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仮面ライダーガヴ 第47話「幸せのディストピア」感想

植え付けられし幸福と罠

ダミーゴチゾウに爆破装置を仕込んで大統領たちを怖がらせましょう!(失敗)

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  • 最悪の集大成が日常を襲う

 ショウマが人間界に戻ってきて、本音を吐き出せるようになって一安心といったところで始まった今回のガヴ。ニエルブと手を組んだこともあって絆斗と色々揉めたものの、例によって落ち着いて話すことが出来る空間にどこかほっこりしました。特に絆斗はラキアとの会話でショウマの意を汲んだうえで支えようとする、実に冷静な対応を見せてくれていたので安定感が半端なかったです。(この2人が大分仲良くなってきているのもここすきポイント)

 その一方でついに始動したボッカ大統領による「人間界牧場化計画」で、一気に深刻な状況に陥ったのが今回の見どころ。ニエルブが開発した2種の人造ゴチゾウ「ダミーゴチゾウ:PLE(Pleasure)」「ダミーゴチゾウ:OPE(Operate)」の効果で多くの人間たちが無理やり幸せにさせられて、命令に従いヒトプレスになりに行く光景はコミカルながらも軽い恐怖を覚えました。ラキアの毒と人間を意のままに操る音波など、これまで使われてきた技術が最悪の形で結集しているようなイメージが湧いてきます。ただ絵面からして牧場というより漁業では?と思わなくもない。

 そうした大量のヒトプレス回収の光景もさることながら、幸果や優さんまでもが被害に遭っているのもあって、より危機感を抱かせてきたのも恐ろしかったです。(スイカ割りとかはぴぱれの裏口の描写にはフフッときましたが)特に優さんと改めて交流を深めていく過程が描かれているのもあって、彼に真相がバレてしまうのではないかという可能性すら考えてしまいます。一応はラキアがヒトプレスにする緊急回避方を使ったので安心しましたが、何かの拍子に爆発しかねない爆弾を抱えているような気分で今後を見なくてはならないと思うと大変ですね

 

 

  • 呆気なくも抗い続けた毒蛇

 そして今回最も強烈な印象を残していったキャラとして、ニエルブの存在は外せません。大統領抹殺が失敗後即座に始末されることはなかったものの、利用され尽くして死亡するという予想通りの末路を迎えました。それでいて爆破スイッチでダミーゴチゾウを爆破……させられず自爆するシーンは予想外かつ衝撃的で、初見は目が点になりましたね。まさしく「策士策に溺れる」を体現したような最期でしたが、あまりに唐突だったのもあって正直ギャグっぽくも見えてしまうほどだったりシータやグロッタの最期が劇的だったのもあって余計に呆気なく感じるのは意図的なものでしょうかね……

 さてそんなニエルブですが、前回同様大統領の底を把握しきれず返り討ちに合っているのが趣深いポイント。様々な策謀を巡らせている一方で、相手の力量を計れていないうえに奥の手などを用意していない浅はかさが目立ちます。研究などが得意な一方で、他人の思惑には鈍感といったところでしょうか。この辺りはニエルブ自身の幼い一面も相まって、悪だくみという点では大統領の方が圧倒的に上だったという印象も受けますね。本当に悪いヤツがどれだけ狡猾でずる賢く、そして邪悪なのか。本当の悪意を理解していなかったことがニエルブの運の尽きだったと言っても過言ではありません。

 といった感じでとことん報われない最期でしたが、大統領に一矢報いるつもりだった様子には好感が持てました。終盤まで保身に走っているように見えた時は結局その程度かと落胆したものの(そんな兄を前にしたショウマの複雑そうな表情もここすきポイント)、土壇場で本性を露にした際のテンションには手のひら返してしまいましたよえぇ。醜態を晒しながらも影で牙を研ぎ続け、最後の最後まで力を絶対とするグラニュートの世界に反抗したその姿。この生き様を貫いただけでもニエルブのことを高く評価したいです

 

 

 今回の戦闘シーンは主にユニットハウスの2階通路という、本作特有の閉所で繰り広げられたのが特徴となっていました。ガヴ&ヴァレンでニエルブを挟み撃ちにしながら、グリングリン動くカメラワークで迫力のある構図を作っていたことに改めて感心しました。それでいてヴァレンが壁を突き破るという、これまたギャグみたいな絵面が挿入されるので困惑しつつも笑ってしまいましたね。こうしたシーンがあっても違和感があまりない辺りに絆斗のキャラクター性も感じます。

 あとこの回で地味に気になったのがジープの変化。ニエルブが最初からショウマ目当てに行動していて、これまでの改造や特訓が全て茶番だったと知ってしまった際の様子は流石に可哀想でした。しかしリゼルの言葉に素直に感謝する瞬間のジープは、これまでと何かが違う感覚があって非常に不気味でしたね。これは縋るものがリゼルだけになってしまった結果、彼女のことを全肯定するようになったのでしょうか。あるいはそんなリゼルすら見限り何かを企んでいるようにも見えますし、現時点では判断が付きにくいです。ニエルブも退場してしまった今、ジープの行動が何をもたらすのか非常に楽しみになってきました

 

 

 というわけで次回はボッカ大統領との決戦が勃発。今度はランゴと手を組み大統領を倒そうとする胸熱展開になるわけですが、そのうえでも勝てる気がしないのでかなりハラハラさせられそうです。しかしサブタイと予告映像で明らかになったガヴの新たなフォームで、逆に希望が出てきました。この新フォームがどれほどの力なのかはまだ定かではありませんが、ここまで散々舐めさせられた辛酸を吹っ飛ばすほどのカタルシスに期待したいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。