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ウルトラマンZ 第12話「叫ぶ命」感想

その命と向き合う覚悟

キングジョーがカッコよく活躍したのに素直に喜べないこのもどかしさよ

ウルトラ怪獣シリーズ96 グルジオキング

ウルトラ怪獣シリーズ96 グルジオキング

  • 発売日: 2018/10/06
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 背負う責任と覚悟

 今回のウルトラマンZはいきなり『爆撃雷獣 グルジオライデン』との戦闘からスタート。(3話でギガスと戦っていたシーンとかもですけど前置きなく戦闘シーンから始まると見逃してしまったのではないかと焦ってしまいます)セブンガーとウインダムの2体体勢でも倒せない強敵にハルキはゼットに変身して応戦しますが、前回のレッドキングの件を思い出しトドメをさせずに逃がしてしまいます。ここまでトラウマになっている辺り、レッドキングと父親の2人を重ねてしまっているのだろうと思います。

 さらにグルジオライデンが10年前に地球に飛来した怪獣で、冬眠状態なのをいいことに研究材料として使いそのデータを元に特空機を開発したことが長官の口から語られ*1、ますますハルキの迷いは大きくなっていきます。人間の都合で利用され、暴れ出したら殺される・・・・・・そんな怪獣たちを「駆除する対象」から「同じ生き物」と認識を改めてしまう彼の様子が克明に描かれていました。ギガスやネロンガペギラゴモラといったかつて倒してきた怪獣のことも思い出してしまい苦悩する姿は見ていて胸が締め付けられるようです。

 そんな中印象的だったのがヨウコ先輩の主張。怪獣を倒すことが平和なのかと問うハルキに「今この世界に怪獣の居場所はない」と無慈悲に答える一方で、”命を奪う責任を背負う”という覚悟を見せてくれました。結局のところ人間の勝手なエゴで怪獣を殺してしまうことを理解したうえで、誰かに押し付けることなくその責任を果たそうとする先輩の揺るぎない信念に感動しましたね。またゼットにばかり任せようとしない点も良かったです。「ウルトラマンに頼らず地球人の手で地球を守る」というウルトラシリーズ共通の課題に対して逃げずに向き合っており、既に覚悟を決めているヨウコ先輩の精神的な強さに驚きを隠せません。彼女のことがますます好きになってきました。

 

 

  •   キングジョーの悲しき戦い

 さて今回は全体的に重苦しい雰囲気ですが、一方でキングジョー ストレイジカスタムが大活躍した回でもありました。前回に引き続きヨウコ先輩が搭乗しグルジオライデンとの戦いに挑む中、初っ端から4機の小型機に分離した「セパレートモード*2で相手を翻弄し、さらに「タンクモード」に合体変形して火力で圧倒する戦術を披露してくれました。この変形と合体の要素に加え、バランスよく添えられたミリタリー要素からロボットや兵器が大好きな人は見ていて大興奮だったかと思います。

 途中ウインダム共々パワー負けしてしまい倒れてしまいますが、その後オリジナルに戻ってピンチになったゼットを守るように立ちはだかり、ミサイルや分離機能を駆使してグルジオライデンのコアを破壊するという獅子奮迅の活躍を見せてくれました。元となったキングジョーの特性を最大限活かしきった戦いぶりで前回あまり活躍出来なかった分の鬱憤を見事に晴らしてくれた感覚です。

 ・・・・・・・・・・・・しかし悲しいかな、本来なら「キングジョーカッコいい!」「ヨウコ先輩素敵!」と大喜びするところなんですが、ハルキの迷いが見られた前後の展開に加え、物悲しいBGMもあって素直に感動出来ませんでした。むしろこれほど素晴らしい戦闘シーンをこれほど悲しいシーンに変えたスタッフの手腕に恐怖を覚えてしまいましたね・・・・・・

 

 

 ヨウコ先輩の覚悟やそれに対応したキングジョーの活躍が見られましたが、それ以上にハルキの苦悩する様子がそこかしこに見られた非常に辛い回でもありました。特に覚悟を決めて光線を放とうとした矢先にグルジオライデンの涙を見てしまうシーンなどはもう見ていられませんでした。”生き物を殺す”というのはそれほどまでに難しい問題であり、たった数話では解決出来ないものであることがよくわかります。

 

 ただ一方で今回ちょっとした疑問点もありました。それは「何故ハルキはゼットに相談をしなかったのか?」という点です。ハルキにとって今一番身近にいる存在であり、怪獣を殺すことに関して相談するなら最適な相手ではないかと思うので今回まともに会話すらしなかったことにどこか違和感を覚えてしまいました。「ウルトラマンという人間とは異なる種族なため価値観が違う」とか「ハルキがゼットを目上の相手だと意識しすぎて話しづらかった」といった理由も考えつきますが、そういった説明すらなくただ描写だけされなかったのはやはり不自然です。

 ハルキとゼットが一度も会話することなく終わる回自体はこれまでも何度かありましたが、今回はそれがかえって気になってしまいましたね。個人的に1話で見せた2人のコントのようなやり取りが大好きなので、今後は2人がもっと絡むようにしてほしいところです。

 

 

 そう思っていた最中、流れた次回予告で2人の会話らしきシーンが映って大興奮。果たしてゼットはハルキにどんな言葉をかけてあげるのか非常に気になります。そして何よりも次回はなんとカネゴンが登場!何気に番組名に『ウルトラマン』を冠するシリーズでは初めての出演ではないでしょうか。*3ここ最近のシリアスな空気を払拭する存在となってくれるのか要注目です。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:グルジオ系列の怪獣は初出『R/B』においてはルーブジャイロで変身する存在、として出てきましたが、グルジオライデンもそれに当てはまるかは不明。別種の普通の怪獣の可能性もありますが、誰かがツルちゃんみたいに変身した存在だとしたら・・・・・・

*2:分離した4機はそれぞれ「ヘッドファイター」(頭部)、「ブレストタンク」(胸部+腕部)、「コアシップ」(腰部)、「レッグキャリアー」(脚部)と呼称するようです。

*3:ゼアス2』に「デジタルカネゴン」という別種が登場していますが、カネゴンそのものは初かもしれません。