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デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編(デュエル・ウォーズ) 第17~18話 感想

あなたにとってのデュエマとは?

これはかなり貴重な資料となる回かもしれない

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 先週と今週のデュエマWINは本編がお休み。代わりに実写パートと振り返り総集編を合わせた特別編が2週に渡って放送されることとなりました。特に前半の実写パートはチアリとむーちゃんがデュエマの原作・アニメの制作の裏側を覗くという、非常に気になる内容で興味深かったです。(プロフェッショナル 仕事の流儀』のパロディカットがあった点には笑いましたが)本編ではないものの、ファンとしては見逃せない映像ばかりで中々に楽しかったです。

 そして1話だけならともかく2話続けて本編外の内容の感想を個別に書くのはどうかと思いまして、今回は17話と18話をまとめて書くことにしました。色々と変則的になっていますが、どうかご了承のほどよろしくお願いします。

 

 

  • 第17話「潜入!D7サミット!!」

 まず最初はチアリとむーちゃんがデュエマアニメ制作集団「D7」の面々の元に突撃する17話から。D7なのに3人しかいないじゃん!というツッコミをよそに、大先生こと原作者・松本しげのぶ氏のアイデアが如何にしてアニメにまで至るのかがわかりやすく説明されていました。中でも印象的だったのが原作漫画のネーム、そして登場キャラクターとクリーチャーのラフスケッチですね。滅多に見られないものなのでこれはかなり見入ってしまいました。個人的には《覇炎竜 ボルシャック・ライダー》のラフも確認出来、その時点では「武装ティラノ型ボルシャック」という仮称が付いていたことがわかったのが嬉しかったです。やっぱりレイダーってティラノサウルスモチーフだったんだなぁ。

 他にもデュエマアニメのデュエル構成の紹介も面白かったです。アニメのデュエマパートのための「進行表」が作られており、それらを参照にした実際のアニメの映像と合わせた時はその緻密さに驚かされました。盤面の状況からウィンたち対戦者の表情や行動の指定、さらには使われているカードの解説までもが事細かに記されている正確な表記には舌を巻くばかりです。これらをほぼ毎週制作し、アニメーションでお届けしているスタッフの方々に頭が上がらなくなりましたね。

 宣伝のための構築済みデッキやパック紹介のCM制作といったプロモーションの話もありました。あの伝説の名曲「俺のデッキは52枚」がこのプロモーションの過程で作られたというのですから素晴らしいです。またプロモーション担当の川守田悠氏が『ズ!!』で登場したカワモリタ博士&ジュニアのモデルや、《カワモリデン》の名前の由来が自分であることを明かす半ば自慢みたいなパートがあったことにもクスっとさせられます。(「出すぎじゃないですか?」とチアリに突っ込まれていましたが、どっかの誰かも背景ストーリーのラスボスのモデルになっていたしヘーキヘーキ

 あとはやはり松本大先生のメッセージが胸に沁みました。過去様々な形でファンにメッセージを届けてくれた大先生ですが、今回も非常に丁寧な文章に何とも言えない感動を覚えます。改めてデュエマを作ってくれる大先生、そして製作スタッフの皆様への感謝の念を抱くことになりましたね。

 

 

  • 第18話「突撃!アニメ制作現場!!」

 続く18話はアニメ制作の現場に。現在デュエマのアニメを制作している会社「ブレインズ・ベース」にお邪魔するという貴重な映像の始まりにダンボール製のファルゴ像がお出迎えしたことには面食らってしまいましたね。手作り感溢れるのに妙に良く出来ているダンボールファルゴのクオリティに、これを作った人のこだわりを感じつつ笑いが止まらなかったです。

 それはともかく序盤は監督の鈴木裕輔氏の紹介パート。《はずれポンのすけ》のお面を付けた姿はシュールでしたが、監督の柔和で丁寧な態度には好感が持てました。絵コンテから原画まで見せてくれるだけでなく、トレース台も用いた原画の仕事を体験させてくれるシーンは何とも羨ましかったです。チアリとむーちゃんが描いた「角の生えたゴリラが立ち上がるアニメ」に微笑ましさを感じると同時に、アニメーションがどれだけの労力をかけて作られているかがよくわかりました。また後述のデュエマとは?の質問で鈴木監督が答えた「自由に楽しく」というモットー、そして監督のどこまでも丁寧な人柄が素敵でしたね。

 そしてラストはCG制作パート。CGディレクターを務める田所洋行氏がクリーチャーのCGモデルとそれを用いたバトルシーンを作り上げていく様子はこれまた目を見張るものがありました。デュエマの3DCGは初代からずっとハイクオリティで、それが初代アニメから制作に携わっている田所氏によって作り上げられている過程を見るのはかなり楽しかったです。PCであっさり作られているように見えますが、これもまた多大な時間と労力がかかっていることは十分に伝わってきます。(余談ですが普段しないようなバンザイポーズを取っている《アビスベル=ジャシン帝》を見られるのはここだけ!)その仕事ぶりも納得のCGに、これからも感嘆していくことになるでしょう。

 

 

  • プライドに固執した者、捨て去り変わった者

 そして各話の後半は本編の総集編。17話はファルゴが、そして18話はボウイが、それぞれ自分のマイハマ学園での足跡を辿っていくかのように物語を振り返っていました。(個人的にはカレンのD4入りやマイハマ祭での戦いなども取り上げてほしかったのですが、まぁ尺の都合もあるでしょうし仕方ないですね)思えばAIロボ先生の盆栽を割ったことからデュエマさいこークラブへの執着が始まったファルゴと、ウィンたちと仲良くやりながらも苦難に晒されるボウイのストーリーはそれぞれ別ベクトルで過酷だったことがよく伝わってきます。

 そしてこれらの振り返りを経て、ファルゴとボウイのキャラクターが少しだけわかったような気がしました。まずファルゴは言うまでもなくその高いプライドが特徴的で、自分に恥をかかせたさいこークラブへの嫌がらせなどを徐々に加速させていく過程は異常そのもの。とはいえ心の館での試練を経て「相手を完膚なきまでにねじ伏せる」ことを求めているファルゴが、自尊心を満たすために手段を選ばなくなっていくのはある種自明の理。彼にとってデュエマやD4の地位は自分の力を誇示し続けるものであり、そこから得られる優越感を誇示するために必死だったのかもしれません。16話でウィンに敗れたのも、そうした自分の地位に固執した「心の弱さ」が原因だったように思えてきました。(心の館で学んだ「心の強い者は運を引き寄せる」がここにきて返ってきているのが興味深いポイント)

 対するボウイに関しては以前の感想でも触れた通り、D4とさいこークラブの板挟みの中で如何に吹っ切れていくかがカギでした。ファルゴに脅されたうえD4の座を追われることになるなど可哀想な目に遭いながらも、それを乗り越えようと新しい自分を求めたボウイは実に勇ましかったです。(ニュー覚知山ボウイになるまでの過程はほぼほぼシュールギャグでしたが)カレンとのデュエマでも最終的に敗れてしまったものの、自分の全力を出し切ったうえで悔しがる姿に彼の精神面での余裕が見て取れます。過去の己を捨てて新しい自分を磨いたボウイは、D4ではなくなったものの着実に成長していると感じましたね。自尊心に囚われていたファルゴとは対照的に、ボウイは様々な枷から解き放たれたと見るべきでしょう。そうしてさいこークラブに入った彼の今後にも再び注目していきたいところです。

 

 

 そして今回はデュエマアニメ制作にかかわる人たちに「あなたにとってのデュエマとは?」と問いかけるのが最も重要なポイントでした。チアリとむーちゃんが自分なりの答えを考える参考にするために、それぞれの答えを出してくれるのが微笑ましかったですね。それらを簡単に箇条書きにすると……

 

  • 栗木春綱(コロコロコミック編集部):「魂の一滴
  • 押目祥樹(デュエル構成担当):「いつまでもアツくなれるもの
  • 川守田悠(プロモーション担当):「お祭り
  • 鈴木裕輔(監督):「自由と楽しさ
  • 田所洋行(CGディレクター):「出発点
  • チアリ:「マナチャージ
  • むーちゃん:「出口のない迷路

 

 といった感じ。各々のデュエマに対するスタンスなどが何となく伝わってきます。チアリとむーちゃんの答えも、各々のキャラクターにあっていると思えるのが面白いですね。チアリはそうしてチャージしたマナを潰すのかな?こういった抽象的な問いに対し、自分なりに真摯に答えてくれるだけで胸が熱くなります。

 いつも素敵なデュエマを作っていただき、本当にありがとうございます!!

 

 そして僕にとってのデュエマについて答えるならば、「興奮と安心」でしょうか。アニメなり漫画なりカードなり様々な形でこちらの予想を超えた衝撃を与えてくれると同時に、いつも楽しんでいるものが当たり前のように存在することにホッとさせてくれる……そんな2つの要素を兼ね備えいているコンテンツがデュエマだと僕は思います。こうして感想をほぼ毎週かけているのも、そんな興奮と安心があるからなのかもしれません。恥ずかしながら自分の答えを書いてしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 さて次回は本編再開。ファルゴに勝利しマイハマ祭でも1位になって絶好調のデュエマさいこークラブですが、マイハマ学園に新たに就任した教師・リッパ―教授(新OPに既に出ているキャラですね)によって波乱がもたらされる模様。デュエマが強いだけでなく超能力を使えるとの触れ込みですが、見た目と相まって怪しさ満点です。他にも教授が使うクリーチャーは何とゼニスで、その中には見たことがないモノも……果たしてこの教授が何者なのか、実に気になりますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。