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ポケットモンスター 神と呼ばれし アルセウス 感想

神に縋るか

己を信ずるか

DPとアルセウス好きにはたまらなかったですねはい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先月末にAmazonプライムビデオで配信されたアニポケ特別編『神と呼ばれしアルセウス』。同時期に発売されたゲーム『Pokémon LEGENDS アルセウス』の宣伝も兼ねて製作されたであろう本作を、僕もつい先日、ようやく視聴することが出来ました。

 その前に見た予告編からタケシやギンガ団幹部が再登場することがわかっていたのでワクワクしながら見たのですが、予想以上にファンサービス多めの内容に驚かされました。物語そのものはあっさりとしていましたが、個人的に唸らされた部分があり、思っていたよりも楽しめましたね。というわけで、今回はそんな特別編の感想を書いていきたいと思います。

 

 

  • 懐かしのダイヤモンド&パール

 まず上述の通り、本作はファンサービス要素が色濃く出ていた内容でした。アニポケ過去作の中でも人気の高い『ダイヤモンド&パール』(以下『DP』と表記)の続編としての側面が強く、DPを見ていた人ならニヤリと出来る作品に仕上がっていました。(一方でDPを見ていない人にはピンとこない点もありました。そのため完全なファン向け作品として見るべきでしょう)

 まずタケシの再登場が特徴的。いきなりポケモンセンターで白衣という珍しい格好で出てきたかと思いきや、すぐさまDP時代の服装に着替えてサトシたちと行動する場面には興奮しました。ラストのシロナに言い寄ってグレッグルにお仕置きされるシーンなど劇中のヒカリと同じように懐かしいと感じましたね。サトシ&ヒカリと合わせて、当時の関係性をすぐに思い出させてくれます。

 それだけでなくタケシのピンプクハピナスに進化していたのもポイントですね。手持ちの一部が進化していることで、あの頃よりも成長していることが同時に伝わってきました。一方でグレッグルはあの頃とほぼそのままである点もグッド。サターンのドクロッグとの因縁の対決を再び描いてくれたのも良かったです。

 もう1つ印象的だったのがギンガ団。未だに組織が残っていたことにまず驚かされますが(逮捕されてからどうやって戻ってきたのだろうか・・・・・・?)、彼らの目的が「アカギの奪還」にあるとわかってから一気に彼らの動向に見入りました。DPの終盤で自分から姿を消したアカギを取り戻そうとする、サターンたちの懸命な姿は非常に興味深かったです。アニポケのアカギは良くも悪くも何を考えているとか読み取りにくいキャラでしたが、部下に慕われるほどの人物であったことがここで描かれたのは思わぬ収穫です。

 それ以降は不覚にもサターンたちに感情移入してしまいましたね。ヒードランや他のポケモンたちへの被害を考えると確かに許せない悪だったのですが、一方で大切なボスを取り戻そうと必死になっているのでどうにも憎めません。アルセウスにアカギの安否を問いただそうとする様子は見ていて胸打たれました。結局アカギを取り戻せずに終わってしまう末路も含め、見逃せない悪役としての魅力を感じます。

 以上のようにDP好きにはたまらない内容が数多く見られた今回。他にもシロナの活躍やBGMが当時と同じものが使われていたりと、個人的に嬉しい要素が満載でしたね。同じように当時のアニポケを知っている人、好きな人にオススメしたいほどです。

 

 

  • 生命を導く“神”

 そんなファン向けの作品である本作ですが、それ以外にもアルセウスの扱いについても見事だと感じました。本作のアルセウスは終盤までほとんど出てこないものの、中々の存在感。個人的に「“神”としてのアルセウス」の側面が強かったと思いましたね。

 何と言ってもエムリットたちを使いにしてサトシたちに危機を知らせ、彼らに問題の解決を任せる様子が特徴的。いざという時に現れ、人間たちに進むべき道のみを示していく超然的な姿はまさに神のようでした。アルセウス自身はサトシたちに何も語らない辺りも、ある種神話的のようにも感じます。

 そしてこの姿勢は劇中でシロナが語ったように、「地上に生きる生命だけで問題を解決する」ことをアルセウスが重視していたからこそという点がまた素晴らしいです。地上に生きる人間とポケモンたちが自分たちの力だけで立ち向かうことを良しとし、彼らの行く末を見守るアルセウスの善性が本作には濃く表れていたと言えます。実際サトシたちは自分たちの力をフルに駆使していたのが印象に残りますね。(閃きのサトシ、知識のゴウと役割がはっきりしていたのがここすきポイント

 逆にアルセウスのプレートを使い、アカギを連れ戻そうとしたギンガ団には何もなかった点がまた徹底しています。何も得られなかったどころかヒードランの暴走を引き起こしてしまったのも、神の力に頼ってしまったことを考えれば当然の結末と言えます。上述でも触れたアカギについて聞き出そうとするサターンに対し、一瞥をせずに去っていくアルセウスの無情さは、これまた神らしい残酷さでした。

 といったように、本作はアルセウスが神様らしく描かれていました。ストーリー全体としては被害者のヒードランの方が目立っていたものの、わずかな出番だったからこそ印象に残る存在になってくれたと思います。(少しだけですが、映画『ココ』のセレビィを彷彿とさせますね)人とポケモンを見守る神としてのアルセウスを見たかった者としては、大満足の作品でしたね。

 

 

 というわけでアニポケアルセウスの感想でした。当初はあまり期待していなかった分、予想外の方向で楽しめました。ストーリー全体がこじんまりとした印象を受けた点や1話のヒノアラシたちは何だったのかなどの不満点もありましたが、それほど気にならない程度に収まっていたのもいいですね。テレビシリーズだけではない、アニポケの多彩な展開を満喫出来たと思います。この調子でテレビ本編の展開や映画(今年やるのかわかりませんが)など、今後のアニポケも楽しんでいきたいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。