『ダイの大冒険』のアニメがついに完結した……
ずっと待ち望んでいた映像化をこの目で見ることが出来たことに感銘を覚える一方で、最終回を迎えたことによるかつてない喪失感が同時に襲い掛かってきました。約2年間毎週見てきただけに、もう見ることはないのか……という寂しさを今現在も味わっているところです。
現代にダイの大冒険をリメイクするということに衝撃を受けたあの頃が懐かしいとすら思えます。放送前は期待と不安が入れ混じっていた中、いざ始まった時の高揚感は今でも覚えています。それ以降土曜の楽しみになってきた本作に対するロスを感じている事実を前にして、僕はあのアニメが大好きだったんだな……という気持ちを再確認した気分です。それほどまでに素晴らしいリメイクアニメだったと思います。(下に続く)
というわけで以下、今週の簡易感想です。
ポケットモンスター
第129話「ファイナルⅠ 「激流」」
ついに始まったマスターズトーナメント決勝戦。プロジェクトミュウの招集を受けたゴウと一旦別れ、それぞれの夢へと突っ走ることを彼と誓い合ったサトシの覚悟がまず目に焼き付きました。連絡を取らずとも、お互いに信頼していることがわかる関係性が何とも眩しいですね。ここまで対等な友人及びライバルとしてやってきただけはあります。
そして肝心の決勝戦ではダンデの鶴の一声でメガシンカにZワザ、キョダイマックス全てが使用可能というルールに変更されたことに驚きました。そんな簡単にルールを変えていいのか?という疑問は湧いてきたものの、ダンデの実力と人気あればこそのゴリ押しだったのだろうなと思います。(まぁアニメでしか見れないバトルをやってくれるのは個人的にも嬉しいのですが)
バトルに関してはダンデの底知れない実力が序盤からこれでもかと炸裂していました。夢特性のリベロ持ちのエースバーンですら序の口、インテレオンがカウンターシールドを再現してみせた時の衝撃は計り知れなかったです。サトシの戦法を容易く自らのものにしてしまうその破天荒ぶり、チャンピオンとしてかなりのインパクトを残してくれましたね。
ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン
第15話「ウルトラセキュリティ懲罰房」
スポーツマックスの記憶のDISCからひとりでに動く「DIOの骨」を探すことになった徐倫。彼女を救うために音楽室最後のメンバーである「ナルシソ・アナスイ」が前半で鮮烈なキャラクターを見せつけてきました。殺人鬼というおよそ味方らしくない経歴を持っている一方で、一目惚れした徐倫と結婚するためという動機で協力してくれる素っ頓狂ぶりには唖然となります。
好意的に捉えるならば一途な奴なのですが、FFですら困惑させる「祝福しろ」などの発言の数々にはどうにも変態のイメージを抱いてしまいますね。彼のスタンド「ダイバーダウン」含めすごく頼もしいのがまた厄介です。それ故彼をどう動かすのか?が今後の展開のキモになったりならなかったりするのですが。
そして懲罰房ではプッチ神父の刺客が引き起こした異常現象がポイント。何と言っても今回使われたスタンド「サバイバー」の能力の厄介さが印象に残りますね。神父とDIOの回想シーン(この回想の気心の知れた2人の様子がここすきポイント)で語られたように、無差別に人を争わせる無秩序ぶりがどれだけ扱いづらいのかを実感しました。しかし今回のような使い方で徐倫をおびき寄せるなど「どんなスタンドも使い方次第」という言葉が頭に浮かんでくる内容だったかと思います。
後宮の烏(からす)
第4話「雲雀公主(ひばりひめ)」
烏妃は侍女の心がわからない……みたいな回。1話からずっと親しくしてくれた侍女の「九九(じうじう)」のために何かしてやれることはないか、と考える寿雪の様子は微笑ましかった一方で、侍女相手にあまりにも的外れな行動をするので見ていてヤキモキしてしまいました。劇中で帝に指摘された通り、彼女は心の機微を読むのが苦手なのでしょう。それだけに最終的に九九との仲も直ったラストにはホッとしましたね。一方で謎のナレーションが不穏で仕方がない……
今回の依頼の対象である「雲雀公主(ひばりひめ)」の件でも、主と侍女の友情が描かれていたのが印象的。些細なことで喧嘩してしまった後でも、互いに相手のことを想いやっていたことがわかる様子に胸が痛みます。特に雲雀公主が侍女のために薬草を集めていたのかもしれないという話にウルっときました。彼女らの間には、身分の違いも含めた友情があったことが伺えます。
一方で帝の方はどこか影を落としたかのような描写が多かったですね。前回名前が出てきた彼の大切な友人「丁藍(ていらん)」が皇太后の謀略に巻き込まれた事実、そのことに未だ悔いを残しているかのような帝の様子が痛々しかったです。さらにCパートでは彼と母親の幽鬼を見てしまう始末。帝の今後が心配になってきます。
ぼっち・ざ・ろっく!
第3話「馳せサンズ」
結束バンドの新メンバー候補として「喜多郁代(きた・いくよ)」が今回参戦。序盤から話していた過去からしてもしや……?と思っていたところ、例の逃げたギターの子だと即座に判明する流れに笑ってしまいました。他にもバンドどころかギターの弾き方すらよくわかっていない初心者ぶり、そしてリョウへの異常な憧れを抱いているなど、(「先輩の娘になりたい」発言には思わず二度聞きしてしまいました)これまた濃いキャラが出てきたことに圧倒されます。そして草を食べるリョウがこれまたクレイジーでしたね……
人当たりの良さや行動力はひとりとは対照的な陽キャそのものだった一方で、逃げ出してしまったことに負い目を感じているのがこれまた印象的です。不純な動機でろくに知らない世界に足を踏み入れてしまったと自嘲気味だった辺り、真面目に頑張っている人たちの邪魔をしたくない気持ちでいっぱいだったのでしょうね。そしてひとりとはベクトルは違えど、同じように自分を変えたいと考えていることも伝わってきます。それだけにいつもよりぐいぐい来るひとりたちのおかげで、もう1度結束バンドに加われて本当に良かったと思います。
ブルーロック
第3話「サッカーの0」
各チームの総当たり戦による一次セレクション第1試合にて、予想通りボールの奪い合いが始まったことに頭を抱えてしまいました。冒頭説明が入った得点王のルールからしてこうなることはわかっていたものの、みんな自分が点を取ることしか考えていない無秩序ぶりにはちょっと呆れてしまいます。(一見自由人に見える蜂楽の方が協調性があるという)ただ潔の分析や絵心の「圧倒的な“個”」を求める解説には納得させられましたね。ここまで語られてきたストライカーの重要性がようやくわかってきた気がします。
実際敵のチームXで実力を見せつけた「馬狼照英 (ばろう・しょうえい)」の存在もあって圧倒的な個の説得力が半端なかったです。ボールを球体下僕呼ばわりするなどパワーワードを連発してくる強烈な俺様ぶりに変な笑いが出てくる一方、彼のような傲慢なストライカーがチームの中心になることの脅威度がこれでもかと伝わってきました。対する潔は1話の時のように味方にパスを渡すプレーを咄嗟にしていましたが、これが何を意味するのかが気になるところ。これこそが彼の才能なのか、それとも前のチームで染みついた癖なのかでこの行動の意味合いが変わってきそうな気がします。
ドラゴンクエスト ダイの大冒険
第100話(最終話)「さらば!愛する地上よ」
最後の最後まで激しい激闘を繰り広げたダイとバーン。特にダイがバランの真魔剛竜剣を手に取ってからのノンストップぶりにはとにかく興奮させられました。父の剣を以てしてもバーンの瞳を砕けなかったという絶望感から一転、バーンの再生を食い止めていたダイの剣であの巨体を一刀両断するシーンはかつてない爽快感を覚えます。“大魔王バーン”を讃えるダイや彼を迎え入れてくれるポップら仲間たちの様子に心の底から感動しましたよえぇ。
しかしピロロこと真のキルバーンの登場から空気が一変。ダイが地上のみんなを守るために爆発に身を投じる最期で一気に悲壮感が出てきました。原作でも困惑と衝撃が大きかったラストですが、ダイの安らかな声と表情、そしてポップの悲しい叫びもあってあちらを読んだ時以上の悲しみが込み上げてきました。主人公が死ぬという結末は昔からありふれていますが、いざ味わった時はやはり辛いと感じてしまいますね。
ただダイが生きていることがわかる説明や、ポップたちのその後が描かれたCパートのおかげで読後感の良い終わりになっていたのが良かったですね。(獣王遊撃隊がゴメちゃんのマークを彫っているアニオリシーンがここすきポイント)何よりダイたちが守ってきた平和がここにあることを実感させてくれる、短いながらも素敵なエピローグだったと思います。
総評
ジャンプ原作の漫画作品のアニメ化ですが……以前放送された1991年版では果たせなかった「原作のラストまでの映像化」を達成してみせた素晴らしいリメイクでした。今の時代に分割せず、約2年かけて朝の時間帯に放送してみせたことにまず驚かされます。様々な苦難もあったものの、最初から最後までしっかりと製作したことがどれだけすごいことなのかは言うまでもないでしょう。
ストーリーも大筋はそのままである一方で、ちょくちょくアレンジが加わっていたのもグッド。表現を柔らかくしたり首を傾げる点を解消したりと、どれも絶妙な変化でした。原作をそのまま再現するのではなく、現代に合わせて少しずつ変えていく姿勢に制作陣のこだわりが感じ取れます。おかげでかつて原作を読んだ身としても、新鮮な気持ちで見れました。(同時に新たな見方を発見出来ました)
作画も基本高水準で、ここぞという場面で東映ならではのハイクオリティ作画を披露してくれていたのが嬉しかったです。このように力の入れどころがわかっている絵作りは、流石老舗のアニメ制作会社といったところ。おかげで放送開始から本当に楽しめましたね。
遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!
第30話「フェスティバルクイーン」
1クール目の中ボスの姿か?これは……前々回ズウィージョウがパン屋を始めようとしていたのは知っていましたが、予想をはるかに超えたトンチキっぷりを今回見せつけてきて唖然となりました。何と言ってもあの覇気に満ちたズウィージョウが人形のように微動だにしない姿には目を疑いましたね。カレーパンが食べられないのにカレーパン屋をやるというのも意味不明ですし(別TCGアニメの某カレーパンバカならどんな反応を示すだろうか)、最初から最後までパン屋をしている理由が明らかにならなかったのも今回のシュールさを引き立てていたと思います。
他には遊歩がキャンペーン商品のコレクションに燃えている様子が意外でした。今までのどこか人を見透かした態度からは考えられないほどのハチャメチャぶりにびっくりさせられます。ただ劇中でも語られていたように、普段社長として頑張っているからこそこうした趣味で発散しているのでしょうね。むしろずっと頑張りすぎていたきらいがあるので、年相応の子どもっぽい一面を見せてくれてちょっとほっこりしました。
上述の見出し、そして総評でも書きましたが、現代でここまでしっかりとしたリメイクが見れたことは本当にすごいことだと思います。かつて原作を読んだり1991年版を見た大人たちだけでなく、初めて触れる子どもたちにも向けていたことがわかる作風から、制作側の作品への「愛」と「本気」が感じられます。そして不正アクセスの件で放送休止になってしまうトラブルに見舞われながらも最後までやりきれた辺り、奇跡のようなアニメ化だったのかもしれません。
そんな最高のリメイクという奇跡を見せてくれた製作スタッフやキャスト、その他にも関わってきた多くの皆様方に向けて、感謝の気持ちをここで述べたいと思います。
素晴らしい作品を作っていただき、本当にありがとうございました!!
ではまた、次の機会に。