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仮面ライダーギーツ 第31話「慟哭Ⅶ:天国と地獄ゲーム♡」感想

あなたの幸福は

誰かの不幸

悪趣味なゲームと最悪の真実と人間の醜さのトリプルコンボだドン!(絶望)

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  • 犠牲で成り立つ真理の仕組み

 前々回とはまた違った形でエゲツない展開が待っていた今回のギーツ。まずはジャマトグランプリ最終戦天国と地獄ゲーム」に目を剥きました。都市を空に浮かべたうえでジャマトで人々を色のついた円まで追い込み、女神が選んだ色の円が消失することでそこに立っていた人が落ちる……というデスゲーム染みたルールはかつてないほど悪趣味です。(円の上に立てばではジャマトに襲われないことから「円の上なら安全」と思わせてくるのが極悪すぎる件)落ちている途中で泡になって消滅する点も、かえってこのゲームとこれを企画したベロバの悪辣さを加速させているような気がしました。

 しかしそれ以上に衝撃を受けたのがデザイアグランプリと創世の女神の真実。デザグラで敗退した参加者やジャマトによって命を落とした人々の幸福のエネルギーを使って世界を改変していた事実が明かされた時は開いた口が塞がらなかったです。「世界の幸福の総量は決まっている」といういくつかの作品でも聞く理論を、本作は具体的なシステムとして示していることに驚愕させられます。世界を作り替えるほどの力の代価として納得がいき、運営側にとって得しかない効率的なシステムに感心すると同時に、あまりにもひどいシステムに憤りを感じずにはいられません。個人的にこれまでデザグラに対して抱いてきた不信感や怒りが、今回でまとめて爆発してしまいましたね。

 そして英寿がデザグラと創世の女神によって生み出された存在だということも判明。祢音の真実の後もあってそれ自体はそこまで驚くことではないものの、転生を繰り返す人間を生み出すのにどれだけの人間の幸福を犠牲にしてきたのかと思うと少々ゾッとさせられますね。(ただ個人的には「今の人間と未来人で子を為すことは不可能」「体のつくりが違う」というニラムの発言の方が気になるところ)英寿の最初の母であるミツメ、つまり創世の女神は何故英寿を生み出したのか、その辺りの謎も少しずつでいいので明かしていってほしいところです。

 

 

  • 真実に打ちのめされる者たち

 上述のデザグラの真実をベロバたちに教えられ、愕然とする英寿や景和たちも印象に残りました。最初に女神と自分の正体を明かされた時の英寿の動揺ぶりに胸が痛みます。個人的にこの辺りの英寿は母が創世の女神であったこと以上に、自分が他の人たちを犠牲にしてきたことが信じられないかのように見えましたね。これまで何度もデザ神になっては自分の願いを叶えたきたことが、多くの人の不幸で成り立っていたという事実は英寿にとってもかなりショッキングであったに違いありません。自分が今までやってきたことは罪のない人を苦しめてきただけなのでは……などと考えていそうで見ているこちらもいたたまれなかったです。

 また景和に関してもその事実にかつてないほど憤慨していたのが衝撃的でした。人々の幸福を願う彼にとってこの事実がどれだけ許せないかは言うまでもないでしょう。ジャマトに襲われた両親も犠牲になったというならなおさらです。英寿に当たり散らすシーンは景和らしくなくて最初は動揺しましたが、それほどまでにデザグラや創世の女神に対して憤っていたのだと思います。いずれにせよ温厚な彼がここまで冷静でいられなくなる様子は見ていて辛かったです。

 そのうえ景和が助けた女子高生がサラリーマンを突き落とす展開にも唖然となりました。女子高生も自分が生き残るために必死だった*1いえ、善意が完全に裏目に出たことで景和がさらに曇る光景はもう見ていられなかったです。そして最後は道長によって突き落とされて消滅するという……2度目の景和敗退ですが、今回は消滅&景和自身のメンタルがボロボロということもあって衝撃度は前回の比ではなかったです。世界中の幸福を願うほど純粋な若者が無情な現実に打ちのめされて退場する展開には意気消沈するほかありません。景和の出番がこれで終わりではないでしょうが、再登場する時は闇落ちしていそうで怖くなってきましたね。

 

 

 そんな衝撃展開の連続だった今回、最後の最後に全てを持っていったのは何とアルキメデル。自分自身を肥料にしたといっても小指から血を少しだけ取って与えるだけだったのかと安心したのも束の間、ジャマトに自分の体を喰わせる行為に出た時はそれはもうビビりました。これまで楽しそうにジャマグラを観戦していた大智が腰を抜かしたのも納得する他ありません。

 ジャマトが元気になっていくことを嬉しく思いながら食われていくという、前回に続いてジャマトに対する狂気を感じさせる行動には、この男のヤバさが凝縮されていたと言えます。(シルエットで喰われていることを見せる演出がまた怖い)「誰かの幸福は誰かの犠牲の上で成り立っている」という今回展開された真理をある意味で体現しつつ、犠牲になっている側が幸せそうなせいで色々と困惑するほかないショッキングなシーンでしたね。

 

 

 さて次回は天国と地獄ゲーム後半戦。衝撃の真実の連続と景和の脱落もあって流石の英寿も一度は戦意喪失してしまうようですが、直接母に会って真意を確かめるために再起するようでホッとしました。戦線を離れたジーンも戻ってきて英寿を応援してくれるっぽいですし安心感が凄まじいです。

 そして終戦はやはりギーツVSバッファになる模様。他人を犠牲にして成り立つゲームに対する怒りは同じでも決して相容れない両者、その戦いが如何にして決着していくのかは非常に気になるところです。登場人物(と視聴者)が泣き叫んでばかりとなった「慟哭編」の終わりがどうなっていくのか実に楽しみですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:さらに女子高生を擁護するならば、昨日のゲームで友人が落とされて消滅する瞬間を目撃したことが彼女の「消滅への恐怖」と「生存本能」を加速させたのかもしれない。