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ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント> 第3話「のばえのきょうふ」感想

大いなる脅威に立ち向かう

この世界の一般人みんな勇敢すぎない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 海と空を赤く染める怪鳥

 前回のラストで赤い海から大量に出現したラドンの群れ。このラドンたちは公式ホームページによると「成体」らしく*1、幼体と思われるこれまでの個体が毒々しい赤の体色をしていたのに対し、黒く筋肉質な姿などの差異があります。ここで興味深いと思ったのが成体は幼体よりも小柄である点ですね。10mはあろう巨体だった幼体に比べ、成体は大きくても3mくらいほどしかありませんでした。「成長すると小さくなる生物」というのはかなり珍しいです。(ちなみに現実にも成長すると小さくなる生物として「アベコベガエル*2が存在します)

 しかし小さいながらも車を横転させるくらいのパワーを備えており、さらには集団で襲いかかってくるので幼体以上に脅威の存在と化しているのが恐ろしかったですね。電波に反応して行動しているのはわかるのですが、何故人間を襲うのか、といった点も恐怖を煽ります。極めつけはユンたちが開発した「ジャイロZ」に誘導されながら集まる中で突如一斉に倒れはじめて死亡した点。人や建物に徹底した攻撃を仕掛けてきながらあっさりと倒れていく、まるで嵐のような存在でした。空より飛来して人々に恐怖を与え、その理由もはっきりしない不気味さはさながらヒッチコックの『鳥』を見ているかのようでしたね。

 

 気になるのは成体ラドンの体内から「赤い砂」が検出された点。ラドン出現時に海や空が赤く染まったことには以前から疑問を抱いていましたが、それらが全て赤い砂によるものだと考えると納得がいきます。とはいえこの赤い砂は何なのかという謎が残っていますが。

 個人的にはやはりラドンが出現した海の底、深海の地中の砂ではないかと考えています。ラドンの体内から検出された砂もその地中に眠っていた間に付着したもののようにも思えますね。深海で眠っていたラドンが目覚め、一斉に空に飛び立ったからこそ、砂が巻きあげられて海や空が赤く染まったのだと思います。となるとこの赤い砂は太古の地球のものなのか?といった新たな疑問が出てきますが、その謎は今後の展開を見て考えていきたいです。

 

 

  • 勇敢なる一般人たち

 さてそんなラドンの大群に襲われながら逃げ惑う人々が次々と出てきましたが、同時に立ち向かう人たちも描かれたのが今回の注目ポイントでした。ユンたちが居合わせたバスの乗客たちと力を合わせてラドンを退けようとする流れはいつ襲われてもおかしくない緊迫感もあって実に見応えがあります。ペットボトルを括り付けた即席の鏑矢が出す音でラドンを引きつける、という作戦も良かったですね。その場の日用品で対策する様子は自衛隊や研究員たちが怪獣に立ち向かう構図とはまた違った空気を醸し出しているのでかなり新鮮です。(どちらかというとモンスターパニック作品に近い雰囲気でした)

 この一連のシーンで特に見どころだと思ったのが弓道部の女子高生2人ですね。ユンたちと共に建物に避難した片割れの子がペットボトルの矢を放ってラドンを誘導するシーンは、彼女の弓の技術の高さに思わずびっくりしました。ユングのアシスト付きとはいえ正確に放てる辺り彼女の腕はかなりのものなのだと理解出来ます。

 もう片方の子はバスでおやっさんたちと籠っているだけで終わってしまいましたが、ラドンが迫る中弓矢で立ち向かうと言い出した時は耳を疑いました。五段ですから*3と言い放ちますが段位とラドンを倒せるかどうかは全くの別問題なのに恐れず戦おうとするこの女子の勇敢さには驚かされます。2人揃って大したJKだ・・・・・・

 そんな感じでラドンの脅威が描かれながらもそれに負けじと協力する一般人たちの強さが見られた回でした。他にも上記の女子高生以外の人たちも決して他人を見捨てないなど人情味あふれる様子を見せてくれたのでとても見やすかったです。(この手の作品にありがちな「自分だけ生き残ろう他人を陥れた結果、真っ先に死ぬキャラ」が出てこなかったのは意外でしたね)こうした「人々の団結」を描いていくのは見ている側としても気持ちがいいので、この先のこうした協力が見られるといいですね。

 

 

 今回は他にもユンと銘の2人がチャットを経てようやく交流したのが印象的でした。ラドン退治の際の間接的な協力をきっかけに(ラドン出現に対して真っ先に洗濯ものの心配をする銘とそのために機会をハッキングするペロ2には唖然となりましたが)、それぞれが取り組んでいる問題が少しずつ交わっていく様子は見ていてワクワクしますね。銘が李博士から受け取った「アーキタイプ」の謎も2人で解き明かしていくのかどうかも楽しみです。

 

 そしてラスト、海中の探査船がキャッチした謎の生物のシルエットには度肝を抜かされました。そのシルエットが出た瞬間に流れた“あのBGM”からして、これがゴジラであることは明らかなのですが、PVとは異なる首の短いプレシオサウルスのような姿には意表を突かれました。放送後にソフビ情報で「ゴジラ・アクアティリス」という名称が判明しましたが。まさか『シン・ゴジラ』よろしく、このゴジラも進化していくのでしょうか。これが本作のゴジラならミサキオクの地下にあるあの骨は何なのか、など他にも疑問は尽きません。ラドンの脅威は去ったものの、まだまだ不穏な影を落とす展開に期待がかかりますね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:公式ホームページの「怪獣」ページ参照 https://godzilla-sp.jp/kaiju/

*2:南アメリカに生息するカエルの1種。オタマジャクシの時は25cmほどの大きさになるが、カエルに成熟すると4cmから5cmほどに縮む

*3:弓道の段位は学生でも三段まではほとんどらしいので、高校生で五段はかなりの腕前である。