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デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編(デュエル・ウォーズ) 第26話「開幕!デュエル・ウォーズ」感想

勝ち抜く想いの戦い

みんなもCUC、やろう!!(ストレージの使えそうなコモンとアンコモンを探しながら)

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  • 低レアリティが魅せるカードゲームの神髄

 前回女神ウィナの声を聞いたウガタと学園長により、デュエル・ウォーズの開幕が宣言。今回のデュエマWINでは早速そのルールが説明されましたが、勝ち抜けの予選を繰り上がり、そこから残ったベスト8でトーナメント方式の本選を繰り広げていくという実にオーソドックスな構成でした。この手の大会を描くにおいて、わかりやすく盛り上がれるトーナメントは定番なので安心感がありますね。

 その中で予想外だったのが予選で追加された特別ルール。デュエマの数あるレアリティの内C(コモン)とUC(アンコモン)のみでデッキを組む縛りが設けられたことに思わず少し衝撃を受けました。このルールは俗に「CUC」と呼ばれているの非公式ルールで、ここ最近密かな賑わいを見せている注目フォーマットです。これまで殿堂ゼロやデュエパーティーといった変則ルールを時々アニメで魅せてきた本作ですが、現状非公式であるCUCまで導入してくるとは思ってもみませんでした。

 これはデュエマ公式がCUCの存在を認知したうえで取り入れようとしている、と見るべきでしょうか。後々公式ルールとしてCUCが認定されるかもしれないと思うとちょっと胸が高まりますね。内輪のネタに公式が入ってくることに抵抗もありますが、デュエマの兄貴分であるマジック:ザ・ギャザリングMTG)でも同様の経緯があるので不思議ではありません。*1何よりこうした積極性もデュエマも魅力であると思うので、個人的には賛同したいところです。

 そうして今回描かれたウィンと対戦相手の「喝叱咤(かつ・しった)」のデュエマでは、各々コモンとアンコモンのみで作られたデッキを用いた対決が大きな見どころ。叱咤が【青緑スター進化】というCUCでは定番と聞くデッキを使い、対するウィンが《トートロット=ザ=ダーティ》と《ドンドン打つべしナウ》のコンボで相手の攻撃をシャットダウンしてくる絵面に意外にも興奮させられました。単体のカードパワーが高レアより劣っているものの、カード同士のシナジーを重視した戦いはある意味で「複数のカードを組み合わせて戦うカードゲームの奥深さ」を物語っていたと思います。劇中でナレーションが「カードゲームの基礎力そのものが問われる戦い」と説明していましたが、まさにその通りと頷きたいところ。CUCに興味があったものの触れてこなかった僕も俄然やりたくなってくる、ルールの販促としてわかりやすく魅力的な回でしたね。

 

 

  • でこぼこデュエマの兄妹事情

 今回は特別ルールの他にもゲストキャラである喝叱咤とその妹「喝励子(かつ・れいこ)」も大きな魅力となっていました。まず兄の叱咤のひと昔前の青春ヤンキーもののキャラクターのような出で立ちと、自らを律しすぎなキャラクターに笑ってしまいましたね。空気椅子やらトイレットペーパー10㎝やら、ストイックを通り越してもはやドMの領域に片足を突っ込んでいる行動の数々が何とも濃くておかしかったです。

 しかし地元ではデュエマでブイブイ言わせていたもののマイハマ学園に来てから負け続き、妹からも見放されるという経緯はちょっぴりリアルでシリアス。さらにそこから這い上がろうとする精神は好感が持てます。ウィンに妨害されたと勘違いする早とちりな面もありますが、妹のために戦う姿勢は主人公張りにカッコよかったので素直に応援したくなりました。

 励子も山姥ギャル(ポケモンルージュラのモチーフ説があるメイクですね)による反抗期真っ盛りかと思いきや、実は兄想いの妹だった話にはやられました。兄が楽しくデュエマをしなくなったことにショックを受けつつも、頑張っている彼のために目がオリエンタルミステリーな毒霧張りに痛くなるザ・グレート・カブキドリンクを作る健気さに胸打たれます。誤解が解けて叱咤が求めていたものがもう手に入っていた……という結末にもホッとさせられます。

 ラオウのパロディや最終的に妹のドリンクで気絶するオチなどただの良い話で終わらせないネタも満載でしたが、本作のゲストキャラの中でも特に見守りたくなる素敵な兄妹でしたね。OP映像にもチラッと登場していましたし、再登場に期待したいです。

 

 

  • 突如生まれたるは、怒りを浮かべる車輪の魑魅魍魎なり

オ:ドユニワ 自然文明 (5)
クリーチャー:ヴェールアビス
パワー6000
▪️G・ストライク(このクリーチャーを自分のシールドゾーンから手札に加える時、相手に見せ、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。このターン、そのクリーチャーは攻撃できない)
▪️W・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを2つブレイクする)
▪️メガ・ラスト・バースト(このクリーチャーが離れて、手札、マナゾーン、または墓地に置かれた時、このカードの呪文側をコストを支払わずに唱えてもよい)
喰土邪覇(グランド・ジャンパー) 自然文明 (3)
呪文:アビスへの誘い
▪️カードを1枚、自分のマナゾーンから墓地に置く。その後、自分の山札の上から2枚をタップしてマナゾーンに置く。

 ウィンが喝叱咤戦にて使用した新アビス。新たな種族「ヴェールアビス*2を持った自然単体のアビスで、そのビジュアルはこれまでのものと大きく異なり日本の妖怪を意識したものとなっています。このオ:ドユニワは《「輪廻」の鬼 シャカ車輪》のモチーフにもなった輪入道の姿をしており、一見するとアビスらしさがあまり感じられません。しかし輪がスパイク付きの大型タイヤのような形状をしているのが特徴的。この特徴のおかげで《アビスベル=覇=ロード》の眷属であることが一応わかりますね。(そしてこのヴェールアビスを邪神くんはいつ生み出したのか、個人的にはそこが気になって仕方ないのですが……)

 まずクリーチャー面はコスト5でパワー6000のW・ブレイカーと基本的なスペックはかなりのもの。G・ストライクも持っているので防御札としてもカウント出来るのが便利です。加えてメガ・ラスト・バースト持ちのコスト5、ということで覇=ロードへと革命チェンジするのにちょうどいいカードに仕上がっています。難点を挙げるとすれば自然のクリーチャーでありながらマッハファイターを持たない点、それ故登場時は何のアクションも起こせない点でしょうか。メガ・ラスト・バーストのおかげで除去されてもメリットになるのは嬉しいのですが、若干寂しいところがあります。

 そして「アビスへの誘い」を持った呪文面はマナブーストと墓地肥しを兼ねた効果。実質マナに1枚、墓地に1枚カードを増やすので同時に増やしていくには持ってこいのカードですね。マナに置いたアビスを覇=ロードで踏み倒すなど、単なるマナブーストで終わらない使い方も考えられます。とはいえ同系統の《神秘の石柱》と比べるとマナブーストと墓地肥しの順番が異なっているのが引っ掛かるところ。新しくマナに置いたカードを墓地に送れない点であちらに劣ってはいますが、その分上のメガ・ラスト・バーストも加えて発動機会が多いことを活かしてみるべきでしょう。

 上述のように革命チェンジ要員として作られたカードでもありますが、アビスもとい闇文明特有のスーサイド戦術でメガ・ラスト・バーストを発動させるのも手かと思われます。真っ先に思いつくのは学校男》や《クリティカル・ラブ》などで相手の厄介なクリーチャー共々破壊するコンボですね。こちらには破壊がメリットに繋がるので、序盤からアドバンテージを稼ぐのも得意なものです。アンコモンながら出来る仕事が多いので、通常のルールから今回のCUCまで幅広い場面での活躍が期待出来ます。

 

 

  • 高らかに飛ぶOP&激しく走り出すED

 そして忘れてはならないのが今回から一新されたOPとED。1クールごとに切り替わる豪華さに感嘆しつつ、それぞれの新しい歌と映像に聞き入り、見入ることになりました。まずOPはTikTokで有名なシンガー・杉本琢弥(すぎもと・たくや)さんが歌う「Believe it leap」。以前のOP2曲と比べてもかなり落ち着いた曲調となっていて、直近の明るさはそのままに穏やかなイメージのアニソンへと変化を遂げています。

 歌詞もちょっとした応援ソングテイストで、勝ち負けにこだわるばかり疲れ果てたプレイヤーに向けた“再起”の曲といった印象です。「今信じて飛び立て」という歌詞からも、何度もチャレンジする精神を賞賛しているように聞こえて元気づけられますね。映像に関しては特筆することはあまりないのですが、ウィンたちそれぞれをしっかり映してくれているのは好印象。登場キャラが出揃ってきたからこその集大成感といった趣きを感じます。

 続いてEDはヴィジュアル系ロックバンドのザアザアさんによる「ドロー」。vistlipといいNIGHTMAREといい、V系バンドとのタイアップが多いなこのアニメ……デュエマアニメ恒例のクリーチャーCGを大量に盛り込んだ映像と、おどろおどろしくも激しい歌声の組み合わせに惹かれます。クリーチャーたちがそれぞれワチャワチャやっている光景をハイクオリティのCGで見せてくれるのは毎度のこと素敵ですが、今回はクリーチャーたちによるレースバトルがサビ前辺りから描かれているのが注目ポイントです。

 歌詞もドロー=まだどうなるかわからない未来で勝負を賭けるようなテイストになっていて、つべこべ言う前に走り出そうぜ!といったメッセージ性を感じます。アビスのブラックな一面ともマッチしていますし、結構楽しいEDだと思いますね。(個人的にはジャシン帝たちのドタバタラストカットがここすきポイント)今回もOPもEDもまた魅力的な曲になっていると思うので、両曲ともに堪能していく所存です。

 

 

 他にもキユリちゃんのリスナーであることを明かして一気にキャラを立ててきたAI先生やらも楽しかった今回。次なる予選はどうなるのかと期待してたのですが、次回からは決勝トーナメントが始まることが予告されていました。CUCだけで何度もデュエル構成をする余裕はないのでしょうが、これにはえっもう予選終わりなの!?と驚くほかありません。正直言うともうちょっと予選のカオスな展開を見ていたかったですね。

 ともあれ次回はボウイがファルゴと対戦する模様。ウィンに敗れてからずっと包帯姿だったファルゴが復活するのはいいとして、OPや予告を見る限りまた変な見た目になっているのが目に留まりました。この男がどんな形で復活したのか、何だかんだで注目してしまいます。

 他にも学園長が新たに提示した特別ルール「ゾンビデュエル」も気になります。一度だけ味方クリーチャーが復活するとのことですが、詳細がさっぱりわからないので何とも怪しいです。この状況でボウイは果たしてファルゴに勝てるのでしょうか。またボウイが曇らされる展開を覚悟してしまいますが、どうせならここまでの辛酸を全て返して勝利し、ファルゴに一矢報いてほしいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:MTGでは「パウパー」という名称で、こちらも元はMagic Online上での非公式だったが後に公式ルールとして紙の方でも導入されている

*2:ヴェール(Vert)はフランス語で「」を意味する言葉。闇単体でフランス語で「黒」の意味を持つノワールアビスに対し、こちらは自然文明を持っていることを表しているのであろう。