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2025年夏アニメ簡易感想 その19

 

 

 

 皆様は『アイアンキング』というテレビ番組をご存じでしょうか。かの『月光仮面』で有名な宣弘社が制作した1972年放送の特撮ドラマ作品で、凄腕の国家エージェントと巨大ヒーロー・アイアンキングに変身する能力を持ったサイボーグのバディものとのことです。かくいう僕も名前を知っている程度で実際に視聴したことはないのですが、主人公の相方の三枚目がヒーローに変身する設定は斬新だなぁと密かに記憶に残っていました。

 そんなアイアンキングですが、行方不明になっていたらしい第4~6話のネガフィルムを発見したというニュースが舞い込んできました。宣弘社の社長自らの文章で発表された情報によると、先月会社の玄関に3話分のネガフィルムが置かれていたとのこと。それも放送当時に使われた原版(マスター)フィルムだそうで、そんな貴重なモノが戻ってきたことで当時のファンなどの間で話題になっているのを確認しました。これにより全話マスターフィルムによる映像ソフトも発売可能になったので、大きな朗報と言えるでしょう。

 とはいえ良い話として片付けるには色々と不可解な点が多すぎます。そもそも何故ネガフィルムが行方不明になったのか、それが何故今になって戻ってきたのか。この辺りについては結局解決していないのでどこか不気味な印象を受けました。仮に宣弘社からフィルム盗み出した人物がいるとして、ソレを返す際も名乗り出なかった不義理を働いているので正直引っ掛かるものを覚えますね。(あと宣弘社の管理が杜撰だった可能性も浮かんできますし)アイアンキングという作品の復活自体は喜ばしい一方で、実に奇妙な事件だったと考えます。

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット

第6話「キャットライジング」

 主人公たちが避難した砦「ヴェンデルシュタイン」の様子から始まった今回。グランマをリーダーにメンバーの生活模様が描かれており、さながらゲームの拠点を体感しているような気分に浸れました。シャワーや食堂、映画などの娯楽施設も充実しているので意外と豪華なのも印象に残ります。何より猫が愛でられない天国のようで地獄のような世界に陥りながらも、絶望せずに生きている人間の姿に胸が熱くなります。文明が崩壊してもなお逞しく生きている人間の描写は、こういったシュールギャグ作品でも深く突き刺さりますねそれはそれとして『猫VSエイリアン』の溢れるB級感で笑ってしまう件

 一方で後半は猫の猛攻と、それに抵抗するウォード親子による攻防が繰り広げられることに。この親子は親父を筆頭に猫との戦い方・逃げ方を熟知しているのでただ者ではないことがすぐに伝わってきます。しかしそんな彼らですら追い詰められるほど狡猾になってくる猫の集団に、前々回のボス猫と同じ危機感を抱かずにはいられませんでした。シーツで相手を拘束しようとする作戦を仕掛けたり、何かしら特殊な技能を備えた猫が次々登場するのがたまりませんね。パニックホラー作品ではたまに他の個体と異なる突然変異した怪物などが出てきますが、猫の場合だと可愛さを武器にしてくるので余計に脅威を感じたり感じなかったり

 

 

まったく最近の探偵ときたら

第6話「名雲さんの大人の色気」「迷子と真白」「名探偵vs怪盗リバーフェイク」

 怪盗に憧れる少女「美馬坂風(みまさか・ふう)」ちゃん参戦!あの美馬坂刑事の娘でありながら、探偵にケンカを売る中々のやんちゃっぷりが印象に残ります。それでいて「怪盗ビーバー」を名乗る姿は、喋り方も相まって子どもの本気のごっこ遊びのようで微笑ましいですね。問題児ではあるものの、ここまでの登場人物の濃さのおかげであまり気にならない範疇に収まっているのも面白いです。(余談ですが原作ではあった風ちゃんによるタイトル回収がカットされたのは非常に残念なポイント)

 そんな風ちゃんが憧れている「怪盗リバーフェイク」とのバトルでは、両陣営のドジっぷりがこれまた強烈な絵面とかしていました。特にリバーフェイクは警察の罠で早くも満身創痍になったり、自分の技でダメージを受けたりと蒸気を逸したドジなのがあまりにも腹筋に悪かったです。風ちゃんには悪いのですが、ここまでヘマにヘマを重ねるオッサンが本当に凄腕の怪盗なのか疑わしく思えてくるほどでした。

 また前半のエピソードが惚れ薬によって名雲がカッコよく見えてしまうという、ラブコメの定番エピソードでフフッときます。ダンディに見えても名雲のおじさんが如何に変なのかが描かれているので余計シュールに映っていました。それでいて子ども扱いに反発する真白は珍しく可愛いですね。意味深な発言を残しながらも、憧れの名雲の助手になりたい一心であることが改めて読み取れるほっこり回でもありました。

 

 

おそ松さん(4期)

第6話「扇風機とタイムマシン」

 猛暑が続く真夏に扇風機が壊れるという非常事態も、この六つ子にかかればとんでもないカオスの導入に変化。というわけで新しい扇風機を探す中で、途中からタイムマシンで過去の扇風機を取りに行く話に移行して面食らいました。しかも持ち帰ったものもことごとく壊れているあるいは壊してしまい、何度もタイムマシンを使う羽目になる展開は予想していてもクスっときましたね。さらに3週間前で3話前の角刈り回の時間に辿り着くなど、意外な形で話が繋がっていくのでその辺りの驚きも得られて面白かったです

 しかしそういったドタバタ劇も最終的にはチョロ松の一声でさらに変化。取ってきた扇風機を元の時代に返すという、非常に面倒そうな作業をこなす六つ子たちには素直に感嘆を覚えました。彼らを促した三男も、久々にマトモなツッコミ役に戻っており驚きと共に何とも感慨深いものがありますね。壊れたと思った扇風機が再び回るオチが、良い意味でおそ松さんらしくないので困惑させられます。ただ全体的に話の流れがかなり爽やかなものになっているので、何だかんだでスッキリとした気分で見終わることが出来ました。

 

 

クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-

第7話「魔術奥儀」

 ドレル率いるボーレート軍の底知れなさに衝撃の一言。クレバテスがドレルたちの元に現れた時はあっさり片付くだろうと思っていただけに、クレバテスが封印される光景で驚かずにはいられなかったです。向こう側がしっかり対策していたとはいえあの魔獣王が罠に嵌るのも、これまでのイメージを覆す見事な下克上でした。またそれだけクレバテスにとって、魔術は未知の力にして脅威でもあることが伝わってきましたね。

 そんな魔術奥義でクレバテスを封じたドレルですが、第三の目や魔血による体の構成など明らかに人間ではなくなっているのが非常に不気味。(この人外っぷりは魔術以外にも魔獣と合成しているとかありそうですね)それでいて「世界の果てを見る」といった旨の野望を掲げており、その堂々とした佇まいにはある種のカリスマさえ感じます。もしかしたらこの男は悪逆非道の暴君というよりも、勇者と異なる道を行く覇王なのかもしれません。

 そしてメイナードによってアリシアたちも徐々に追い詰められていく展開に息を飲みました。街の人たちを言葉巧みに誘導して、勇者にヘイトを向けさせるやり口は卑劣ながら効果的と感心してしまいます。上述のドレル含めて、山賊たちは比べ物にならない強敵を相手にしていることを否が応でも実感させられましたね

 

 

ちびゴジラの逆襲

第72話「怪獣イーツを頼もう

 腹が減ったらカレーメシ!怪獣イーツ!というノリで流行りのデリバリーでカオスなことに。配達人がちびガバラという時点で嫌な予感がしていましたが、案の定時間通りに届けないマイペースっぷりに苦笑いしてしまいました。プロフィールの「商品は人質です」という自己紹介も最悪ですし、バイト掛け持ちで寄り道しまくる悪びれなさにはかえって納得すら覚えます。ちびゴジラが終始ツッコミに回る回に限って、相手がとんでもないと改めて感じますね。

 あと余談ですが、怪獣イーツで選べるお店の名前にもじわじわきました。「ふて寝ベーカリー」やら「焼肉不始末」やら、不穏なワードが組み込まれているので絶妙に頼みたくない気分になってきます。以前から登場しているスーパーだいなしやラーメン舌打ちもそうですが、怪獣島にあるお店の名前がことごとくロクでもないのは最早本作らしいノリなのかもしれません

 

 

 さてアイアンキングを手掛けた宣弘社ですが、調べてみたところ実に様々な作品に関わっている会社だとわかり驚くこととなりました。自社プロダクションによる作品だけでも『怪傑ハリマオ』や『シルバー仮面』『スーパーロボット レッドバロン』など往年の有名特撮が揃っており、自社以外でも『ウルトラQ』をはじめとしたウルトラシリーズに『柔道一直線』、1985年までアニメ『サザエさん』を担当したりと日本の特撮・アニメ界を語るうえで外せない存在の1つであることを理解した次第です。そんな歴史的な作品を多く抱えている会社だからこそ、今後は作品の管理にも気を配ってほしい限りですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。