新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

ウルトラマンブレーザー 第8話「虹が出た 後編」感想

生きる想いが虹をも掴む

ゲント隊長、前世のライバルのネーミングセンスを受け継いでしまっている模様

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 暗き願いを照らし、生への明かりを灯す

 今回のブレーザーは前後編の後編。ニジカガチの圧倒的な強さ、そして横峯教授の危険な計画が明らかになった前回から、如何にしてニジカガチを止めるのかというストーリーが展開されていました。

 ゲント隊長たちが操作する中で教授が行った儀式の内容が明らかになり、その大掛かりな準備をやってのけた教授の底知れない執念にまずゾッとさせられます。そして教授とニジカガチの繋がりを仮定したうえで、教授の命を奪ってでも侵攻を止めようとする隊長の決意も印象に残りました。教授がここまでの覚悟を持って実行した以上「我々も覚悟を決めなければならない」と言っていましたが、隊長自身それをやりたくないのが目に見えて伝わってきたので辛かったですね。前回に続いて隊長としての使命を全うしなければならない悲壮感が描かれていたと言えます。

 そんな隊長と教授の悲しい戦いを止めたのは意外にもテルアキ副隊長。教授の制圧役として副隊長が立候補し、自ら説得に乗り出した時は驚きました。前回の時点で教授のフォロワーとしての一面を覗かせてきましたが、それを活かす展開を自然に持ってきたことに思わず膝を打ちます。教授の著書である「怪獣の目」を引用し、人間に対する厳しい意見とその裏に込められた深い愛情を読み解いて著者に伝える……読者が作者の想いを理解する過程で教授に寄り添う副隊長の説得に感心すると同時に、彼の教授に対する尊敬も感じられましたね。

 そのうえで生きる気持ちを尊ぶ言葉も素晴らしかったです。怪獣や人間ばかりに目を向けて無視してきた他の草木や動物たちにも触れるだけでもグッとくる中、副隊長がそれら全ての「生きたい」という想いを尊重しようとする姿には感動させられました。教授のやっていることが願いや優しさからきていることを理解しているからこそ、そこから派生したエゴに追求してこの言葉を出せたのかもしれません。横峯教授という人物を描写するだけでなく、ナグラ・テルアキ副隊長の掘り下げも同時に行う、実に見事なやり取りでした。

 

 

  • 神を迎え撃つ砲撃と斬撃

 さらに今回はニジカガチ討伐のため、アースガロンとブレーザーがそれぞれ新たな力を披露したのも見逃せません。まずアースガロンは新兵器「Mod(モッド).2ユニット」を装備したアースガロンMod.2となってパワーアップしていました。牽制用のレーザー砲と5話で登場したレールガンをバックパックとして背中に付けたその姿は、アースガロンの武骨なシルエットをさらに強く印象付けるものになっています。(個人的にはゴジラ×メカゴジラ』に登場する三式機龍(メカゴジラを思い出したり)特にレールガンの威力はニジカガチの弱点である額のクリスタルを破壊するほどのもので、今回の戦いに無くてはならない破壊力を発揮してくれました。

 一方でレールガンを発射した瞬間反動で倒れ込む欠点も描かれていたのが興味深いところ。調整不足ということもあるのでしょうが、強大な威力故にアースガロン自身に返ってくるリスクも桁違いであることがわかりやすく伝わってきたと言えます。そしてその反動を減らすため、地面に伏せた状態で再びレールガンを発射するシーンにはなるほど!と感心しましたね。限られた時間でMod.2を仕上げ、反動問題も土壇場の判断で解決したヤスノブの頑張りにも大いに魅せられました。

 

 そして最大の見どころがブレーザーの新必殺技「レインボー光輪」。教授の破壊された腕輪を吸収してパワーアップしたニジカガチ(そこは一度動きが止まるとかじゃないの!?)が発した虹を掴み、新しいブレーザーストーンを使って放つ流れにはテンションが上がりました。主題歌が流れるタイミングも完璧でしたし、何気に腕だけですがインナースペースらしき描写がされていた点にもニヤリとさせられます。この一連のシーンは、ゲント隊長の意識とブレーザーへの信頼がはっきりと見られるくだりとしても興味深かったです。

 そうして放ったレインボー光輪の大きさにも驚かされましたね。まさかブレーザーの身の丈レベルのデカい光輪をぶっ放すほどとは思ってもみなかったです。まぁその分七色の光を放つ光輪でニジカガチを真っ二つにする爽快感も半端なかったと思います。久々となる八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)の系譜を継ぐ光輪技ということもあり、その気合の入りようは流石と言ったところ。前後編の締めの技として、最高のカタルシスをもたらしてくれました。(その一方でレインボー光輪と名付けたのがゲント隊長であること、部下にダサいと評されているシーンもここすきポイント。隊長がロイミュードだった頃の宿敵ライダーのネーミングセンスを受けついだのかな?

 

 

 というわけでブレーザー8話の感想でした。いやぁテルアキ副隊長回でもあったのはかなり意外でしたね。前編で隊長と教授の葛藤を描きつつどう収集を付けるのかに注目していましたが、そこに副隊長という別視点の存在を挟むことで解決へと導く構成には本当に驚かされました。何より副隊長の人物像を同時に描いてみせたことには感心する他ありません。事件解決直後に教授にサインを頼むなど、可愛らしい一面を覗かせたのも素敵でしたね。教授も過去回想などはほとんどなかったもののこの前後編で一気に愛着が湧いてきましたし、何らかの形で再登場してほしいほど魅力的な人物に仕上がったと思います。

 

 

 さて次回の敵怪獣は何とガラモン!ウルトラQ』に初登場し、その後ピグモンというそっくりさんも出てきたロボット怪獣(ロボットであることは意外と知られていないんですよね)が令和に再登場するというだけで衝撃的です。あとから出てきたピグモンの方が有名になっている昨今、ガラモンはどこまで視聴者にその姿を印象付けられるでしょうか。

 そして物語としては「音楽」がテーマにあるのも注目ポイント。オーケストラを率いる男を人気作曲家にして雅楽師東儀秀樹さんが演じるという情報からも、音楽について気合を入れるつもりなのが伺えます。ガラダマを呼び寄せるというその音楽は果たして何なのか、それを奏でる演奏家たちの目的とは?その音楽と関わりのあるアンリの過去にも目が離せません。

 

 

 ではまた、次の機会に。