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ウルトラマンオメガ 第19話「星の光を追いかけて」感想

あの輝きは色褪せない

エーイチくんは将来あの世界で怪獣トクサツの生みの親になるんだろう?僕は詳しいんだ。

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  • とんでもなく苦労する最高の作り物

 謎の赤い石が出現し人々のネガティブな感情が溢れ出すという、冒頭からしてちょっとしんどかった今回のオメガ。そのお辛さとは裏腹に、怪獣やウルトラマンに目を輝かせる「エーイチ」少年の物語は何とも素敵な始まりとなっていました。トクサツ映像を撮ることに全力なエーイチくんの様子は見ているだけで元気が出てきますし、彼のアイディアにソラトやコウセイが心からはしゃぐ場面にもどこか心が洗われます。子どもが純粋に“夢”を追いかける描写を真剣に魅せてくれているので、個人的にも感銘を受ける場面でした。

 エーイチくんが考えた「トクサツ」に関しても唸らされるものが多かったですね。まず彼の言うトクサツが「“ト”んでもなく苦(“ク”)労する最(“サ”い)高の作(“ツ”く)り物」の略なのが興味深く、これまで怪獣の存在が認知されなかった=恐らく怪獣特撮が存在していない世界においてなるほど独特な理由付けだと感心させられます。エーイチくんの名前の由来は言うまでもなく円谷英一氏(ウルトラマンの生みの親にして特撮の神・円谷英二氏の本名)でしょうし、彼こそがこの世界におけるトクサツ映像の第一人者であることが十二分に理解出来ました。

 そんなエーイチくんが制作した映像やアイディアも唸らされるものばかり。コウセイ特製の唐揚げを爆発エフェクトに見立てたり、絵の具を水の中に垂らして噴煙を表現するなど現実の特撮でも使用された技術が組み込まれていてで特撮オタクほどニヤリとさせれますね。それでいて彼が作ったジオラマや、オリジナル怪獣「超絶無限空前絶後怪獣 メガロヴァニオン」の人形は子どもっぽくてこれがまた微笑ましいの一言。若者たちに特撮技術を伝授している、田口清隆氏らしい特撮愛が詰まったエーイチくんのキャラクターには好感を抱きっぱなしです。

 

 

  • 遠く届かなくても、進んだ日々は無意味じゃない

 エーイチくんの楽しそうな姿が眩しい一方で夢を追うことはそう簡単なものではない、シビアな点もしっかり描かれていました。まず上述のエーイチくんに関しては友人たちがついてこれず、いつの間にか離れてしまうシーンがあって早々に胸が痛みましたね。親から勉強を強要されることもサラリと明かされており、この時点でのエーイチくんは周りから孤立していることが読み取れます。やっていることは斬新で非常に面白い反面、前例が無さすぎて周囲の理解を得られないというのは何とも言えない生々しさに溢れていました

 そして久々にコウセイのかつての夢について触れられていたのも大きな見どころ。彼が元同級生だったと思われる青年*1と再会し、陸上部時代の思い出話に花を咲かせる様子は楽しそうながらどこか切なげに映っていました。当時は本気でオリンピック選手を目指していたけれども、今ではどちらも全く関係のない仕事に就いている……そんな現実と浮遊感溢れる映像も相まって、元同級生の「遠かったよな」という言葉に苦々しさを覚えずにはいられなかったです。こちらはこちらで夢叶わなかったことへの諦めや妥協の心境がまざまざと伝わってきましたね。

 しかしコウセイやエーイチくんのやり取りによって、夢を追いかけること・かつて追いかけたことに対して否定的にならずに済んだのが素晴らしかったです。コウセイがかつて陸上で頑張っていたことを「後悔していない」と改めて言い切ってくれたのがまず素敵でしたし、そんな彼を「間抜けじゃないよ」と言ってくれるエーイチくんの優しさも胸に沁みますね。どんな苦難にあって失敗したとしても、その過程が無駄ではないとはっきり教えてくれるだけでこちらも心が暖かくなってきます。ラストのエーイチくんのようにソラトたち新しい仲間を得るラストも、失うものばかりではないというメッセージを感じます。辛いことを見せつつも、卑屈になりすぎずポジティブな終わり方になって本当にほっこりした次第です。

 

 

  • 壊し、砕き、突き破る!噴煙燃やす爆進獣

 エーイチ少年が拾った石に反応するかのように出現した怪獣「猪突猛進怪獣 バグリゴン」。胴体の中央に顔を持つ珍しい体型をした怪獣(似たような体型の怪獣だと個人的には呑龍(ドンロン)を思い出しますね)で、その上部には大きく湾曲した2本のツノを携えているのが特徴的です。また背面には無数のチューブ状の器官が存在しており、そこから炎や煙を巻き上げていることからジェット機におけるアフターバーナーの役割を果たしていると思われます。これらの要素からおよそ自然の生物ではないことがそれとなく伺えるでしょう

 実際元は異星人が惑星開発用に飼育していたことをソラトが説明しており、赤い星」を追いかけてこの地球に墜落したとのこと。(その石は「人間の負の感情を利用して怪獣を操るコントローラー」らしいのですが、マイナスエネルギーでも研究していたのでしょうか)その石を追いかける習性を持っているようで、劇中ではありとあらゆる障害物を無視して石めがけてまっしぐらだったのでインパクトも抜群でした。ソラトが「夢中になると周りが見えなくなるタイプ」と評価するのも納得と言えます。

 ただその突進力は戦いにおいてはとても恐ろしいモノと化していました。オメガとヴァルジェネスらメテオカイジュウの制止をものともしなかっただけでなく、2体まとめて押し出すほどの膂力を発揮。さらに落とし穴作戦にまんまと嵌ってもあまり気にすることなく、地面を割り砕きながら進み続ける姿には唖然とするほかありません。オメガの焼き粘土ドリルで貫かれる瞬間まで、目標に向かって一心不乱に爆進する様は別名に相応しい“猪突猛進”ぶりだったと言えるでしょう。

 

 

 今回他にも目に留まった要素として、コウセイがメテオカイジュウの特徴を掴もうとするシーンにも触れておきたいと思います。こちらはレキネスたちの性格を箇条書きにしていたり、小さい状態のメテオカイジュウと戯れる光景のほんわかした空気が癒し要素となっていましたねそんなに特徴があるなら劇中でもっと見せておくれよ~~!

 ボール遊びが好きなトライガロンバグリゴンと戦うのが怖くてポップコーンに頭を突っ込むレキネスコウセイに敬語でお願いされて仕方ないなぁとばかりに胸を張るヴァルジェネス……いずれも各キャラが掴みやすい描写で、一気に可愛さが増してました。(完全にニャンコなトライガロンが「荒々しくて勇敢な性格」と言われて首をかしげてしまったのは内緒)前回に続いて、メテオカイジュウのキャラクターを魅力を堪能出来て大満足の一言です。

 

 

 さて次回は謎の重力波発生の知らせを受けて、怪特隊ウタ班が出動。そこで傷付き怯える小さな怪獣と遭遇するようです。その怪獣はなんと時間を渡る能力を備えており、ソラトとコウセイは怪獣の力ではるか未来まで飛ばされてしまうとのこと。果たして未来の地球では何が起きているのか、本作の核心に触れそうな予感もしてドキドキしますね。

 また次回のエピソードを担当する監督が前作『ウルトラマンアーク』を手掛けた辻本貴則氏ということでこれまた期待せずにはいられません。上述の小さな怪獣から保護についても触れていくようですし、辻本監督がかつてアークで見せてくれた“想像力”や“自然と動物との付き合い方”に通じる内容になることでしょう。アークも大いに楽しんだ身としては、次回は全力で想像力を解き放って視聴していきたいです

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:余談だがこの青年を演じていた加部亜門さんは『仮面ライダーガッチャード』にてレギュラーの加治木涼役だったことでも有名。エーイチくん役の子もガッチャード7話&8話のゲストキャラを演じており、いずれも田口監督が以前ガッチャードを一部担当した縁から出演したものと思われる