とも言えない後味の悪さを覚えます。何より遺伝子改造でFK1を苦手とするよう作られ、マッチポンプのために利用され続けると思うと途端に可哀想に思えてきました。ある意味ではこのレヴィーラもまた、曽根崎のエゴの被害者なのかもしれませんね。

 

 

 さて次回はアンリの故郷に山のような怪獣・ドルゴが出現。現地の伝説にも残っているというシリーズでもよくある「伝承に伝わる怪獣」ですが、このドルゴを巡った作戦にアンリの幼馴染が関わるようです。アンリたちと幼馴染、そしてこの怪獣との関係が非常に気になるところですね。そして次回活躍するらしい新型レールガンにも注目したいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。