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2021年映画簡易感想 その4

 

 

 今日も今日とて映画感想です。まず最初に言うべきは今回はアニメ映画に加えて、邦画ドラマの感想も書いていくつもりだということ。ここまで書いてきた映画感想はほとんどがアニメ映画だったのですが、実際のところは感想を書いた作品以外にもいくつか映画も見ていて邦画も結構見ていたりします。そんな中で邦画についても語りたい、アニメや特撮以外にもこんな作品を見ているのだと言いたい、といった気持ちもあって今回書くこととなりました。これを読んでいる方々もこれらの作品に興味を持っていただけたら幸いです。

 

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 

 

 

 

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第2章

 以前から追いかけているスチームパンク×美少女スパイアクションアニメの劇場版も第2章に。テレビシリーズは放送順と時系列がシャッフルされている特殊なオムニバス方式でしたが*1劇場版は第1章からきちんと地続きで見られるとわかってちょっと安心しました。(テレビシリーズの方式も好きですが)

 そんな本作を一言で表すならば、「アクションてんこ盛り」と言ったところでしょうか。1章がスパイ同士の心理戦をメインとしていたため表面上の動きが少なかったのに対し、アンジェたちが潜入先で様々な敵や問題との戦いを繰り広げていく様子が展開されていました。特に前回は出番の少なかったアンジェのケイバーライトを駆使したバトルは実に見事。1章で描かれた水面下での静かな戦いもいいですが、ド派手なアクションの応酬は見ていてやはり興奮しますね。

 他にも今回アンジェたちに課せられた任務が「奪われたケイバーライト爆弾の回収」であることも大きな特徴。どこかで爆弾が使われるかもしれない、という危険性も相まって、本作の戦いはいつにも増して緊迫感に満ちていました。中でも終盤の爆発寸前の爆弾を解体するシーンは見ていてハラハラが止まりませんでしたね。また帝国と共和国の均衡を保つ“抑止力”として作られた爆弾が、その均衡を破壊しかねない最悪の兵器へとなりうる可能性を暗に示しているのが個人的には非常に興味深いです。

 

 そして本作もう1つの注目ポイントが「アルビオン王国」の王族が集結したこと。中でもプリンセス以外の王位継承権を持った者が登場した点はとても重要で、「女王になって“壁”を破壊する」というプリンセスの目的を果たすために排除しなければならない敵が明かされたことは今後の物語を大きく左右する要素だと思いました。今回プリンセスは劇中で王位継承権第2位の「メアリー」との絡みが多く描かれていましたが、自分を姉のように慕ってくれる少女をプリンセスは切り捨てることが出来るのか・・・・・・これまでなぁなぁに済ませてきた問題に彼女がどう向き合っていくのか非常に気になるところです。

 面白いのは継承権第3位である「リチャード」の悪役ぶりですね。最初はお気楽な王子かと思いきや、今回の事件の黒幕だと明かされるラストは中々に衝撃的でした。(薄々予感はしていたものの、驚きは大きかったですね)道化を演じていた切れ者、というキャラクターは非常に魅力的です。何より王位を手に入れようとしている点はプリンセスと同じである一方で、王族を手にかけることをいとわない冷酷さを持ち合わせている面もあります。このことからプリンセスと目的は似通っていても、決して相容れない存在であることが端的に描かれていることがわかります。上述の問題も含め、これらの“敵”に対するプリンセスの行動がどのようになっていくのか非常に楽しみになってきました。

 続く第3章の公開日は未だに発表されていませんが、鋭意製作中とのことですので気長に待っていたいと思います。

 

 

劇場版 ルパンの娘

 2度に渡って放送されたテレビドラマ(原作は小説ですが)の劇場版。僕はテレビシリーズをリアルタイムでチェックしていたわけではなく、母たちが見ていたのを横から見ていたに過ぎなかったのですが、後々まとめて視聴して見事にハマり現在に至ります。そういうこともあってこの映画は地味に楽しみでしたね。

 そんな本作ですが、コミカルなシーンやミュージカル要素はそのままに、スケールが大きくなっていたのが特徴的でした。物語の基本的な流れはテレビシリーズと同じながら、Lの一族や家族の問題を前に家族全員で立ち向かう構図がさらに強く示されていたいて興奮する要素が多かったです。終盤のラストバトルは両一家のおじいちゃんまで集結しての総力戦と化していたのもあって素直に燃えましたね。

 全体的に話の流れや描写が突拍子の無い点が多い中、それらがどうでもよくなるほどのパワーで押し切る内容は相変わらずでした。突如始まるミュージカルや『鬼滅の刃』の露骨なパロディなども「ここまで来たら最後まで突っ走ってしまえー!」と応援したくなります。この辺りの馬鹿馬鹿しさも本作の魅力なので、映画でも存分に味わえて楽しかったです。

 

 ストーリーに関しては、主人公の華が自分の家のことを受け入れるのが大きなポイントでした。これまでも泥棒一家に生まれたことに不満を抱いてきた華ですが、今回そんな家で育んできた記憶を認めたうえである種の決別を果たす、物語全体の大きなゴールを描いたのが本作だったと言えます。父・尊の愛を知り、ラストのヴァージンロードを一緒に歩く流れは結構感動的です。まぁすぐに泥棒ネタでギャグ落ちするのですが・・・・・・

 また本作の敵キャラである「三雲玲(みくも・れい)」周りの話が色々と衝撃的。尊の妹ということで華の叔母なのかと当初は思っていた中、華の実の母親だという真実には驚愕しました。クリスマスに最愛の人を失った玲が復讐鬼と化す過去回想は基本コメディの本作とは思えないほどシリアスで、ひたすら重苦しかったです。復讐のために家族を切り捨てた玲と、最後まで家族を守ろうとした華との対比も印象的です。そして決着後のクリスマスプレゼントを受け取るくだりには不覚にもウルッときてしまいました。本作は徹底して「家族」の物語を描いていましたね。

 

 一方で本作の隠し玉である「タイムスリップ」要素に関しては疑問点が多かったです。玲の夫を死から救うために過去を変えるのはいいものの、その結果華が和馬と出会わなくなり杏が生まれなくなる可能性を「未来を変えた後に玲に華と和馬を引き合わせるようにさせる」という不確かな方法で解決しようとする尊のやり方には首を傾げました。大分ガバいやり方にドラえもんセワシくんが生まれてくるかどうかの話*2みたいだな、とか思ってしまったり。

 その過去改変に関しても結局未来が変わらなかったことにも内心ズッコケてしまいましたね。過去と現在を変えることに関して発生した家族分裂の危機や杏の消滅など、結局のところ徒労に終わってしまっているのが残念なポイントでした。(未来が変わらなかった理由である“玲の夫の行動”には感動しましたが)いっそのこと玲がタイムスリップして過去を変えようとするのを、華たちが止めるという構図にすれば良かったのではないか?とちょっと考えてしまいます。

 とはいえ全体としては非常に面白かった映画で、シリーズのフィナーレとして最後まで楽しめました。何だかんだでルパンの娘もこれで終わりかと思うと寂しさを覚えますね。せっかくなので最後にお礼の言葉をば。本作に関わった全ての皆さま、最後までありがとうございました!

 

 

劇場版「きのう何食べた?

 よしながふみの漫画作品を原作とするドラマの劇場版。原作及びテレビドラマをチェックしていた身としてはこちらも非常に楽しみにしていた映画でした。ストーリーも原作の話をベースにしているだけあって、テレビシリーズと全く同じ雰囲気を保っていたのが実に素敵でしたね。テレビの方と同じ感覚で楽しめることに関しては、これはこれで乙なものです。

 上述の通りテレビシリーズと同じ感覚のストーリーとは言いましたが、映画の長大な尺を駆使している分、単行本1冊を丸ごと見ているかのような満足感がありました。*31つ1つは短いお話なものの、それらが密接に繋がって1つの大きな物語になっているので見応えがありましたね。冒頭の京都旅行であまりにも優しいシロさんを疑い始めた賢二が思わず「シロさん、(病気とかで)死ぬの?」と聞いてしまう流れが、巡り巡って今度はシロさんが賢二に聞くことになる流れには内心爆笑してしまいました。(この辺りはシロさんの「簡単に死ぬとか言うな」が自分に返ってきているのもあって実に面白いです)他にもコミカルなシーンが多めに入れられていたので、映画館で笑いをこらえるのに必死でしたね。

 それでいて本作はテレビシリーズでも度々描かれてきた「家族と世間との付き合い方」についてひとまずの決着を見せている点が素晴らしかったです。男同士の恋愛に関して周囲や家族の反応など、これらの問題にシロさんがどう向き合うのかがメインで描かれていたと言えます。未だに息子の相手を受け入れられずにいる両親に無理に合わず、賢二との時間を選んだシロさんの選択には少しだけ唖然となりました。

 しかしお正月に里帰りすることをやめただけで、母たちにはちょくちょく会いにいく描写にすぐさまホッとしましたね。自分と賢二の関係を家族が認められずにいたとしても、家族と絶縁することはない答えは個人的に非常に好ましいです。相容れずとも適度に距離を保って付き合っていく・・・・・・そんな関係があってもいいことを描いてくれたことに感動しました。ラストのお花見のシーンはそんな家族との関係、「離れていても同じ景色を見られる」ことを情緒溢れる形で見せてくれていたと思います。

 

 そしてストーリー以上に外せないのが本作に登場した「料理」ですね。この作品最大の目玉といってもいい料理シーンは健在で、いつもより多く5つくらいレシピが登場しました。公開前は「3つくらい出てくればいい方かな」とか思っていただけに驚きと歓喜に打ち震えましたね。

 登場した料理は素朴なものから豪華なものまで幅広く、テレビシリーズでは見られなかった高級食材を使った料理が大きな見どころでした。小日向さんの冷蔵庫から持ち込まれた食材を、佳代子さんの庶民レシピで作っていく過程は結構参考になりましたね。ローストビーフと言いながら実際には煮豚の牛肉版、という大雑把さは佳代子さんのキャラクターをそのまま料理に反映しているかのようでした。

 個人的に気になったのが序盤でシロさんが作った「りんごのキャラメル煮」。りんごの本来の甘みだけでも十分美味しそうな中でキャラメルを加える辺りにちょっとした贅沢さを感じます。それをトーストに乗せて食べている様子は見ていて思わずお腹が鳴りそうになりましたね。(さらに賢二がハーゲンダッツのバニラを乗せて食べていたのも良さそうですが、カロリーがものすごいことになりそうで実際に食べるとなると尻込みしてしまいそうです)作り方も劇中の料理の中では比較的簡単なようですし、機会があれば実際に作って食べてみたいと思いました。

 

 

 というわけで今回の映画感想でした。普段はアニメ映画を多く見ているものの、こういった邦画ももっと見ていきたいと考えています。しかし僕はメンタルの弱い人間なので重苦しい内容を映画館で観るのは抵抗があり、コミカルな作品ばかり見がちです。(最近だと『護られなかった者たちへ』が気になっていたものの、予告の時点で気分が沈んで結局観に行けませんでした)そういった作品はレンタルで明るいうちに視聴しているのですが、いつか映画館で観れるようになりたいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:余談だが、テレビ本放送とDVD・Blu-ray収録の順番もいくつか異なっていて微妙にややこしいことになっている。

*2:漫画『ドラえもん』の第1話「未来の国からはるばると」より。セワシのび太に「乗り物が違っても行き先が同じなら結果同じ目的地にたどり着く」「同じように歴史が変わっても僕は生まれてくる」と説明している。それでいいのかセワシ

*3:実際原作のコミック8巻を丸ごと実写化しているらしい。