新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーギーツ 第40話「創世Ⅱ:タイクーン覚醒」感想

大切なものを失い、堕

「ヒーローの再起と覚醒のために1度絶望していく展開は最高だなぁ!?」という僕の中のケケラが大喜びしている件……

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 消えていく日常、壊れていく感情

 大量の寄生ジャマト相手に華麗に戦うギーツⅨの戦闘シーンから始まった今回のギーツ。寺崎裕香さんが歌う挿入歌「願い」をバックにバッタバッタとジャマトを倒していく様子は中々にカッコよかったです。挿入歌のタイミングが唐突な気がしたものの、序盤のスカッとする戦闘シーンとしては十二分の役割を果たしてくれていたと思います。

 そんな中景和と道長も英寿のデザイアグランプリにエントリーすることを表明。願いは叶えられないものの世界を守る、見返りなしで戦ってくれる辺り2人ともお人好しだなぁ……とちょっと嬉しくなってきますね。彼ら変身出来る者たち以外にも、母との対面で少しずつ前に進んでいく祢音なども大きな見どころです。中でも景和が戦う分「自分は働いて支える!」とばかりに応援してくれる沙羅の様子が微笑ましいこと微笑ましいこと。ライダーに変身せずともみんなのためになってくれる、素敵なお姉さんと弟の関係に大いにほっこりさせられました。

 

 といったふうに癒されていたのも束の間。その沙羅姉ちゃんがジャマトにさせられて、道長が何も知らないまま倒してしまう展開に愕然としました。寄生ジャマトの情報や突然沙羅が行方不明になった件もあって薄々こうなるであろうことは予想していましたが、実際ドンピシャで当たった瞬間の衝撃は凄まじかったです。沙羅は本作における日常の象徴のような存在だったので、このような形で退場してしまったことに動揺を隠せません。(「地面に吸収される」ような演出から沙羅はまだ生きているのではないか?という希望も捨てきれません)

 何より突然姉を失ってしまった景和の慟哭が聞いていて辛かったですね。沙羅が消息を絶った時点で苛立ちを見せていた彼が、姉の死を前にして怒りと悲しみに包まれるシーンは本当に見ていられなかったです。道長も利用されていたとはいえ、彼に当たるのも当然と言えますね。(道長も自分が手に掛けたことを否定しないので余計にしんどい……)景和に限らずメインキャラの誰もが絶望するであろう沙羅の死に、視聴者としても嘆くほかなかったです。

 そしてこの後景和がどうなってしまうのかという不安も付きまとってきます。今の景和なら姉を取り戻すため、創世の力を手に入れようと英寿たちと敵対する展開もあり得そうな予感がしてきました。世界平和や犠牲者の復活といった漠然とした願いよりも、身近な存在を手に入れるエゴを貫く方向にシフトしても何らおかしくありません。景和に対する同情と心配が同時に襲い掛かってきて本当に仕方ない気持ちでいっぱいです。

 

 

  • 1つの不幸が3つの愉悦を生み出す

 そんな景和たちを絶望に叩き落した敵サイドの動向も忘れてはいけません。ジャマトを研究しつつ喰らうことで自らジャマト化した大智とそれぞれの願いのためにこの時代に残ったベロバ&ケケラ、そこにツムリを狙うデザグラ運営が協力を持ち掛ける最悪の構図には変な笑いが出てきましたね。敵対勢力が一斉に手を組むことがどれだけ厄介であるのかを思い知らされた気分です。

 何と言っても上述の沙羅の件で大智とベロバとケケラの望みが同時に果たせたことには舌を巻くばかり。大智はずっと目の上のたんこぶだった英寿を出し抜くことに成功し、ベロバはずっと見たかった道長の不幸を拝めることが出来た……そしてケケラは景和が「本当の仮面ライダー」になるきっかけを作れて大喜び、と1人を死に追いやっただけで一気に3人分の願いが達成されています。「誰かの幸せは他の誰かの不幸で成り立っている」というのは本作で散々語られていますが、それをコスパよく体現してみせたことには怒りがわいてくるより前に感心させられました。(それはそれとしてぜってぇ許さねぇ!!と某ヘルヘイムの神様みたいな感想も出てきますが)

 中でもケケラの願いについては要注目ですね。この一件で景和が本当に仮面ライダーになれると確信したようですが、彼にとっての仮面ライダー像とはつまり「大切な人を失う」ことにあるのでしょうか。古くは『V3』の風見志郎のような家族を失ったことをきっかけに戦う……そういったヒーローの在り方を景和に求めているのかもしれません。登場人物が曇るものの再起して覚醒する展開は僕自身すごく好きなので、ケケラの気持ちが少しわかるのがちょっと悔しくなってきます。そして一般視聴者の視点をそのまま劇中のに寄せたような本作の未来人描写は本当にエゲつない、と改めて思う一幕でした。

 

 

 今回は他には大智が変身した「マーレラジャマト(三葉虫ジャマト)」の戦闘シーンも印象に残りました。自らの意志を残したままジャマトになる特異な経緯も面白いですが、何より体を砂に変える能力が特徴的。これでギーツⅨとタイクーンの攻撃を悠々とかわしていく様子は、地味ながら強い!というイメージを抱かせるには十分でした。銭湯ではあまり目立った活躍がなかった大智ですが、これで一気に強キャラになれたと思います。

 あとはやはりラストに登場した黒いタイクーン。泣き叫ぶ景和の隣にいきなり現れたので何事かと思いました。これが景和が変身する新たな姿なのでしょうが、如何にして手に入れたのかが気になりますね。劇中の描写やラストのルール説明から「ツムリの創世の力によって出てきた形態」のようにも見えますし、ケケラたちがジットたちに貰った「“プレミアム”な力が手に入るブラックカード」によるものの可能性もあります。如何にも闇堕ちフォームっぽいこのタイクーンが一体何なのか、(映画にも登場するようですから暴走フォームではないかも?)次回明かされる時が楽しみです。

 

 

 というわけで次回は案の定景和が暴走!?上述でも予想した「姉を生き返らせるために英寿たちと対立展開」が本当に来るのかもしれません。予告の時点でケケラを殴り飛ばすほど荒んでいますし(まぁ元凶はこいつなので殴って正解ですが)、あの温厚な景和が変わり果てていくことに2話続けて胸を痛めずにはいられなさそうです。

 一方で大智やケケラたちは絶好調といった感じなのが非常に腹立たしいですね。大智なんかは「世界は滅びる!」みたいな配信をやっており、世界を混乱に陥れようとしている気満々です。好き放題してくる敵に対し、英寿は如何にして立ち向かうのでしょうか。

 

 

 ではまた、次の機会に。