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仮面ライダーギーツ 第46話「創世Ⅷ:さよなら、ミッチー」感想

道を進む者に許しを

オタクはOP回収とかの伏線回収が大好きな生き物です

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  • 幸せの破壊者と失われていく意志

 前回ツムリの持つ創世の力も手に入れ、完全な創世の力で世界を元に戻した英寿。そんな英寿のおかげでギャングライダーズとか諸々いなくなったのはいいのですが、ジットたちの暗躍が続いているのが不穏な始まりとなりました。「バッドエンドゲーム」なるものの開幕を現代の人々に向けて宣言するなど、タダで終わるつもりがないのが丸わかりです。

 何よりジットが黒いツムリを生み出したのが印象的でしたね。予告の時点で姿を見せていた謎のツムリですが、前回本物のツムリが流した涙から生み出した「破壊の女神」とのこと。創世の力を一旦諦めてこの世界をめちゃくちゃに壊す気満々なのがこの時点で伝わってきます。今のジットの目的がオーディエンスの望み通り「この世界の不幸」にあるのは言うまでもありません。ここまでくると敵側のなりふり構わないやり口にドン引きせずにはいられないです。

 また英寿については創世の力をコントロール出来るようになった代償なのか、創世の神に近づいていく描写にもゾッとさせられました。体を鉄条網でがんじがらめに縛られて(主題歌の映像が本編で回収されてちょっとテンションが上がりますね)、ラストには体が石になっていくシーンまで挿入されたのが何とも不穏です。加えて毎回のルール説明に「創世の力を宿した者は、いずれ意志が消滅する」でダメ押ししてくるのがタチが悪かったですね。後述の景和たちが幸せを徐々に取り戻しつつある状況で、肝心の英寿が人柱となりつつあるのがやりきれないです。誰もが幸せになれる世界を目指しているものの、そのみんなに自分自身を入れていない英寿は果たして幸せになれるのでしょうか。

 

 

  • 長く険しい道を征く者

 今回のギーツのメインといえるのが道長VSベロバ。大智の創世の樹を使ってジャマトを生み出そうとしているベロバたちを止めるため、彼女との一騎打ちに挑む道長の捨て身の姿に期待と不安がない交ぜになりました。劇中でも言及されていましたが、道長自分を犠牲にしてでもケジメをつけようとしているのが伝わってきて気が気でなかったです。彼がそういう性格なのはこれまでの描写で十分理解していたものの、上述の英寿とはまた別に自分の幸せを放棄している点にヤキモキさせられてしまいます。

 そんな道長の決死の戦いで最初は彼が死んでしまうのではないかと不安にさせられたのですが、まさかのジャマ神フォームに一瞬変身してベロバに打ち勝った時は逆にテンションが上がりました。ベロバがプレミアムベロバではなく使い慣れている仮面ライダーベロバに変身していたのもあって、仮面ライダーの力が働いて勝利する展開には思わず膝を打ちましたね。自分が善人ではないことを理解したうえで、かつて結託した相手を倒してみせた道長の奮闘に一転して興奮が止まらなかったです。(そんな道長に「あんたと同じ墓に入ってやる」と最期に言い残したベロバの妄執も恐るべし)

 そして後述の景和とのやり取りで道長が贖罪を果たし、少なからず救われたように見えたのが素敵でしたね。長いこと誰も不幸にならない世界を求め様々なことをしてきた道長でしたが、最後の最後に自分の幸せを掴んでみせたと言えます。長く険しい道を進んで乗り越えた道長の「一本の道を長く征く男」*1の物語はこれで1つの終着点を迎えたことがよくわかる戦いでした。

 

 

  • 人を憎まず幸せを手にする時

 道長については景和との和解を果たしたのも今回の大きな見どころ。沙羅を手にかけてしまった件を謝罪した道長を、許し手を取り合った景和にこれまた妙に感動させられました。他にも景和がケケラとの決別を果たしたのがポイントで、これまでケケラが語ってきた仮面ライダー像を「お前が勝手に考えた妄想だろ」と突っぱねる瞬間はかなりスカッとしましたね。ここ最近は利用されっぱなしだった景和が、はっきりと自分の意志を見せたことに喜びを覚えます。

 また個人的には今回の景和が「人を許す」ことを覚えたのが見逃せません。英寿の「罪を憎んで人を憎まず」の助言を受け、上述の道長とわかり合ってみせたことへの感動は計り知れなかったです。相手のやったこと自体は許すことは出来なくても、あくまで罪と人は別。それを理解したうえで相手を憎まずに許すということがどれだけ難しくて大切なことか……そう考えると、景和がここで大きな成長を魅せてくれたのだということがよくわかりますね。誰もが幸せになれる世界を叶えるうえで必要なことをやってのけた景和に、個人的に拍手を贈りたいです。

 そうして成長した景和に報いるかのように沙羅がようやく帰ってきたのが視聴者にとっても嬉しかったです。それもこれも元凶である大智と交渉してクソデカフラスコジャマトの血清を手に入れたのが大きかったですね。ここでも大智自身への恨みがあるものの、彼への報復をせずにいたのが功を為したと言えます。幸せになるうえで欠かせない他者との関係性を、罪を憎んで人を憎まずの精神で描いたのは今回屈指の魅力的な要素だと個人的には思います。おかげでここまでのフラストレーションが吹っ飛ぶくらいには気持ち良い気分を味わえました。

 

 

 そして次回は道長に続いて景和がケケラと激突!ある意味で姉を手に掛けた元凶の1人でもある彼を止め、自らのケジメをつけようとしているのでしょう。ここまで何かと暴走していた景和ですが、今の精神的に成長した彼なら勝ってくれるだろうという安心感がありますね。景和には頑張ってこの世界を守る真のヒーローになってほしいです。

 また英寿の方はジットと対決する模様。生身で戦っていたジットもとうとう黒いゲイザー(グレア?)に変身するようで、ギーツとの対決を繰り広げるであろうことに胸が高鳴ります。英寿の方は創世の神となりつつあるのが不安ですが、どうにかして振り切ってほしいところですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。