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仮面ライダーギーツ 第30話「慟哭Ⅵ:手紙の中の王子様」感想

本当のきみ(おれ)はここにある

もうみんなでベロバとデザグラ運営全部を潰した方がよくない?

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  • 幸せを得るための奮起

 前回が前回なのもあって重苦しい雰囲気から始まった今回のギーツ。自分が作られた存在だという事実に打ちのめされた祢音が、失意のどん底に陥る前半に愕然となりました。母にIDコアを触らせて記憶を蘇らせたせいで、祢音が最初否定されてしまうシーンは特に見ていられなかったですね。自分の存在そのものが嘘であればよかったのに……という祢音の悲痛な想いに胸を痛めずにはいられなかったです。(出ていく祢音を引き留めようとする辺り、母親にも娘の愛が少なからずあることが読み取れるのはわずかな救いでしょうか)

 加えて父親・光聖の狂気が感じられるシーンも目に焼き付きました。前回の時点で何故あかりを生き返らせようとしなかったのか?と疑問に思っていましたが、死の事実を消せば共に娘への愛も失ってしまうかもしれない恐怖を抱いていたことが明かされ少し納得。娘を愛するがあまりその死を否定出来ない、生き返らせたとしてそれは死んだあかり本人なのかと悩むかもしれない……そう考えるのも何ら不思議ではありません。(仮にあかりを生き返らせたとしても『鉄腕アトム』の天馬博士みたいなことになりそうですし)理想の娘・祢音を鞍馬家のために政略に利用していたのも、「それが娘の幸せ」と考えることで必死に父としての心を守っていたように思えます。

 

 そんな誰も幸せにならない事実に劇中の祢音共々意気消沈してしまっていたのですが、闘牛ゲームの最終戦でのキューンの活躍には一転して感激しました。うなだれる祢音に「本当の幸せを手にするために戦おう」と叱咤激励するシーンのいじらしさにテンションを上げずにはいられなかったです。はじめはただのファンとして遠くで見ているだけだった少年が、偶像ではない彼女自身を見るようになった構図が何とも素敵でしたね。(最初は手紙をその場で読み上げていた中、それを破り捨てて本音を言えるようになる流れからもキューンの成長を感じられてエモい)

 祢音に関しても今の自分を受け止めたうえで幸せになることを諦めない!とばかりに立ち上がってからが最高の一言。亡きあかりを抱きしめるシーンを見て、彼女も事実と向き合う覚悟を決めたのだと感じました。その後のナーゴ&キューンのコンビネーションと合わせて興奮しっぱなしで、ここまでの鬱憤を全て吹き飛ばしてくれましたね。戦いの後に帰る場所がないことをつぶやいていましたが、英寿や景和のような受け入れてくれる仲間がいるだけで十分に今の祢音が幸せなのだとわかる回でした。

 

 

  • エゴがもたらす女神の悲劇

 とにかく祢音とキューンに情緒を揺さぶられましたが、彼女の秘密を暴露したベロバに対する怒りは変わらず燻ぶることになった今回。どうやら道長もベロバのやり方が気に喰わなかったようで、自分の出番を降りたり彼女と手を切ろうとしていたのは個人的にはちょっと嬉しかったですね。自分のために他人を喰い物にする相手が許せない性格は相変わらずのようで安心します。

 同時にデザイアグランプリこそが全ての元凶だと訴えたことに関してもごもっともすぎて頷くほかありませんでした。徹の件もあって、道長がこのような事態を招いたデザグラそのものを潰そうとするのも当然と言えます。そのために目の前の相手を不幸にしてしまっている事実に目を瞑っていることには異を唱えますが、道長なりに人間のエゴに対する憤りやそれを止めようとする姿勢が感じられたのは大きかったですね。

 そのうえ英寿の母・ミツメこそが創世の女神だと判明するラストシーンもあって、道長の考えがより重大になってきていると感じました。詳細はいまだ不明ですが、ゲーム運営のために1人の人間を依り代にするデザグラの運営はまさに道長が嫌う「他人を喰い物にする連中」そのもの。まさしく人間のエゴが生み出した悲劇ということもあり、デザグラ自体を何とかしなければならないと考えずにはいられなかったです。とはいえ今の道長のやり方も問題がありますし、このままの彼を容認していいのかという不安を抱える結果にもなりました。

 

 

 というわけでラストに見逃せない真実を持ってきた30話でした。女神の正体やミツメの所在を以前から予想していた身としてはそこまで驚きはしなかったものの、インパクトそのものはやはり大きいと感じました。英寿が探していた母親が実は女神だった、という事実は何だかんだで衝撃的と言えます。そして英寿がこの真実を知ったらどうなってしまうのか……そんなことばかり考えてしまいますね。ミツメを女神に変えた「スエル」なる謎の人物についても気になるところですし、この辺りの謎が掘り下げられる時が楽しみです。

 他にも見どころがいくつかありましたが、中でも印象に残ってしまったのがアルキメデル。古代ジャマトを蘇らせるため「とっておきの肥料として」自分の手首を見つめるシーンには狂気を感じました。この男の異常なジャマト愛からして、自身をジャマトの肥料にするのも不思議ではないでしょう。アルキメデルは初登場の時といい、ゾッとするキャラをしているよなぁ……と改めて思う一幕だったと言えます。

 

 

 そして次回はジャマトグランプリの最終戦がいよいよ開始。「天国と地獄ゲーム」と銘打たれたこのゲームは、何と上空に拉致した一般人を地上に落とすというとんでもないルールのようです。人々を不幸にするジャマグラもきたところまできたな、と感じずにはいられません。予告で景和がかつてないほど激昂している様子が確認出来ますが、そうなるのも無理はないと思います。

 さらに英寿がミツメの真実を知る模様。上述の不安が早くも描かれそうでドキドキしてきます。母のためにはデザグラを潰さなければならないことがわかった今、英寿が取る未知とは果たして……!?「慟哭」シリーズ終盤として見逃せない内容になりそうですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。