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仮面ライダーギーツ 第23話「乖離T:いざ!推しのためなら」感想

3.5次元の真実

戦友(ギロリ)よ……お前は今……どこで戦っている……

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  • 傲慢な運営の支配

 チラミのヴィジョンドライバーが奪われてしまったことでいったん中止になってしまった今期のデザイアグランプリ。幸い「ゲームマスターだけでなくプロデューサーの権限がなければ創世の女神にアクセス出来ない」という対策が行われていた*1おかげですぐにどうにかなる状況にはならなかったのは安心だったものの、それでもかつてないほど予断を許さない状況に陥っているのは間違いないでしょう。

 ただ今回の前半は運営側、とりわけニラムの傲慢な態度が鼻につきました。デザグラ続行のためにドライバーを取り返すよう英寿たちに命令するも、彼らの質問や要求には「知る必要がない」「ノーコメントだ」の一点張り。プレイヤーがそんな曖昧な答えに納得するわけがないのも理解しているはずであろうに、まともに答えようとしない姿勢には見ていてフラストレーションが溜まります。

 それどころか「全てを知ればなかったことになる」という、デザグラの記憶や事実を消去すると実質的な脅しをしてきた時は唖然となりましたね。願いを叶える機会が失われる事実を盾に参加者をいいように操ろうとするしているのが見え見えです。以前はデザグラを思い通りにしようとしていたギロリに憤っていましたが、今回のニラムはそれ以上に彼らを駒にしようとしているように見えて仕方なかったです。(今思えばギロリってジャマトから世界を守ろうとしていた点ではまともな人だったんだな……)以前から抱いていた運営への不信感がより強まる結果となった描写の連続だったと言えます。

 

 

  • 推しを愛でる、それは娯楽として……

 上述のように不親切だった運営に対して、比較的色々と応えてくれたのがサポーターたち。景和を鼓舞するケケラに手紙で祢音を励ますキューン、そして自ら出陣して英寿と共に戦ってくれるジーンと、三者三様の応援をしてくれたのが何とも心強かったです。(キューンの手紙は湿度が高くてどこか気持ち悪かったのですが)ジャマト側でもベロバとアルキメデルがジャマーガーデンの真実などを道長に語ってくれていましたし、運営と比べて推したちに協力的な彼らには好感が持てますね。

 ただそんなサポーターたちも結局は英寿たちの戦いを楽しんで観戦しているに過ぎないと改めて思い知らされたのが今回の後半。英寿が運営やオーディエンスがはるか未来から来た存在であることを見抜くシーンで、ジーンが「この3.5次元の世界を楽しんでいる」といった旨の発言をした時は少々ショックを受けてしまいました。2.5次元ならぬ3.5次元という発言もあって、彼らにとってこの戦いは舞台やミュージカルと同じに過ぎないという事実は何とも恐ろしかったです。

 しかしそれ以上にとんでもなかったのがジーンの「君たちがギリシャ神話や戦国時代をエンターテインメントとして楽しんでいるように」といった発言。まるで現実の視聴者たちを指摘しているかのようでドキッとさせられましたね。歴史上の人物や出来事を好き勝手に改変し、物語としたものを楽しんで育ってきた身としては、この言葉にはぐうの音も出ないです。参加者を駒にして楽しんでいる彼らに対し憤りを覚えるほど、それと同じことをしているも同然の視聴者に返ってくる……そんな皮肉めいたメタ的構図に舌を巻くばかりのラストでした。

 

 

  • 悦楽を求め襲撃する紅牛戦士

 

BEROBA SET.

 

LASER ON.

 

BEROBA LOADING.

 

READY FIGHT.

 

 ベロバが赤いレイズライザーカードを装填して変身した仮面ライダー仮面ライダーベロバ」。ジーンと同じサポーター用のライダーですが、ロボットのような巨体が目を引く存在となっています。その変身後のボディは本作どころか歴代のシリーズの中でもかなりの大きさを誇り、近年の巨大戦力にも匹敵します。巨体を除けばマゼンタを基調としたカラーリングと牛を思わせる頭部のツノ、そしてジーンと同じく頭部と胸部にカードが差し込まれたかのようなビジュアルが目を引きますね。(この巨大なボディをまるで重力がないかのようにフワフワと浮かせる絵面がまた異質で面白いです)

 前回のジーンのようにラストに突然登場したためその力の全容は明かされなかったものの、必殺技で周囲を一切合切破壊するシーンのインパクトは絶大でした。炎に包まれた中1人立ち上がったベロバが笑う光景は、彼女の残虐性そのものを表しているかのようです。強大なボディと力を自分のために躊躇なく使用し、その他大勢を巻き込み殲滅する……まさに敵側に相応しい凶悪なライダーと言っても過言ではないでしょう。

 

 

 というわけでギーツ23話の感想でした。運営やオーディエンスが未来人であることはある程度予想はしていましたが、上述の通り視聴者自体を刺してくる発言もあってかなり衝撃を受ける内容になってきましたね。同時に劇的な展開の連続で非常に面白くなってきたとワクワクしてきました。(それ故にジーンたちの楽しみを否定し辛くなっていく……)そんな本作を見ている側も巻き込んでいくかのような、メタネタ要素満載の回だったと言えるでしょう。

 他には今回の戦闘シーンの数々も印象に残りました。サポーターの激励を受けて懸命に戦う景和と祢音、そして重力を無視した動きと強さを魅せるジーンとの華麗なコンビネーションを発揮する英寿のバトルには見ていて惚れ惚れさせられます。タイクーンがリボルブオンの無敵時間を利用してジャマトライダーの攻撃を防いだり、ナーゴがビートアックス2つを重ねて必殺技を出すなど、個人的なここすきポイントも多かったです。毎回激しい戦闘を繰り広げるギーツの中でも、今回は特に見どころばかりだったと思います。

 

 

 そして次回は謎の緊急特番を開始!?オーディエンス向けにニラムたちが突然説明を始めるとのことで、この予告には少々動揺してしまいました。30分後の番組の最終回と同じ日にこんな変則的な展開を持ってきたことにも驚かざるを得ないです。何『暴太郎戦隊ドン〇ラザーズ』が最終回!?ならば俺たちも緊急特番だ!!

 またこの特番によってデザイアグランプリの詳細が色々明かされていく模様。デザグラについて色々知っていくいい機会ではあるものの、ベロバの一撃に巻き込まれた英寿たちの安否が気になって正直それどころではないのが問題です……

 他にもベロバが再び襲撃してきて、それを今度はジーンたちサポーターが迎撃する展開が待っているようですね。キューンだけでなく謎の壮年の男も出てくるようですが、彼がケケラの正体なのでしょうか。いずれにしても、意外な展開ばかりだった乖離シリーズの終わりとしてとんでもないことになるのは間違いなさそうです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:劇中で以前にも同じことをした輩がいることが言及されていたが、恐らくは仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル』に登場したコラスのことかと思われる。