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仮面ライダーリバイス 第40話「家族か世界か…魂の兄弟喧嘩!」感想

ぶつかり合うだけでは、駄目なのか

父の日に色んな父親が死んだり生まれたりしている件

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 子どもではいられない兄弟たち

 大二と完全に敵対してしまったところから始まった今回のリバイス。冒頭さくらのビンタが大二を襲ったり、大二が駄々をこねるような態度を見せたりと初っ端からクライマックスな兄弟喧嘩が炸裂していました。あまりにも激化しすぎていたので、ベイルが大二を回収しにきたシーンでちょっとホッとしましたね。

 その後は幸美母さんの言葉を受け「ただの兄弟喧嘩」という体で大二と向き合う一輝が描かれましたが、残念ながら大二が心を開かなかったことには驚きましたね。最終的に大二は赤石長官に回収され和解ならず……といったオチも意外です。というか母さんの助言やバイスの励ましなど、話の流れからして和解すると思っていただけに、予想以上に後味の悪い感覚を覚えました。

 

 何故こうなってしまったのか色々と考えてしまいますが、個人的には前回とほぼ同じ「感情のぶつけ合い」を繰り広げてしまったのが原因と見ています。戦いながらお互いに自分の主張を伝えあっていたのですが、どちらも自分の考えを決して曲げようとしないので泥沼化していたのが見て取れます。特に一輝は「みんなの笑顔を守る」という強い決意を見せていたものの、大二の感情に全く寄り添っていなかったのが問題に感じましたね。

 前回の感想でも書いた通り、今の大二に必要なのは彼の考えに寄り添ってやることだと思います。大二が何に苦しんでいるのか理解しないままに自分の考えだけを見せてしまったのはかなりの悪手だと感じましたね。一輝の無鉄砲なところは嫌いではありませんが、今回に限ってはもう少し思慮深く行動するべきだったと言わざるを得ません。

 幸美母さんは「子どもの頃の一輝と大二は互いの想いをぶつけ合った後にスッキリして仲直りしていた」と語っていましたが、今回はそんな単純な話にはなりませんでした。これは一輝も大二も、子どもの頃のようにはいられなくなっていることを暗に示しているようにも思えます。自分の言葉を伝えるだけではなく、相手のことも想うことが今の彼らに求められているのかもしれません。どちらにせよ今回で解決するかと思っていた大二の問題が引き続き続いたことには色々と思うところがあるので、早いところスッキリとした展開を見せてほしいですね。

 

 

  • 孤独を埋めてくれるもの

 今回もう1つ語るべきポイントとして、赤石長官の変化があげられます。「ギフデモス」に変身してジャンヌたちを圧倒するなどの見せ場をありましたが、ここにきて大二を想う姿を見せてきました。ここまでギフの狂信者としての一面が強く、恐ろしい敵という印象だった長官が家族への感情を露出させ始めた光景はあまりにも衝撃的です。

 撤退した大二を抱きしめるシーンから始まり、その後上述の太助さんを殺害した際の複雑な表情を浮かべる様子はあまりにも意外。極めつけは大二を助ける際に「私の大事な家族に手を出すな」と発したことですね。大二を心身ともに追い詰めこちら側に引き込んだ張本人でありながら、孤独な彼の味方になろうとする様子はどこか異様に思えました。

 長官がここにきて家族愛を発揮したことにはかなりビビりましたが、一方で大二に寄り添う姿には何となく理解が及びました。劇中で自身も孤独であったことを話していましたが、長い時間を1人で過ごしてきたが故の孤独を語る点はまぁわかります。そして大二と同じく、歪んだ形ながら人類を守ろうとしているのも忘れてはいけません。滅ぼすのではなく導こうとしている辺り傲慢ですが、そのことを理解してもらえない孤独も同時に抱えていると思われます。

 そう考えると孤独を癒せる存在としての「家族」を求めるのはそう不思議なことではないのかもしれません。大二を仲間にするよう色々根回ししていたのも、自分の気持ちを理解してくれる相手を探していたとも考えられます。どちらかというと傷の舐めあいとしての側面が強すぎる疑似家族になりかけていますが、感傷に浸る長官はこれまでよりもずっと魅力的に見えてきますね。(それでいて「林火陰雷」みたいなネタ要素も健在)赤石長官にはいっそのこと、冷酷なようでいて身内には優しいタイプの悪役として目立ってほしいところです。

 

 

 上述にも書いた通り、太助さんの死が描かれたのもちょっとショッキングだった今回。母親役に続いて父親役まで失ってしまった光くんがあまりにも気の毒になってきたと同時に、太助さんが見せた家族愛に心揺さぶられました。本当の家族をデッドマンズに殺されたショッキングな過去も明かしつつ、光くんを息子として助けた辺りにこの人なりの愛情が読み取れます。未だにバラバラな五十嵐家とは対照的に、牛島家は疑似家族ながら繋がっていたことがわかるシーンでした。(そんな太助さんや赤石長官の出来事がよりにもよって「父の日」に放送されたという事実も中々に皮肉がきいています)

 とはいえここ最近の苦しい展開の連続はやはりフラストレーションが溜まる一方。前々回のような活躍シーンにはテンションが上がったものの、主人公周りの問題が先延ばしにされているのは見ていてどこかヤキモキさせられますね。物語も終盤に入ったころですし、そろそろ何かしらのカタルシスを用意してほしいところです。

 

 

 そして次回は大二との問題の続きが描かれる模様。赤石の打倒を誓う一輝に対しそんな兄を打倒せんとする大二の対比、さらには元太父さんまでがベイルとの決着をつけようとするなど、五十嵐家の面々が一斉に動き出そうとしている様子に動揺が走ります。その他にも量産型デモンズがいよいよ投入されるといった展開もあり、全体的に詰め込まれた内容になりそうです。この混沌とした展開に、どのような結末が待っているのか気になるばかりです。

 

 

 ではまた、次の機会に。