新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

デュエル・マスターズ WIN 第9話「プリンス・カイザ!」感想

我こそ最強の皇子(プリンス)なり

ゲスト芸人を罵倒しまくるライバルキャラがいるらしい

 

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 揺るぎなき自信と怒り、そして危うさ

 今回のデュエマWINは主人公たちの出番は少なめ、代わりにライバルであるカイザスポットが当たった回でした。若くして「竜神コーポレーション」のCEOを務めていることは以前も説明されていましたが、今回はそこで働くカイザがどういう人物なのかが描かれていたと言えます。デュエマや会社経営に対する絶対的な自信に加え、爆発からも生き残る「不死身のカイザ」の異名が明かされた時は衝撃を受けました。それでいてデュエマをする時に着ていた謎のマントと鎧のシュールさが半端ないですね……

 そんなカイザですが、前回に引き続き他者への辛辣な発言が目立っていましたね。会長である父親や自分を降ろそうと企む役員たち、そして副社長の「ハリウッドザフクシャチョウ」に対する暴言の数々には驚かされました。「ゴミどもが」「雑草以下」といったストレートにひどい言葉がバンバン出てくる強烈さは、インタビュアーなどを前にした時の外面とのギャップも相まって凄まじかったです。

 

 ただそんな苛烈さからカイザの「大人たちへの怒り」が見られたのが興味深かったです。父は会社を自分に押し付け、役員たちは保守的ですぐ保身に走るなど、軽蔑しても仕方のない大人たちの描写もあって彼の憤りに説得力が生まれていました。それ故「無責任」でかつ「成長しない」奴らを蔑み、若い力を求める姿勢にも納得がいきます。ただそのような向上心に溢れている点は素晴らしいと思うものの、自分の道を一切疑わずに進んでしまうところにカイザの危うさを覚えますね。役員たちを全員解任する強引さからも、邪魔な相手を容赦なく排除する危険性が描かれていると思いました。

 他にもそんなカイザをウィンがどう思うのかが気になるところ。現状ウィンはテレビの前の爽やかなカイザしか知りませんが、彼の本性を知った際どのような反応を示すのかとつい考えてしまいます。デュエマに対する敬意や誇りを抱いている点では共感を覚えるかもしれませんが、大人たちに対するスタンスでは真っ向に対立しそうな予感がします。(パパリンをはじめとして、ウィンは大人や友達に恵まれているのがカイザとの対比になっていますね)今のところカイザを憧れの相手と認識しているウィンが、この先彼を知っていく中でどうするのか実に楽しみです。

 

 

  • ゲスト芸人の扱い方について

 このようにカイザの傲岸不遜なキャラクターが明らかになった回でしたが、同時に彼の対戦相手となったハリウッドザフクシャチョウも強烈な印象を残していきました。言うまでもなく「ハリウッドザコシショウ」さん本人が演じるゲスト芸人枠なのですが、ライバルキャラの初デュエマの相手というとんでもない大役を担当したことにはやはりびっくりしてしまいます。ギャグのノリも現実のザコシショウ本人のネタの他、「ハンマ=ダンマ」とか言い出す申し訳程度のデュエマ要素が変な笑いを誘います。(あと唐突なコウメ太夫のネタは何なの……?)

 ただ一方で、敵キャラとしてはかなりヘイトが高かったようにも思えました。登場してから数分でカイザを爆破の罠に嵌める卑劣さがまず凄まじかったですし、自分でデュエマを挑みながら負けそうになったら投げ出そうとしたシーンには目を疑ってしまいました。デュエマをクソゲー呼ばわりするところなどは特にショッキングです。カイザが憤り覚える堕落した大人たちの描写としては実に正しいのですが、ゲスト芸人にわざわざさせる役回りなのだろうか……?と思ってしまいます。人気の芸人さんをヘイト高めの悪役にする辺り、良くも悪くも挑戦的だと感じる一幕でした。

 

 

  • 知識を巡り廻す結晶龍

龍素記号(りゅうそきごう)wD(ダブリューディー) サイクルペディア 水/闇文明 (5)
クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン/ダークロード
パワー5000
▪️ブロッカー
▪️ジャストダイバー
▪️このクリーチャーが出た時、コスト4以下の呪文を1枚、自分の墓地からコストを支払わずに唱えてもよい。
▪️自分の手札から呪文を唱えた時、その呪文を自分の墓地からもう1度、コストを支払わずに唱えてもよい。この能力は各ターン1度しか使えない。
▪️自分の墓地から呪文を唱えた時、唱えた後で、墓地のかわりに山札の下に置く。

 ハリウッドザフクシャチョウのハンデス戦略の核となった切り札。その見た目はかつて「ドラゴンサーガ」で登場した《龍素記号iQ サイクロペディア》《龍素記号Sr スペルサイクリカ》と酷似しており、それらの派生クリーチャーであることが読み取れます。名前が「循環、周期」を意味するサイクル(Cycle)に変化しているほか、闇文明とダークロードが追加されているのが特徴的。特にクリスタル・コマンド・ドラゴンとダークロードの組み合わせは《邪眼大帝 ラスト・ロマノフ》など以前から数多く存在しており、この2つの種族の関係性が気になるところです。

 カードとしてはコスト5のパワー5000、ブロッカーにジャストダイバーと基礎スペックはそこそこ。さらに登場時にコスト4以下の呪文を墓地からただで唱えられるcipも持っていますが、それ以上に手札から唱えた呪文の効果をもう1度唱える増幅能力が目を引きます。呪文の効果を実質2倍にする能力というのは単純に強力と言えます。増幅させられる呪文に縛りがなく、劇中で使われた《英知と追撃の宝剣》のように殿堂カードであろうと無制限のカードのように連打させられるのも魅力的です。シールドから出たS・トリガー呪文も増幅出来るので、防御にも使えます。

 ただ《龍装艦 ゴクガ・ロイザー》のような類似能力を持つカードと比べて、ループを組み立てるのが非常に難しいのが難点として挙げられます。上述の呪文増幅は各ターン1回のみという制限があるほか、墓地で唱えた呪文をデッキボトムに送ってしまうなど呪文の再利用が極めて難しくなっています。上のスペルサイクリカなど、他の墓地の呪文を踏み倒すカードとの噛み合わせも微妙に悪く、それらとの併用やデッキの構築にはかなり気を使うことになると思います。

 しかしこのターン1制限はクリーチャー自体にかかっているため、2体目のサイクロペディアを出したり手札に戻した後再召喚するなどしてもう1度使うことが可能です。《フォース・アゲイン》を使えば強力なループを形成することも夢ではありません。(実際このカードと《クイーン・アマテラス》を使った即死ループが考案されたようですが、この場では割愛します)工夫次第で如何様にも活躍させられる、実に魅力的なカードと言えますね。

 

 

  • 敵の牙城を突き崩す龍門砲台

ボルシャック・フォース・ドラゴン 火文明 (3)
タマシード/クリーチャー:アーマード・ドラゴン/ACE
パワー9000
▪️このタマシードが出た時、相手のパワー4000以下のクリーチャーを1体破壊する。
▪️自分の火のクリーチャーまたは火のタマシードが合計4つ以上なければ、バトルゾーンにあるこのタマシードはクリーチャーとして扱わない。
▪️W・ブレイカ
▪️このクリーチャーが攻撃する時、このターン、自分の他のクリーチャーすべてに「パワーアタッカー+6000」「パワード・ブレイカー」「スピードアタッカー」を与える。

 プリンス・カイザが今回切り札として使用したカード。火文明のタマシードクリーチャーで、かつ《ボルシャック》の名を冠する新ドラゴンの1体です。2足歩行ドラゴンが多いボルシャックの中では珍しい4足歩行のデザインをしており、そこにアーマード・ドラゴンらしく機械の装甲を纏う旧来のドラゴンを思わせる姿をしています。さらにアニメではタマシード形態からクリーチャー形態に変わる際、背中に巨大な2門砲台を装着する演出がされているのが面白いところ。

 まずタマシードとしては4000以下の相手クリーチャーを破壊するcipが特徴的。単体の火力除去で相手の厄介なブロッカーやメタクリーチャーを焼き払えるのは言うまでもなく便利です。タマシード単体の4000除去では1コスト軽い《ボル武者の炎霊》が存在しますが、cip使用後は火のクリーチャーorタマシード4体でクリーチャーとして運用が出来るので差別化は問題なく可能となっています。

 そしてクリーチャーになった後は攻撃後自軍クリーチャーに「パワーアタッカー+6000」「パワード・ブレイカー」「スピードアタッカー」の3つの能力を付与する能力を発揮。クリーチャー化のために横に並べた味方を並べる手段と見事に噛み合っており、自身の攻撃を加えて一気に相手を攻められます。どんなクリーチャーも最低2打点を形成出来るようになるので、ワンショット適正はかなり高めです。能力付与のタイミングはこのクリーチャーの攻撃時にされるため、ブロッカーやS・トリガーで除去された場合でも確実に味方を強化出来るのが素晴らしいですね。

 序盤は相手クリーチャーを除去し、味方を並べてから総攻撃を仕掛ける、というまさに無駄のないカード。それ故火のクリーチャーを横に並べるデッキでは問題なく採用されるでしょう。ボルシャックサポートが受けられる【赤緑ボルシャック】に投入するのもアリですね。何かといぶし銀な活躍が期待出来る1枚です。

 

 

 というわけで次回ですが、何とウィンがCG化して実写のハリウッドザコシショウと語り合う謎のカオス回になる模様。これには思わず面食らってしまいました。ザコシショウが次回も出てくるだけでも驚きですが、実写とCGが同居している絵面のシュールさがさらに見ている側を呆然とさせます。今回の敵キャラのザフクシャチョウとは異なる、本来のザコシショウを次回見せてくれるということでしょうか。

 また次回はそんなウィンとザコシショウのデュエマが描かれると同時に、これまでの話を振り返る総集編をやるとのことです。割と早い段階で総集編をやることにも驚きを覚える一方で、こういった形で見せてくれるのは普通に良いことだとも思います。ここ最近のデュエマアニメの総集編や再放送の形式に難色を示してきた身としては、少しでも工夫を凝らしてくれるだけで大歓迎です。本筋は進まないものの、次回は次回で楽しみですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。