新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

ウルトラマンブレーザー 第5話「山が吠える」感想

伝承と向き合い、郷愁を抱く

ブレーザーくんのスパイラルバレード大喜利が加速していく

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • あの頃の記憶に想いを馳せて

 今回のブレーザー秋田県市之字村(いちのじむら)という村から物語がスタート。GGFが開発した新型レールガン「メガショット」の演習が行われる中、ここが故郷であるアンリが親友の「ミズホ」の警告を受ける場面が序盤に描かれました。曰く村の守り神である「土留牛(ドルゴ)様」を目覚めさせてはいけないというもので、ウルトラマンシリーズではたまに見られる特定の地域で伝わる伝説の怪獣とそれを警告する住民の構図そのものにちょっとした懐かしさを覚えます。それでいて村のお年寄りとかではなく、アンリと同い年の若い女性が警告にくるというのが何とも新鮮でしたね。

 そんなミズホと再会を果たしたアンリが、ドルゴの騒動を経てふるさとへの想いを馳せていくのが今回の注目ポイント。そもそも今回のアンリは市之字村が自分の故郷であることを明かさなかったり秋田弁で話すのを遠慮していたりと、序盤から自分のルーツについて話すことにある程度の抵抗があることが伝わってきました。ミズホと話している時は楽しそうだったものの、村そのものにあまりいい思い出がなかったことが何となく察せられます。方言で話すのが恥ずかしいとも思っていそうですし、そのことを仲間たちに隠してしまうのも少しだけわかる気がしますね。

 それ故ドルゴを再び眠りにつかせるために奮闘する過程で、幼少の楽しかった記憶を思い出していくアンリの姿にちょっとウルっときました。最初はピンときていなかったミズホとお祈りしていた時の話を、御神体と共にフラッシュバックさせる様子に不思議な切なさと懐かしさという共感を覚えます。(そもそもミズホの「動物や森の声を聞く能力」に憧れを抱いていた辺り、彼女との日々は決して悪いものではないはずなんですよね)そうして郷愁の念を抱いたアンリが最後に「ふるさとっていいですね」と呟くオチがまた爽やかでしたね。良くない思い出しかないと思っていた故郷への愛を取り戻していく、アンリのちょっとした成長が見られた回だったと言えるでしょう。

 

 

  • 大山鳴動、電磁の大砲を背負いし守護神

 アンリの故郷である市之字村に伝わる守り神「山怪獣 ドルゴ」。巨大な山にそのまま顔と手足が生えたようなビジュアル(後ろ脚はほとんど見えず、前足で下半身を引きずっているかのようにも見えるのが面白いところ)をしており、森や苔が生い茂った体からは大自然そのものが怪獣と化した印象を強く受けます。頭部の輪っか状の建造物や背中から突き出た遺跡と思われる突起など、明らかに自然物ではない要素を持っているのも興味深いです。これらはかつてドルゴが祀られていた時代、市之字村の住民が作った遺跡なのでしょうかね。

 一方でGGFが開発したメガショットが背中に突き刺さっているのが何とも異質。これは上述の通りドルゴが山として眠っていた頃に設置されたものなのですが、4足歩行+背中の武装ゾイドみたいですね)はドルゴのビジュアルとは別のベクトルなのに微妙に似合っているのが少しおかしく思えてきますね。とはいえ知らない内にこれを置かれたドルゴ自身の心情を考えるとあまり笑えないのですが……ただそんな不本意に付けられたメガショットを使いこなしているのがこの怪獣の恐ろしいところ。メガショットの自動追尾システムが作用しているためなのですが、鼻から発射する光線と合わせてブレーザーを追い詰めていく光景は中々に強烈でした。単純にサイズの大きさを活かしたパワーを発揮していたのも印象的です。

 そんなドルゴですが、劇中での仕草は何とも可愛らしかったです。目覚めた直後は水を飲んで二度寝するムーブに微笑ましさを覚えました。そもそもが祠の御神体を動かされたことをメガショット設置によって目覚めさせられた怪獣だったので、ある意味で被害者と捉えることも出来ますね。最終的には御神体を戻すことで再び眠りにつき、ブレーザーが元の位置に戻して一件落着して良かったです。怪獣を倒すだけではなく共存の道も辿っていく姿勢は個人的にも大変好ましいので、今回のドルゴへの対処にはかなり安心さられました。

 

 

  • 共に立ち向かう者たち

 また今回はアンリとミズホ以外にもドルゴを止めるために奮闘していたのが印象的。SKaRDメンバーが情報収集や作戦会議、そして実行時満遍なく活躍していたのは言わずもがな、共に演習に参加していた面々も全面協力してくれるスムーズさが実に見やすかったです。中でもGGF開発部の代表の切り替えが素敵で、最初こそミズホの言葉を突っぱねていたもののドルゴが目覚めてからは彼女に耳を傾けるようになった辺りに好感が持てました。加えて最後にゲント隊長に反省の念を伝えるなど、根は実に真面目な人物であることが伝わってきましたね。

 そしてドルゴとの戦闘シーンではヤスノブ&テルアキ副隊長が操縦するアースガロンの華麗な射撃に見惚れてしまいました。空中で華麗に避けながらメガショットを的確に撃ち抜くシーンの衝撃度は計り知れなかったです。中でもヤスノブがただのメカニックで終わらない活躍を見せたのが最も意外です。SKaRDはどのメンバーもアースガロンを上手いこと使いこなしているのが地味に優秀でとんでもないとつくづく感じます。

 さらにブレーザーがこれまた新しい技を披露したのも目に焼き付きました。例によってスパイラルバレードを使ったものなのですが、真っ二つにして投げる使い方には度肝を抜かれましたね。ブリッジするかのように背中を沿って投擲するモーションも相まって絵面のインパクトは中々のものだったです。釣り竿にしたりと様々な使い方を魅せてくるブレーザースパイラルバレード大喜利、果たして次はどんなものをやってくれるのかと早くも期待を寄せる戦いぶりでもありました。とはいえブレーザーの感情が未だに見えてこないのが気になるところ。そろそろ彼が何を考えているのか明かしてほしいですね。

 

 

 さて次回はまさかの特別総集編。近年の流れからしてきてもおかしくはなかったのですが、やっぱりいきなり告知されるとギョッとしてしまいますね。良い感じに盛り上がってきたところで本編が一旦お預けなのはじれったいですが、その分今後に期待したいところ。(感想の方は個別でなくなる可能性が高いです。ご了承ください

 また内容としてはブレーザーや怪獣たちをテレビ局の面々(?)があれこれ語ったりする模様。何気に本作では珍しい一般人視点の話になりそうなのが興味深いです。様々なことを報道するテレビ屋の目からは怪獣、そしてウルトラマンは如何なる存在として映っているのか、その辺りを是非やってほしいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。