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仮面ライダーギーツ 第29話「慟哭Ⅴ:サプライズ!闘牛ゲーム♡」感想

本当のあなた(わたし)はどこにあるの?

ガンダムといい、最近の日曜はハッピーバースデーを呪いの歌にしようとしているのか?

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  • 造られた記憶と歪められた真実

 エ、エゲツねぇ……と思わずにはいられなかった今回のギーツ。予告で察せられた通り祢音が創世の女神によって造られた存在であることが明かされましたが、同時に誘拐事件で命を落とした本当の娘「鞍馬あかり(くらま・あかり)」の話には衝撃を受けました。本当の愛を求めていた祢音でしたが、そもそも彼女自身が本物ではなかったという事実の無情ぶりが胸に突き刺さった気分です。他にも祢音の誕生日が4月1日(エイプリルフール)であることや、自然の光であるあかり(明かり)に対する人口の光の祢音(ネオン)など、要所要所に貼られていた伏線には戦慄するほかありません。

 同時に祢音の両親の歪んだ愛についても納得がいきましたね。まず母親の異常な過保護ぶりは娘を失った記憶が本能的に残っているからと考えるとかなり腑に落ちます。誰もいない暗い部屋でハッピーバースデーを歌う母の様子は、祢音を束縛してきた動機として十分すぎるほどでした。あと誕生日の歌ということで直近の某水星のガンダムを思い出して仕方なかったですね……そして父親・光聖に関してはニラムとスポンサー取引をしているシーンが印象的。ひどく憔悴した、それでいて鬼気迫る表情で「私が理想とする娘・祢音が生きている世界」とカードに書いていた様子にはゾッとするものを覚えました。あかりを生き返らせるのではなく、理想の娘として祢音を望んでいる辺りにこの父の歪みが読み取れますね。

 そんな誰も救われない、あまりにも残酷な鞍馬家の真実を知ってしまったわけですが、それ以上に祢音に対するオーディエンスの仕打ちがショッキングでした。偽物というだけで非難する未来人の感覚は少々理解出来ませんが、彼らにとっては一種のやらせを見せられたようなものなのでしょうか。(それでいて少しでも相手に非があれば鬼の首を取ったように叩く様子は、現代人にも通じるところがあると思います)いずれにせよ真実を知ったうえで祢音の存在を否定するオーディエンス、何より彼女の秘密を暴露して愉悦を感じているベロバにかつてない憤りを覚える回となりましたね。

 

 

  • 彼女を受け入れてくれる者たちへ

 といった感じでショッキングな祢音の話に全てを持っていかれましたが、そんな彼女に様々な反応を示す周囲のキャラも今回の見どころでした。まず印象に残るのが英寿ですね。終盤のベロバの暴露を聞いてからの、怒りに震えた戦いぶりには息を飲みました。(仮面越しながら無言のレーザーブーストへの変身、そしてジャマトへの情け容赦のない攻めっぷりから彼の怒りが痛いほど伝わってきました)英寿が転生を繰り返してきた事実を知った今、彼にとって祢音の真実とそれを踏みにじる行為がどれだけ許せないのかはよくわかります。あまりにも胸糞悪い終盤でしたが、英寿が視聴者の代わりにここまで怒ってくれたおかげで少しは気分が晴れたかもしれません。

 また英寿だけでなく景和もどんな反応を示しているのかが個人的には気になるところ。彼もまたベロバに対して怒りを打ち震えていそうですが、同時に祢音のことを気遣ってくれそうな予感がします。冒頭の英寿との会話で「(転生していても)英寿は英寿でしょ?」と素敵なコミュニケーションを取ってくれた景和ならば、祢音のこともハッキリと認めてくれるでしょうね。(だからこそ祢音曇らせ展開のために景和が前半のうちに隔離される脚本が生まれたのだと読み取れるのですが……)

 そして最大のポイントがキューン。前半のうちに祢音にあっさり正体がバレ、光聖の思惑を聞くなど今回最も人との絡みが大きい役どころでした。そこでいつも以上に祢音に対して素直になれない、小学生男子みたいなムーブを発揮していたのはちょっと微笑ましかったです。しかし推しへの愛が本物でも、伝わらなければ意味がないことがこの回で思い知らされていたのは興味深いところ。祢音の真実を前にした今、キューンがどこまで彼女を受け入れてその心を癒してあげられるかが見ものですね。頑張れキューン!!ここが正念場だぞ!!

 

 

 本筋以外にもジャマト側で色々と興味深い要素があった今回。まず道長が提案した「闘牛ゲーム」ですが、ルール自体は1対1の一騎打ちというシンプルさがあったものの、ベロバによって大きく歪められたのが印象的でしたね。2体1で奇襲したり上述の祢音の秘密暴露など、ベロバの「人の不幸は蜜の味」とも言うべき精神性がこれでもかと詰まったゲームになってしまっていると感じました。今日も今日とてエンジョイしている大智はともかく、道長はいい加減彼女と組むことについて考え直した方が良さそうな気がします。

 あとは今回登場した「ダンクルオステウスジャマト(古代魚ジャマト)」には驚きました。これまでのジャマトとは違い苗から育てたものではなく、古い地層から発掘・復元されたという特殊な誕生経緯が特徴的です。(冒頭でアルキメデルが土を掘っていたのはこれの化石を掘り当てるためだったわけですね)植物ではなく古代生物をモチーフにしている点も異質であり、本当に同じジャマトなのか?とつい疑ってしまいます。もしやジャマーガーデンで育ててきたジャマトはこの古代ジャマトを元にしており、ジャマト自体のルーツはデザグラとは別にある?といった考えも浮かんできますね。ここにきてジャマト関連で気になる謎が増えたこともあり、彼らについても目が離せなくなりそうです。

 

 

 そして次回は闘牛ゲーム後半戦。祢音がさらに記憶を取り戻した母親に突き放され、ショックのまま最終戦に放り込まれるようでかなり不安になってきます。予告映像に映る、涙を流す祢音の姿だけでもう見ていられませんでしたよえぇ。英寿とキューンには一刻も早く彼女を救ってほしいですし、祢音自身も立ち直れると信じたいところです。

 

 

 ではまた、次の機会に。