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機動戦士ガンダム 水星の魔女 第13話「大地からの使者」 感想

日常が壊れはじめる

その魔女たちは、新たなる戦場へと赴く。

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 ガンダムシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』もついにSeason2(第2クール)に突入。あの衝撃的な12話の続きがいよいよ見れました。あれからSeason1が終了してからの約3カ月間、密かに不安と期待に包まれていた気持ちが本格的に解き放たれて少しホッとしています。というわけで今回から水星の魔女の感想を再開したいと思います。

 

 

  • あの日常には戻れない

 まず13話について気になったのは冒頭の決闘。スレッタたちが何事もなかったかのようにアスティカシア学園での生活を送っていることには少々意表を突かれました。フォルドの夜明け襲撃の事実をお偉方が揉み消したことには納得したものの、今まで通りの生活に戻れているのかと心配になりましたね。実際オジェロやリリッケたちは未だに動揺が収まっていないようですし、加えて3週間ほどしか経っていないという事実にも驚かされます。平和に過ごしていた子どもたちが、初めて戦争を経験したらこうなるのも当然なのかもしれません。

 そして肝心のスレッタですが、いつも通りに見せかけてそれなりに迷いを見せていたのが印象的。あのエアリアルでの殺害について、本人なりに「これで良かったのだろうか?」と考えているのは嬉しかったですね。とはいえ相談相手が例によって母親だっただけに、またもや母の言葉に納得してしまったことには頭を抱えてしまいます。何よりスレッタがその後いざという時は、殺人の選択肢を取るようになってしまうのではないかと思うと気が気ではありません。
 ミオリネに関しても色々と複雑そうな心境を抱えているように見えました。描写こそ少ないものの、スレッタに放った「人殺し」発言に負い目を感じているのが読み取れますね。同時にプロスペラに娘のやったことについて言及するシーンもありましたが、それでも言いくるめられてしまう辺り心配になってきます。表向きはいつも通りの日常が描かれているように見せかけて、その実みんなの歯車が少しずつ狂い始めている感覚を覚えずにはいられません。それ故にもうあの頃には戻れないんだな……と思わせてくる回だったと言えます。

 

 

  • 平穏を楽しむ/妬む/求める者

 今回さらに衝撃を受けたのがソフィとノレアの学園での登場ですね。アスティカシア学園がオープンキャンパスの時期であることを利用して、入学を検討している学生として潜入してくる展開にはビビってしまいました。十中八九シャディクの差し金でスパイ活動をしているのでしょうが、一方でソフィの場合はスレッタと会うのが楽しみだったようなのはちょっと微笑ましいところ。スレッタお姉ちゃんを振り回すやんちゃな妹キャラのように振る舞っているなど、自分勝手に見せかけて表向きですが活発な少女をやれていたのは結構意外でした。

 問題はノレアの方。ファラクトを破壊しようとしたり、かと思いきやニカやスレッタをそのファラクトで踏み潰そうとしてきた時には目が点になってしまいました。大人しそうな見た目に反して、予想以上に乱暴な手を使ってきたことにはこれまた意外に感じましたね。ソフィがある程度学園生活をエンジョイしているのに対して、ノレアはこの平穏な日常への怒りで頭に血が上っているのでしょうか。いずれにせよ、暖かな生活を送る連中が許せない気持ちでいっぱいになっているのは確かです。

 そんな2人のスパイと同じ陣営でもあるニカについても気になるところ。プラントでの襲撃の原因を連絡係の自分だと感じているかのような彼女の表情には色々と胸に来るものがありました。仲間たちを裏切ってしまった罪悪感から、ここ数週間は針のむしろだったでしょう。(自分の失態を見てしまったマルタンが庇ってくれそうなのは幸いですが)それでも仲間のために必死にソフィたちを送り返そうとする気概は素晴らしかったのですが、みんなを騙した以上このままニカが報われるとも思えないのでこれまた不安になってきます。まさに三者三様の潜入を見せるシャディクの協力者それぞれのタイプが見て取れる回として、それぞれの末路が非常に気になる内容でしたね。

 

 

 本編に関しては他にも軽いノリを隠さなくなったエラン5号やジェターク社の代表として思い詰めていそうなラウダ、そして父と共に襲撃の際の暗躍を上手く隠そうとするシャディクなども印象に残りました。本作のキャラはいずれも涼やかな表向きに反して何かしら企んでいるタイプが多いので、2クール目に入ってからもそれが相変わらずで変な安心感を覚えています。とはいえ神の視点から見ているとどいつもこいつもいけしゃあしゃあとしやがって……!と憤ってしまいそうになるシーンばかりなのですが。

 そして今最も気になっているのがラストにプロスペラが話した「クワイエットゼロ」。11話でも名前だけが出ていたこの計画が「GUNDフォーマットのネットワークを利用して戦争のない世界に書き換える」であることが語られた時はゾッとしたものを覚えました。同時にその言葉を聞いてから、GUNDフォーマットでどうやって戦争を終わらせるのか?世界を“書き換える”とはどういう意味なのか?といった疑問が湧いてきて仕方ありません。いずれにせよろくでもない計画なのは間違いなさそうですし、プロスペラに話を持ち掛けられたミオリネへの不安が付きまとうラストになりましたね。

 

 

  • 個性豊かなMS総進撃

 ガンダムといえば外せないのがMS(モビルスーツ)戦。とりわけ本作は「決闘」というルールの元MS同士の戦いが行われるので、比較的安心して眺めることが出来るので今回も楽しみにしていました。おかげで上述でも触れた冒頭の決闘シーンに早くも興奮してしまいましたね。

 「連戦」ルールということもあって様々な機体が登場しましたが、エアリアル改修型を除けばそのどれもが初登場だったのが嬉しかったところ。しかもSeason2放送前に公開されたPVでチラッと姿を見せていた新機体がまとめて登場したことには感激しましたね。簡単にまとめると……

 

  • デミトレーナーのような丸いボディを本作屈指の武骨な装甲で包んだ「アズラワン
  • 両腕のビームサーベルをプロペラのように回転させる「ホズラーⅡ
  • 4本の特殊なアームとそれぞれに装備されたビームサーベルが特徴的な「ハイペリス
  • 出刃包丁のような武装(飛行ユニット?)を前に突き出して飛行する「ズヴァルディ
  • 1話でグエルに倒されたカペル・クゥの改造機「カペル・ジオ

 

 とバラエティ豊かな面子が揃っています。これまで登場したMSと比べても尖った要素が多く、デザイナーの趣味に走ったかのような見た目がたまりません。割と現実的な機体デザインが多かった本作において、ここまでユニークなものが見れるとは最初思ってもみなかったです。

 そんな個性的なMSたちの登場に最初は胸躍ったのですが…………全てスレッタとエアリアルに為すすべなく敗北したことに唖然となりました。相手が相手なので勝てるまでは期待していなかったものの、何も出来ないまま瞬殺される絵面は個人的にはかなりショッキングでしたね。PVで初めてその姿を見た時のワクワク感をぶっ壊されてしまったような気分です。(しかも今回倒された機体は全てモビルスーツのページではなく、「Words(用語解説)」のページにまとめられるというのがこれまた不憫……)結局よりパワーアップしたエアリアルの圧倒的な強さをより印象付ける連戦になってしまいましたが、この素敵なロマンに詰まった機体の出番を終わらせてしまうのはあまりにも惜しいです。本編での活躍は無理でも、外伝などでどうにか出番がないか、とつい考えてしまうくらいには魅力的な機体だったと思いたいです。

 

 

  • 気になる映像満載のOPED

 そして2クール目に入ったことで見逃せないのが一新されたOPとED。OPは最近『王様ランキング』や『SPY×FAMILY』などのアニソンを歌ったことでも有名なyamaさんの「slash」、そしてEDはBiSHのメンバーの1人であるアイナ・ジ・エンドさんの「Red:birthmark」とこれまた女声曲が採用されているのが素敵ですね。また曲名や歌詞がいずれも本作の今後の展開を暗示しているかのような、不穏なものばかりなのも気になるところ。

 しかしそれ以上に気になるのが映像。OPとED共に、映像に興味深いものがこれでもかと詰まっていました。目に留まったもの・印象的なものをまとめて箇条書きにしていくと……

 

  • 冒頭のタイトルコール、暗く荒廃した世界に立つスレッタと明るく自然豊かな世界に立つミオリネの対比が早くも不穏
  • ミオリネが水の中に沈んだり透明な世界に閉じ込められたりとどこか儚げな件
  • 心身ともに疲弊していそうなグエ……ボブの姿は見ていて辛いなぁ
  • ソフィのぬいぐるみが本編よりもボロボロなのは一体……?
  • 謎の少女の幻影はやはりエリクトなのか
  • エランの中に僕らの知る4号がいる可能性が?
  • エアリアル改修型のラスボス感がパネェ!
  • 「トマト」がキーアイテムになりそうな予感
  • OPの始まりからミオリネの元に向かって走り出すスレッタ、果たしてミオリネと同じ景色を見られるのか……

 

  • スレッタやエアリアルの影がスレッタをすり抜けていくEDがお辛い
  • と思いきやエアリアルがスレッタの胸を貫いたぁーッ!?
  • 髪を降ろしたスレッタが美しい……
  • スレッタが複数いるかのような描写、そしてビットが躍っているような演出が意味することはやはり……
  • 何はともあれ2人が手を繋げる時が来てほしいですよマジで

 

 といったところでしょうか。色々と考察や妄想のし甲斐がある要素ばかりですが、中でもEDのスレッタが途中髪を降ろすシーンのが個人的に気になっています。1話で非常に大切にしている母からのヘアバンドを外したのは「母親からの解放」を意味しているのでしょうか。そう考えるとEDのタイトルにある「Birthmark(母斑)」が意味深に思えてきますね。今のところ本編では母の言葉に逃れられずにいるスレッタですが、いつかEDのようにヘアバンドを外すことがあってほしいと願うばかりです。

 

 

 さて次回のサブタイは「彼女たちのネガイ」。このタイトルを見て、「彼女たち」とは誰を指しているのかが真っ先に気になりますね。話の展開からしてまず思い浮かぶのはソフィとノレアですが、やはり地球に暮らす者としての苦しみやスペーシアンへの嫉妬などを抱えているのでしょうか。次回の決闘で明かされるであろう、2人の隠された心情に注目したいと思います。ファラクト「あのところで自分、もしかして次回の決闘に使われちゃったりします?」

 

 

 ではまた、次の機会に。