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ゴジラ S.P<シンギュラ・ポイント> 第6話「りろんなきすうじ」感想

地獄の扉は開かれた

ついにゴジラがキタアアアアアァァァァァ!!!

ムービーモンスターシリーズ ゴジラアクアティリス-ゴジラS.P-

ムービーモンスターシリーズ ゴジラアクアティリス-ゴジラS.P-

  • 発売日: 2021/04/17
  • メディア: おもちゃ&ホビー
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 子どもっぽい怪獣との対決

 前回のラストに始まったアンギラスVSジェット・ジャガーの対決はかなりのハイテンションな駆け出し。相変わらず元気なおやっさんが喋りながらジェットジャガーを駆る様子は見ているだけで面白いのですが、今回は捕鯨砲を持って至近距離からぶっ放す大金星を上げてびっくりしました。ここまでいいとこなしだったジェットジャガーがようやく活躍してくれたのは嬉しいですね。特に銃弾を跳ね返すアンギラスの未来視と装甲に対して避けられないほどに接近して攻撃する、という方法で対抗したのも好きです。この距離ならバリアを張れないな!

 またおやっさんだけでなくユンがまたもや戦ってくれたのも印象的。頭部を破損したジェットジャガーの目となってユングと共に操縦し撃退するラストシーンは見ていて息を飲みました。2話の時もそうでしたが、根暗なように見えて体を張って困難に立ち向かってくれるので素直にカッコいいと思えますね。ただ今回のように危険な作戦も平気で行ってしまう姿を見ているとどこか心配になってしまいます。自分の身を省みない主人公にはもっと体を大切にしてほしいと感じました。(まぁ本作の人間はおやっさんを筆頭にやたらフィジカルハイスペックな面々が揃っているので大丈夫だろうという感情もありますが)

 

 あとはやはりアンギラスの動きが目に焼き付きました。前々回無軌道な行動パターンからユンに「子どもなのではないか」と予想されていましたが、ジェットジャガーを転がして遊ぶ様子から一気にその印象が強くなりましたね。ジェットジャガーが動か亡くなった途端別の人間たちの元に向かう飽きっぽさも実に子どもらしいです。(ハベルが「じゃれつき怪獣」だの「飽きっぽい怪獣」だの言ってたのも面白いです。何でも怪獣付ければいいってもんじゃねーぞ!

 そんな愛嬌たっぷりのアンギラスには大いに癒されましたが、同時にその子どもっぽさが何かの伏線ではないかとも感じました。2話のラドン幼体をはじめとして、本作の怪獣は本能とは別にどこか好奇心に導かれて行動しているように見えます。生物としては実に自然ではあるのですが、目覚めたばかりで現代の世界に適応出来ていない辺りに以前の感想でも書いた「怪獣たちの進化」に関連しているように思えます。あくまで予感に過ぎないのですが、アンギラスたちの可愛さにも不穏なものを感じずにはいられませんでしたね。

 

 

 ユンたちが怪獣相手に四苦八苦している一方で相変わらず興味深いのが銘のパート。図書館で葦原に関する資料を探す様子が描かれましたが、残されていた葦原の論文は不可思議な絵と文様、それに「Orthogonally Diagonalizer」といった単語の数々が書かれて言うのが非常に興味深いです。個人的にはクモンガかと思われる蜘蛛らしき絵、そして明らかに楽譜に見えるイラストが気になりましたね。(楽譜は1話のあの音楽と関係があるのでしょうか)

 さらに「6=9」という謎の単語に頭を抱える銘が外務省官僚の「鹿子行江(カノコ・ユキエ)」との会話をするシーンも見逃せません。イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクが手掛けた「虎」という詩をきっかけに「空間の捻じれをひねって止める」という答えに辿り着いたのにはハッとさせられました。正直最初聞いた時はちんぷんかんぷんでしたがこの空間の捻じれをひねった理論は何かしらの手がかりになりそうですね。

 僕個人としては他にも行江が引用したウィリアム・ブレイクについても気になっています。軽く調べてみたところ詩以外にも水彩画なども手掛けていたらしく、その中にはダンテの「神曲」の挿絵も入っていた模様。前回BBが引用したダンテの詩に加え、今回使われた“地獄”というワードなど、度々ダンテの地獄観らしきものが使われている本作においてこの繋がりは何か重要な意味が隠されているように思えます。特に「この世の物ではない地獄が開かれる」みたいな言葉が行江の口から飛び出してきた時は間違いなく関連があると思いました。今回の冒頭のラドン然り、今まさに怪獣たちが地獄から出てきたようなこの状況がどうなっていくのか、ドキドキしながら見ていきたいです。

 

 

  • 大海を紅く染める恐龍

 そして今回最も衝撃的だったのが東京湾で繰り広げられた海上自衛隊とマンダの群れの戦闘シーン、その中に突如として現れた「ゴジラ・アクアティリス」ですね。首長竜、というよりはモササウルスを思わせる体型に加え、赤い体色などおよそゴジラらしくない見た目はかなりのインパクトを誇っています。ギョロっとした目つきも含め、『シン・ゴジラ』の蒲田くんことゴジラ第2形態のような不気味さとキモ可愛さがありますね。もしくは『メカゴジラの逆襲』に登場したチタノザウルスを彷彿とさせるフォルムです。PVに登場したウルティマとは大きくかけ離れた姿ですが、ラドンと同じようにここから進化していくのでしょうか。

 他にもこのアクアティリスがマンダを追っていた点が気になりますね。上記のアンギラスの件にもあるように、本作の怪獣たちは原始的な本能や好奇心で行動していますが、その中でもゴジラは明らかに「何らかの意思」で動いている節があります。他とは一線を画すこの怪獣の目的や如何に。

 

 また海自によるマンダ撃退作戦も見応えがありました。巨大な怪獣たちに対して現代兵器で対抗する絵面はやはり見ていてワクワクします。(本作はここまで一般人の戦いがメインで描かれていたので余計そう感じますね)訓練された隊員たちが各自適切な連携を取っているのも見ていて惚れ惚れしますね。一般人が「怪獣」呼びなのに対し、自衛隊の隊員たちやニュースキャスターなどは「巨大生物」呼びと立場によって呼称が違う点も面白いです。自衛隊が活動する描写があると「ゴジラ作品らしさ」がグッと感じられるようになる、そんな感想を抱くシーンでした。

 

 

 というわけでゴジラが本格的に登場した回でした。全13話の半分に差し掛かってきたところにようやく出てきたので大興奮しました。正直このペースだとあのウルティマが出てくるまで何話かかるのか心配になることもありますが、ひとまずは待っていた分のゴジラの活躍に期待したいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。