新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーギーツ 第44話「創世Ⅵ:ネオン、かがやく」感想

愛と幸せはここにある

道長はさぁ……ぶっきらぼうな言い方しか出来ない子なの?(今更)

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 家族の求めた愛と幸せ

 今回のギーツは鞍馬家のストーリー後編。光聖が祢音のためにギャーゴに変身して戦っている様子の続きからスタートしました。ベロバによってボロボロにされ病院送りになったものの、沼袋/ブラーリを倒して娘を守り切った父親の雄姿にまず感激させられます。(ちなみにカウンター気味に必殺技を発動するシーンは特にカッコよくてお気に入りです)

 そして病院で語られた鞍馬一家の「幸せの話」にはさらにウルっとさせられました。「祢音との日々も本物だった」とようやく認め、それを幸せと感じるべきだったことを語る両親の様子に深く頷かされます。前回の時点で祢音もまた自分たちの娘であることを認めていましたが、それをキチンと本人の前で口にしたことでより感動が深まった気がしました。そのうえ今からでも幸せな日々を取り戻すとする姿勢は、この一家が本当の家族としてやり直す瞬間として見事なものだったと思います。

 そんな両親の言葉を聞いてようやく前向きになれた祢音が、父のIDコアとファンタジーバックルでナーゴに再び変身するシーンで思わずガッツポーズを取ってしまいました。予告の時点で父のコアを自分のコアに作り替える展開は予想していましたが上述の展開や父のものを意識した新変身ポーズと、予想以上に熱い構図で実現したので興奮もひとしおです。そうして変身したナーゴ・ファンタジーフォームでプレミアムベロバを圧倒する戦闘シーンは、創世編始まって以来のカタルシスに満ちていました。(父よりもファンタジーを使いこなしていること、中でも物体をすり抜ける能力*1を獲得してそれを存分に活かしていたのがここすきポイント)

 祢音周りのストーリーに関しては当初から若干生々しいものがあり、慟哭編での衝撃の真実からは一気に重苦しい存在として視聴者としてもかなり気になっていました。それが両親の改心による和解、そこから本当の愛と幸せを知って確かな成長を遂げる形で解決したのですからカタルシスが凄まじいです。長いこと苦難の道に晒されていた祢音だからこそ、彼女の物語の決着に心が震えずにはいられなかったです。

 

 

  • 不幸を求めた悪女の末路

 といったように幸せを手にした祢音に感動する一方、今回の戦闘シーン後のボロ負けしたベロバの敗走が目に焼き付きました。何といっても現れた道長に「お前が一番不幸に見える」という皮肉を当てられて取り乱す姿が衝撃的で、爽快感よりも悲壮感を覚えましたね。人の不幸は蜜の味とばかりに暗躍していた本人が思い通りにいかず、それが結果的に自分の不幸に繋がる構図は中々にショッキングです。これまで好き放題してきた分ある程度の報いは受けたと言えますが、外道なりに同情を寄せてしまいますね。そして鏡に映った自分の顔が崩れていくことに発狂するシーンは、ベロバの歪んだ感情の成れの果てといったものがあったように感じます。

 この一連のやり取りで見せたベロバの顔が崩れていく演出、そして未来人の「自分の理想の姿をデザインする力」を考えると、ベロバは誰よりも醜い自分を嫌っていたのではないか?とふと思いました。醜い姿こそ本当の自分であり、それが不幸とは認めたくないから他人の不幸を見て安心したかったようにも思えます。あくまで妄想の域を出ませんが、そう考えると今回のベロバのシーンにも納得がいきますね。もしそうだとするとベロバというキャラ自体がとんでもない皮肉に満ちた存在となりえるのが面白いです。他人の幸せを奪おうとして他ならぬ自分が不幸になる因果応報に、どこか複雑な気分にさせられる回でもありました。

 

 

  • 信じる心と犠牲になる悲しみ

 もう1つの大きな見どころだったのが道長VS景和。前回大智から知恵の樹についての話を聞き出した道長が、沙羅を救い出せたかもしれない可能性と共に景和を連れて帰ろうとする展開に胸を打たれました。ただまぁ「余計なことしてこの世界を拗らせやがって!」という言い方が不器用すぎて本当に景和を説得する気あるのかこいつ?とちょっと思ってしまったり……

 その後の戦闘シーンでは案の定ブジンソードにボコボコにされましたが、家族のために他を犠牲にしようとする景和へ投げかけた言葉、そして「俺はギーツを信じる」という言葉にはグッときました。かつて英寿に対して不信感や敵愾心を抱いていた頃を思うと、今の道長の英寿への素直な信頼には胸が熱くなりますね。(上の発言と比べてストレートに言う道長に余計に驚かされます)さらに景和に向けた言葉自体は厳しかったものの、彼に対する想いもしっかりと感じられました。幸せを奪う理不尽にずっと歯向かってきた道長が、幸せそのものにも目を向けてきた証拠と言えます。

 そんな道長の言葉にわずかに揺らぐ景和の姿も印象的。自分たち家族の幸せを真っ先に願うことを主張することは自体は間違っていないものの、景和本人は例によって苦しそうなのが見ていて辛かったです。今回のツムリの説得もそうでしたが、誰もが景和の幸せを願っているのに当の本人は自分を犠牲にしているのがよく伝わってきます。姉や両親を取り戻したい一心で、その他大勢どころか自分自身すら蔑ろにしていく景和を見ていて不安が止まらなかったです。上述のベロバ動揺、知らず知らずの内に不幸に塗れていく様子はかえって皮肉に満ちていましたね。

 

 

 ちなみに今回から主題歌の映像が差し返されたのも見逃せないポイント。来週公開予定の劇場版ギーツのシーンが流れるようになっており、毎年定番ながらいきなりテンションが上がりました。このシーンでは何が行われているのか?映画本編ではどのような戦いが繰り広げられるのか?などと、映像から様々なことを妄想するのも楽しかったです。それにしても何でギーツがバッファを肩車していたんだろうか……?早く映画本編の方も観たいものです。

 

 

 さて次回は奏斗/ダパーンがまさかの参戦!?序盤も序盤、邂逅編であっさり退場したライダーの1人が今になって登場すると誰が予想したでしょうか。ベロバが呼び寄せたライダーとして世紀末ゲームに加わるそうですが、彼の登場がどのような波乱を呼び起こすのか結構気になります。短い出番だったものの彼の破滅思考のインパクトはかなりのものだったので、あの時のような自暴自棄な暴れっぷりを見せてほしいところ。

 そして世界の改変をかけてついに英寿VS景和の戦いが繰り広げられる模様。強化された2人の戦いはずっと見てみたいと思っていたので、それが叶うことにまず喜びを覚えます。とはいえそれぞれが求める幸せを巡る決死の戦いなので、穏便に決着がつくのかと心配させられますね。さらには映画に登場する予定のゲストキャラ、そして黒いギーツの存在も確認出来ることから、ただでは済まないことが予想されますが……果たして創世編の戦いや如何に。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:この能力に関して東映の公式ブログ( kamen-rider-official.com)では「祢音は本当はいなかった存在だから」というブラックな設定を明かしている。しかし裏を返せば祢音がその事実を受け入れたうえで戦えるようになったとポジティブに解釈することも出来る。