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デュエル・マスターズ WIN 第28話「旅立ちのウィン」感想

新たな一歩で駆けあがれ

斬札ウィンの物語は、次なるステージへ突入する────

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  • 好きでいるための心構え

 前回マイハマ学園の入試に挑戦するはずが東大に受かってしまうというとんでも展開を迎えてしまったウィン。今回のデュエマWINは今度こそウィンのマイハマ学園入学をかけた試験を描くということで、エリザ先生が課してきた特別入試に挑むことになりました。何と言っても7話で初登場して以降、全く出番がなかったエリザ先生が試験官を務めていることに驚きましたね。

 しかし突如として挿入された先生の回想により、彼女の人となりが少なくとも理解出来ました。ガリ勉時代にデュエマに触れてデュエマ大好き少女になったものの、先生としてのイメージを崩さないために表立ってデュエマをしてこなかったのは結構不憫に思えます。それ故デュエマを好きでいるために、新年度からマイハマ学園の教師になったという選択にどこか感動させられますね。自分の好きなものを好きで居続けようとする……前々回の「好きだったらそれでいいじゃん」に通じる素敵な考えだと言えます。回想シーンを見る限り、ウィンたちが楽しくデュエマをしている光景を見て決心を固めたように受け取れるのがまたエモいです。

 そしてエリザ先生がマイハマ学園の教師になったことで、今後のシリーズでも登場することが決定したのは嬉しいですね。その見た目からして気に入っていたので、影が薄いまま出番が終わらずに済んだのは何よりです。ウィンが学園に通いはじめてからも彼の良き理解者として支えてくれるだろうと、エリザ先生の今後の活躍に期待がかかる一幕でした。

 

 

  • 見送る側の心構え

 今回もう1つの注目ポイントがパパリンですね。特別入試であるエリザ先生とウィンのデュエマに向け、先生のためにデッキをそこそこ本気の用意していたことには唖然となりました。しかもそのデッキが開発部デッキの販促を兼ねた「正義星帝」 <鬼羅.Star>》をメインに据えたガンガン攻めるタイプの【鬼羅.Star】ということで、これまで何度も描かれてきたパパリンのガチっぷりが伺えるものとなっています。検問の守り 輝羅》とかを入れたガチガチのメタビート構築じゃなくて良かった……!

 それ以上にパパリンの複雑な心境が描かれていたのも印象的。ウィンの夢を応援してあげたいものの、全寮制のマイハマ学園に送ることで一緒にいられなくことに寂しさを覚えているパパリンの様子は中々にお辛いものでした。エリザ先生へのメロメロっぷりやミル・バラハスと名乗るシーンなどコミカルな描写が目立つものの、子を愛する親としてのそこはかとない物悲しさは残っていたと思います。

 しかしウィンの夢に対するひた向きな姿勢を見て、一転して彼を応援する側に回る流れにはグッときましたね。変わり身が早すぎてギャグっぷりが若干抜けきれていませんが、親としてすべきことは子どもの夢を全力で応援することと自ら気付けたのは立派だと思います。(エリザ先生もそれを狙ってパパリンにすり寄ってきたっぽいですね……恐るべし先生)息子の背中を後押しし、見送っていく側としてパパリンがキチンと子離れするまでを描いたエピソードとしても素敵な回でしたね。

 

 

  • 獣の駒が敵の戦略と盤面を喰らいつくす

悪遊(あくゆう) ノチェス=アルトゥス 闇文明 (6)
クリーチャー:アビスロイヤル
パワー66666
▪️H・ブレイカー(このクリーチャーはシールドを6つブレイクする)
▪️このクリーチャーが攻撃する時、クリーチャーを6体破壊する。(6体になるよう最大数選ぶ。自分のクリーチャーを含めてよい。)
▪️このクリーチャーは、可能なら攻撃する。

 ウィンが最後のとっておきとして繰り出した新たなアビスロイヤル。名前からもわかる通り、《悪灯 トーチ=トートロット》と同じ上級のアビスに分類されます。チェスがモチーフとなっており、白黒のボディにナイトやビショップといった駒の意匠などが施されているスマートなデザインが特徴となっています。(個人的にはキン肉マンⅡ世』に登場するチェックメイトというキャラに似ていると思いましたね)

 カードとしてまず目を引くのが“6”尽くしのスペックですね。*1コスト6でパワー66666という基礎スペックの時点で超ド級を誇っており、さらには史上初のブレイカー能力である「H(ヘキサ)・ブレイカ」を所持。1回の攻撃で相手のシールドを6枚ブレイクするインパクトはかなりのものです。実質全ブレイクが出来る打点候補となることでしょう。

 さらにド派手なのが攻撃時の破壊能力。場のクリーチャーを6体になるよう最大数選ぶ(5体以下なら全て選ぶ)というものであり、場のクリーチャーを一掃することが可能となっています。相手クリーチャーがいればいるほど大打撃を与えられるので、横並びしていくデッキには滅法強いです。

 しかしこのアタックトリガーは自軍のクリーチャー、果てはこのクリーチャー自身も対象に入っているのが注意すべきポイント。相手のクリーチャーだけで6体揃えられない時は、味方も破壊に巻き込まなければなりません。最悪このクリーチャーが攻撃した瞬間、敵も味方も更地と化してしまうことでしょう。しかも破壊は強制なうえ攻撃も可能であればしなければならないなど、リスクはかなりのものとなっています。(《アポカリプス・デイ》感覚で使って盤面をリセットするためと割り切るのことも出来ますが)

 このクリーチャーの圧倒的打点と破壊能力を活かすなら、他のアビスによるサポートはほぼ必須です。《邪龍 ジャブラッド》の破壊耐性付与で味方だけ生き残るという手段がまず上がりますし、《アビスベル=ジャシン帝》で破壊してもいい要員をあらかじめ展開しておく方法も考えられます。デメリットさえ回避すればその破壊力を存分に発揮することが出来るでしょう。

 またデュエパーティーでは通常ルール以上にこのカードのスペックが輝きます。多人数戦で多くの相手が展開する状況で破壊能力が光りますし、デュエパーティーの初期シールド枚数が6枚という点もばっちりかみ合っています。(実際このカードはデュエパーティー用に開発されたのでしょうね)普通に使うにはピーキーなカードですが、フルスペックを発揮した時の力はかなり魅力的なので使ってみたいところです。

 

 

 色々ありましたが、無事特別入試に合格したウィンはついにマイハマ学園に入学することに。エピローグでは計画通りとばかりにほくそ笑むカイザたちD4のメンバーや物憂げな表情で彼を遠くから見つめるカレンなど、新しい舞台での彼らの戦いを予感させるシーンが散見されていたのが興味深かったです。

 またウィンが学園に向かう日に多くの人が見送ってくれるのが素晴らしかったですね。パパリンやランナーをはじめとしたお馴染みの面々はもちろんのこと、チバさんや地下デュエマ闘技場の奴らなど1話限りのゲストキャラも網羅していることに驚かされます。(キャッシュや桜本先生といったコラボキャラやデュエマ開発者の1人である真木孝一郎氏らしき人物までいるという)ウィンがここまで多くの人たちをデュエマを通じて関わってきたことが伝わってきます。短い話数でもウィンの物語に対して、感慨深いものを覚えさせられる素敵なシーンでした。

 

 

 というわけで今回でデュエマWIN本編は完結。新主人公になってデュエマがどうなっていくのかと色々考えていましたが、ウィンになってからアニメをより楽しめましたね。ここまでは壮大なプロローグと言ったところの内容だったので、4月からの本番である『決闘学園編(デュエル・ウォーズ)』にも期待がかかります。

 そして次回は総集編も兼ねた特別編をやるとのこと。前半はウィンとカイザの決戦を振り返り、後半は彼らの担当声優とチアリが対談する模様。本編とは直接関係ないものの、デュエマで声優陣に話を聞くのはかなり貴重なのでこれはこれで気になりますね。新シリーズ開始前の準備として、こちらも楽しんで見たいところです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:666」という数字は『ヨハネの黙示録』において「悪魔の数字(獣の数字)」と言われており、それを意識しているものと思われる。