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仮面ライダーギーツ 第32話「慟哭F:最後の審判」感想

願いを求めた者の果て……

戦わなければ生き残れない……ってついに言っちゃったよ!!

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  • 願いのために戦い抜くキツネ

 約2カ月続いた「慟哭」編もいよいよクライマックスになり、道長に煽られながらも戦意を喪失しかけていた英寿の様子から始まった今回のギーツ。彼がここまで意気消沈しているのは珍しいですが、前回明かされた母・ミツメやデザイアグランプリの真実、さらには景和の退場など色々ありすぎたのでこうなるのも仕方ないのかなと思います。(むしろこういった人間的な憔悴を見せてくれると、普段超然的な英寿にも親近感が湧いてきますね

 そんな英寿も早い段階で帰ってきたジーンの叱咤激励のおかげで調子を取り戻し、全てに決着をつけるために戦う姿勢を見せることに。そこからはいつものクレバーな主人公らしさが戻ってきたのでテンションが上がりましたね。中でも道長との戦いで激闘を繰り広げるかと思いきや、彼が持つヴィジョンドライバーを奪い取った時には膝を打ちました。ライバルでもあるバッファとの戦いが中断されたのは残念でしたが、こういった相手を化かして出し抜くスタイルもまた英寿らしいと言えます。

 そんな英寿ですが、一方で創世の女神、ミツメと対面した際は涙ぐんでいたのが印象的。このシーンの英寿はいつものミステリアスな雰囲気が全くと言っていいほどなく、代わりに子どもっぽくなっているように感じられました。普段こそ常に強気で飄々としている彼ですが、実際は母を追い求める子どもとしての側面が強いのでしょうか。いずれにせよ変わり果てた母を前にしての悲しみ、そして彼女を利用するデザグラ運営への怒りをむき出しにしてニラムと戦う展開は、見ていて思わず応援したくなります。ブーストマークⅡ→レーザーブーストVSゲイザーの拮抗したバトルの迫力も相まって興奮しっぱなしでしたね。

 また今回英寿をしっかりとサポートしてくれたジーも素敵でした。上述の発破をかける役割だけでなく、デザグラの歴史についても調べ上げてくれるなどギーツのサポーターとしての面目躍如といったところ。ジャマグラの中で築かれてきた英寿との関係が、ジーンをここまで熱く好感が持てるキャラクターに変えてくれたと思うと胸が熱くなります。英寿含め前回から続く鬱屈した雰囲気に対する、良き清涼剤になってくれた気がしました。

 

 

  • 願いを利用しほくそ笑む眼(まなこ)

 一方でおどろおどろしい人間のエゴを見せてくれたのが英寿とジーン以外の関係者たち。中でもニラム率いるデザグラ運営に対する憤りをさらに抱くことになりました。(デザグラに関しては不信感などを以前から抱いていたものの、今回それが頂点に達した感覚を味わいました

 まずジーンが教えてくれたかつてのデザグラの形式が興味深かったです。最初期のデザグラは参加者の誇りと名誉をかけた戦いで命の危険性はなく、デザ神への報酬も金貨だったとさながら大規模なゲーム大会のような趣きだったのが意外でしたね。(ところでその報酬の金貨と英寿の手元に必ず現れる金貨はもしや同一のものなのでは……!?)それがミツメの退場時と同じタイミングで命を懸けるゲームと化していった、という経緯に怖気が走りました。運営もオーディエンスも過激なものを求めて番組が別物となってしまう流れは現実の世界でもありそうで、その生々しさからどこか嫌な感覚を覚えてしまいます。

 そのうえニラムの態度がかつてないほど腹立たしかったです。英寿との交渉を断ったうえ光聖にこの世界から撤退する目論見を明かすなど、都合が悪くなったらあっさりなかったことにしようとする様子には「汚い大人」というイメージが湧いてきます。というか英寿たちに願いに伴う代償などを語りつつ、自分たちは何の損害もないまま立ち去ろうとする辺りが本当に卑劣だと思います。ギーツ戦でゲイザーに変身してからもそのスペックで余裕しゃくしゃくだったのも癇に障りましたね。(その分ギーツが1発当てるシーンにはスカッとしましたが)人間のエゴを利用する憎き存在として、ニラムとデザグラの印象がより強くなった回でもありました。

 

 

  • 願いを奪い君臨する猛牛

 そんなギーツVSゲイザーでしたが、途中現れたバッファの攻撃によって2人とも脱落、そのまま道長がヴィジョンドライバーを全て手に入れてジャマ神になる展開には唖然となりました。中々に激しい戦いに対し、ここまで綺麗な漁夫の利を得た道長には驚くほかありません。波乱のジャマトグランプリを道長が制すことになったのは、個人的にもかなり予想外です。

 英寿の戦いに水を差したことは残念に思いますが、一方であの手この手で頑張ってきた道長には感心するところもありました。そもそも上述でも触れたように英寿が先に真剣勝負と見せかけてドライバーを盗んでいたのもあって、その際の意趣返しを見事に果たせたように感じましたね。スペック差では勝てる可能性が低い強敵同士を戦わせて、天国の地獄ゲームの「落下者は消滅するギミック」を活用して落とす作戦にも唸らされます。そして何が何でも自分の理想を叶えようとする道長の執念のようなものが感じられて、それが実を結んだことに不思議と達成感のようなものを覚えました。

 ただジャマト側が勝利するという展開はショッキングそのもの。天国と地獄ゲームも大量の犠牲者を出して終わる結果(景和の姉ちゃんは無事だったのがちょっと救い)となり、全てベロバの思い通りになったことには憤りを覚えます。勝利者がいつまでも幸福なことが許せない」という彼女の歪んだ考えが現実になったと思うと、あまりいい気はしませんね。総じてここまでの予想とは一気にかけ離れた、衝撃的な展開だったと言えます。

 そしてジャマトグランプリが終わり、次回は何と「デザイアロワイヤル」が開始!?昨年冬に公開された『MOVIEバトルロワイヤル』で行われたゲームがここにきて本編回収されたことには仰天してしまいました。なるほど道長の「全てのライダーをぶっ潰す」願いにここまで相応しいゲームは他にはありません。ライダー同士の戦いが推奨された正真正銘の「潰し合い」が本編でも行われようとしていることに、不思議とワクワクしている自分がいます。

 

 

 あと本筋とは関係ない話ですが、今回の冒頭で道長「戦わなければ生き残れない!!」と言った時にはギョッとしましたね。龍騎』のキャッチコピーでもあるこの言葉はギーツにも似合うだろうなとは思っていましたが、まさか本編でそのまま言うとは……シリアスな場面ながら、龍騎を知っている人ほどクスっときてしまう一幕だったでしょう。

 そのうえ今回のラストで龍騎ライダーも参加したライダーバトル中心のデザイアロワイヤルが始まる展開にもニヤニヤが止まりません。チョロいことを自覚しつつも、何だかんだで過去作を思わせる要素は大好きなので個人的にも嬉しいファンサービスでした。

 

 

 そして次回は「慕情」シリーズが開幕。ジャマ神となり圧倒的な力を得た道長によってライダー狩りが始まってしまうようです。パワーアップしたバッファのちょっとダサい魔王感溢れる姿からも、かつてないピンチが感じられますね。その事態にチラミやジーンが立ち向かうようですが、果たして英寿も景和の不在のこの状況でどこまで戦えるのでしょうか。(あとベンとジョンが変身して戦ってくれるようなのでそちらも期待大!

 

 

 ではまた、次の機会に。