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仮面ライダーガッチャード 第8話「グレイトなきずな」感想

大切な人の大切なものを

親子の関係を尊重する主人公とそんな主人公の考えを重んじる先生……その人情味に泣けるで!

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  • 大切にすべきものを語る

 今回のガッチャードは理玖くんとサボニードルもといサボ助を巡る物語の後編。前回戦闘の途中で逃げ出してしまったサボ助の身を案じ、ようやく本音を話してくれた理玖くんと共にサボ助を探すパートから始まりました。案の定父親に叱られようとも「友達と一緒にいたい!」という気持ちを語る理玖くんが微笑ましかったのと同時に、その気持ちを快く受け入れ協力してくれる宝太郎が心地よかったですね。ケミーを回収するという使命があるものの、それ以上に両者の気持ちを優先してくれる姿勢は見ていて気持ちがいいものです。

 そして前回襲ってきたマルガムの正体である理玖くんの父親「砂山堅二(すなやま・けんじ)」との対面も大きな見どころ。父親は息子の将来のために厳格に育てようとする束縛の強い親で、息子に悪影響をもたらす“余計なもの”を排除しようとする横暴さには頭を抱えてしまいました。(他にも片親かつ一代で事業を成功させた経歴持ちと、問題のある親であることを色々と察してしまう要素が多かったですね)その分そんな父親でも頭ごなしに否定しない、むしろ相手の息子への想いを尊重する宝太郎に驚きと感動を覚えましたね。

 何といっても「理玖くんがサボ助を友達だと想う気持ちも大切にしないとダメだ!!」という言葉が素晴らしかったです。大切な人のことを想うのならば、その人が大切にしているものも尊重しなければならない……至極真っ当な主張に感銘を受けずにはいられませんでした。重要なことながら忘れがちな考えをストレートにぶつけてくれる宝太郎の真っすぐさは本当に素敵だと思います。そうしたうえで悪意に囚われていた父親を救い、理玖くんの問題共々解決する流れにも美しさを覚えましたね。以前からその善性の強さと俗っぽい親しみやすさに好感が持てる宝太郎でしたが、今回のエピソードで完全に主人公のことを好きになりましたよえぇ。大切なことを小細工なしで真っ向から描いてくれる本作の作風も含め、個人的に魅力を感じるに値する大満足の回でした。

 

 

  • 厳しくも尊重する心

 上述の宝太郎の優しさに癒されつつ、前回に引き続き人間とケミーの共存を取り扱っていた様子が今回の注目ポイント。特に理玖くんとサボニードルを引き離さなければならないことをしっかりと描いていたのが好感触でした。5話の旭さんとレスラーGの件然り、どんなに良好な関係を築いていても例外はないと回収&記憶消去をしていたのも物語の展開として実に真面目だったと感じます。何より理玖くんとその父親の和解がケミーの記憶を失った後も続いている様子を見せてくれたのもグッド。宝太郎たちも交えて缶けりに興じるシーンは最高にほっこりさせられましたね。

 またミナト先生が全開と同じように、宝太郎に理解ある一面を覗かせてくれた点も見逃せません。ケミーの介入で親子の仲が引き裂かれかけたことについて宝太郎を叱咤するものの(宝太郎が理玖くんにケミーをけしかけたような言い回しには引っ掛かりましたが)、何だかんだで見逃してくれたのが実に粋でした。教師として厳しいところがあるものの、宝太郎の姿勢を重んじてくれる先生には惚れ惚れさせられます。彼だけでなく掟を遵守しながらも協力してくれるりんねなど、錬金アカデミーのメンバーほぼ全員スパナを除くが宝太郎に好意的なので見ていて安心することを改めて感じました。

 

 

  • 巨体と車輪、そして奇妙奇天烈な掘削と奇術の錬成

 

  ギャンボエール

GANVHALE!

 

スパイクル 

SPICLE!

 

ガッチャンコ!

 

スパイクホエール!!

 

 今回まず最初に変身したのは「スパイクホエール」。「ギャンボエール」と「スパイクル」の組み合わせの派生形態であり、例によってワイルド形態で登場しました。要所要所にクジラの意匠が施された巨大な自転車というわかりやすい見た目をしていますが、それ以上に劇中ではほぼ1枚絵だけの状態でボヨンボヨン跳ねていたのがおかしかったです。しかし前回のラストで落下死しかけた宝太郎がこのワイルド形態になる機転で着地し、理玖くんと共に一時退散するその働きっぷりは目を見張るものがあります。頭頂部から潮を吹いてマルガムを牽制したほか、前輪の収納部のようなもので理玖くんを確保する意外なギミックを披露してきたのも面白かったところですね。

 

   ガッツショベル

GUTSSHOVEL!

 

ドッキリマジーン   

DOKKIRIMAJIN!

 

ガッチャンコ!

 

ドッキリショベル!!

 

 そしてスパナ所持の「ガッツショベル」と錆丸が捕獲した「ドッキリマジー」を錬成(ガッチャンコ)して変身した形態「ドッキリショベル」。パワー型のケミーとトリッキーなケミーという、一見正反対に見える組み合わせが面白いフォームです。その見た目も腕に装着されたショベルからは力強さを感じる反面、頭部のシルクハットや胸の?マークなどはさながらクイズやマジシャンを彷彿とさせます。ガッチャード特有のゴーグルも若干煌びやかになっており、泥臭さと高級感が同時に存在しているように見えますね。

 今回の戦闘では手品を使って翻弄してくる……のかと思っていたのですが、謎のグルグル攻撃で敵マルガムの目を回して墜落させるという斜め上の戦法を取ってきたので笑ってしまいました。「敵はトンボだから」という理屈にも最初は困惑しましたが、まぁ変身者である宝太郎のことを考えるとこの安直さはある意味で納得ではあります。(その分ショベルからシャボン玉を発生させて、グルグルの軌跡を描いていたのは結構綺麗でしたね)むしろ宝太郎の発想力でどのような技を見せてくれるのか、という今後の楽しみも出来たかもしれません。

 

 

 というわけで8話の感想でした。ガッチャードが始まってから最初の前後編でどうなるのかと視聴前はドキドキしましたが、いざ見てみたら思っていた以上に話が綺麗に着地したことに感心させられましたね。教育的な教えや物語のテーマをシンプルかつわかりやすく、何より直球で描いてくれることが如何に大切かをこうして味わうことが出来たのも素晴らしかったです。変にひねくれずに気持ちのいい話を展開してくれる本作の楽しみ方を、ここにきて改めて感じ取った次第です。

 そして今回のエピソードで宝太郎の「人間とケミーが仲良く出来る世界」という目標が再び提示されたのも大きな魅力。主人公が目指すものに説得力が出来たところで、視聴者としてもその未来を見てみたい!と思わせてくれるパワーがありました。最終回を迎えるころには人間とケミーの共存の光景が広がっていることでしょうが、どうせならその時は旭さんと理玖くんがレスラーGやサボニードルと再会を果たしている描写を見てみたいところ。そうした期待を抱きつつ、続きを楽しみに見ていく所存です。

 

 

 さて次回は宝太郎たちが修学旅行で京都に訪れることに。学生なので当然なのですが、東映特撮恒例の映画村での時代劇衣装を着る展開を修学旅行で消費するのは中々に上手いと思います。錬金アカデミーのことばかりで普通の学生生活の描写も不足していたので、ここらで宝太郎やりんねが普通の高校生としてエンジョイしている様子を見せてくれると嬉しいですね。

 そして宝太郎の親友の加治木がとある女生と仲良くなるというのですが……正直嫌な予感しかしません。こういう話に限ってゲストの女性とは悲恋で終わることも多いので、加治木の身を案じてしまいます。一方で登場してからずっと本筋には関わっていない加治木にスポット当たることに、どうなるのかというワクワクも押し寄せてきています。果たしてオタクな彼に待っている運命とは。

 

 

 ではまた、次の機会に。