新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

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2023年秋アニメ簡易感想 その13

 

 

 

 『DRAGON BALL(ドラゴンボール)』で有名な鳥山明氏原作の漫画『SAND LAND(サンドランド)』。今年の夏に劇場アニメが公開され、不肖メタレドもその時映画館に足を運んだ際にその映画を大いに楽しませてもらいました。シンプルな物語なのに非常に奥深い鳥山氏のストーリー構成の手腕、その魅力的な世界観を余すことなく表現したCG調のアニメーションは見事の一言。今年観たアニメ映画の中でも記憶に残る作品の1つです。

 そんなサンドランドが何とシリーズ化することが決定。SAND LAND: THE SERIESというタイトルで新規カットなどを追加して連続アニメにするようです。要は劇場版を再構築するようでこちらに関してはまぁ面白そうなのではないかと思いますが、さらに新章を展開する情報に驚かされます。原作にはない新エピソードということになるのでしょうが、原作及び映画があそこまで綺麗にまとまった作品に続編を出すのは如何なものかとついつい考えてしまいますね。
 とはいえ主人公のベルゼブブたち魔族についてはわからないことは多いですし、この辺りの設定はいくらでも広げられそうなのでいざやったら面白いかもしれません。何よりベルゼとラオの活躍がまた作られるのなら見てみたいというのも本音です。少々複雑な気持ちにさせられますが、どうせなら好意的に続報を待っていたいと思います。

 

 

 

 というわけで以下、今週の簡易感想です。

 

 

 

 

 

 

ポケットモンスター テラパゴスのかがやき

第28話「ぬすまれた宝もの」

 骨董品を扱っているというダイアナの友人「テペン」の元を訪れた今回は、奪われたロイのボールを巡っての追いかけっこが展開されました。初登場の時点で胡散臭さを醸し出していたテペンでしたが、思った以上に曲者で終始リコとロイを翻弄していたのが印象的。そのうえバトルの腕ももそこそこ強く、仲間のタマゲタケが持ってきた超強力ねむりこなも厄介でしたね。(草タイプのニャオハを眠らせるのは地味にすごいですが、味方まで眠ってしまうのはご愛敬)卑怯者だけど単純に弱くはない、というのが絶妙な塩梅だったと思います。

 そんなテペンを追ってのドタバタ劇に終止符を打ったのがダイアナおばあちゃん。かつての仲間という話が本当だったことに驚きつつ、テペンの冒険に憧れているけど怖くて動けずにいる本音を引き出す流れに胸打たれました。改心するまでのテンポが早かったのが気になりましたが、リコにも教えた「怖いのは最初の一歩だけ」でテペンの心を解きほぐしていくダイアナには感動させられますね。テペンのランプラーたちも主人を見捨てず、ドーミラーの真実を映す鏡が本心を引き出すきっかけになったのもいじらしくて素敵です。どうなることかと思っていた話も、気が付けばスッキリと終わってどこかホッとさせられました。

 

 

Dr.STONE(3期)

第16話「全土大乱戦」

 げに恐るべきは宰相・イバラ。些細な違和感から耳飾りの謎を解き明かし、モズの裏切りを察知する奴には終始ハラハラさせられました。前回立てた作戦があっという間に頓挫していく様子は見ていて気が気でなかったです。その後も島全てに石化光線を放つ準備をするほか、頭首の石像を破壊するなどイバラの用意周到な面がこれでもかと描かれていました。科学の知識など一切持たずに千空たちを苦しめてくる点では、本作の敵キャラの中でも屈指と言えます。原作でもここまで厄介だった敵はいなかったと思うので、慎重にして狡猾というだけで多大なインパクトを残すイバラは本当に恐ろしい相手だと改めて感じましたね。

 しかし危機的状況に追い込まれてもピンチはチャンス!とばかりに動き出せるのが千空の魅力。諦めずに頭首の石像復元&ソユーズを頭首の系譜として祀り上げる作戦に出る過程は見ていて実に気持ち良かったです。またそんな千空に何も言わずついてくる仲間たちの連携も見どころで、上述の作戦失敗の際にも黙って退散していく選択に従っているシーンからも千空と科学への無限の信頼が感じられます。最大の懸念点が仲間であるはずのマグマの暴走という点には頭を抱えてしまいますが、絶望感をあまり感じさせずにさらに盛り上げてくる描写に興奮が止まりません。ここからの怒涛の展開も実に楽しみです。

 

 

呪術廻戦(2期)

第40話「霹靂」

 漏瑚が宿儺に倒されるのは予想通り、しかし彼に対する救いの描写に関しては予想の範疇を超えてきました。案の定圧倒的な作画と共に宿儺の圧倒的な力に呑み込まれそうになるものの、必死で喰らいつく漏瑚に好感が持てます。そして最期に花御たちとの再会や宿儺への称賛を受けて涙を流す姿に、見ているこちらも一安心させられました。宿儺が良いことを言っているかのような空気は釈然としませんが、漏瑚のここまでの頑張りが報われたと思うと悪い気はしませんね。敵側の残虐な呪霊ながら、仲間想いで人間臭い彼が幸せそうに逝けて何よりです。

 一方伏黒親子の対決は甚爾の自害という意外な形で決着したのでびっくり。しかしながら前回とは打って変わって正気を取り戻し、息子が妻の姓でいることに安心感を覚える過程にはグッときました。過去編での最期然り、ろくでなしながらに自分の子どもへの愛情があったことが伺えるのでどこか微笑ましくなってきます。

 他にはパンダと行動していた「日下部篤也(くさかべ・あつや)」が面白かったですね。危険な目に遭いたくない一心でパンダを騙したり呪詛師との会話を長引かせようとする小心者っぷりには変な笑いが出てきます。ただ大なり小なり覚悟が決まりきっている人物が多い本作において、ここまで生き汚いのはかえって貴重で可愛らしいです。普通に戦ったら強いことも示唆されており、短い出番ながら非常にキャラが立っていたと感じました。

 

 

葬送のフリーレン

第10話「強い魔法使い」

 アウラとの戦いの決着は思った以上にアッサリ気味……しかしフリーレンの「魔力を抑えることでの相手に魔力の総量を誤認させる」という戦術には感心させられました。魔族にとっては魔法と魔力こそ自分の力を示すプライドでありアイデンティティである話も興味深いですし、それを利用する合理的な戦術には納得するほかありません。(しかしフリーレンとほぼ同じ境地に既に立っているフェルンって実はものすごい天才なのでは……!?)天秤の力で呆気なく服従させられ自害を命じられるアウラの哀れっぷりもっとメスガキわからせフェイズが欲しかったも相まって、魔族を滅ぼすためなら一切の呵責も手段も選ばない「強い魔法使い」の意味をここにきて知ることが出来た気分です。

 そしてフリーレンと大魔法使い「フランメ」の出逢いから別れまでをまとめた回想シーンも印象に残りました。フランメが意外とサッパリした性格だったことにも驚かされますが、何より魔族を倒すための戦い方のみを教えてきただけとは思えない2人の絆の深さが要所要所で伝わってきます。中でもフランメから花畑の約束を交わすシーンはぎこちないものの、互いへの思いやりが見え隠れしている点に不器用な親子のような趣きがあってホッとさせられましたね。フリーレンは師匠と過ごした日々で身内への情を芽生えさせ、ヒンメルとの旅を経て育んでいったのだろうと思うと感慨深いものを覚えます。

 

 

遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!

第84話「働かざる者」

 みつ子の同郷の友人にして働きたくないでござる!!なバスケゴール子姉さんこと「籠たま子(かご・たまこ)」が出てきた今回のメインはタッグデュエル。労働とカレーパンを巡っての戦いになりましたが、たま子姉さんの死んでも働きたくない精神からくる行動の数々に苦笑いせずにはいられなかったです。まずバスケゴールに化けて子どもたちを驚かせるのが日課というだけでろくでもないのに、いざ追い詰められたら本気でデッキをガン回しするやる気の出しどころが面白すぎます。人が働いた金で食べるご飯はもっと美味いダンク」「働かないためなら何でもするダンク!」といったセリフも破壊力抜群でした。よりにもよってFate』のセイバー役の川澄綾子さんボイスでそれを言うのが……

 そんなたま子をサイコロの大剣士をはじめとしたサイコロカード、あと明らかな6の目イカサマで粉砕するエポックには思うところがありましたが(相方となった遊歩のサポートが的確だったのは良かったですね)、みんながクァイドゥールのデッキにされるラストの衝撃でそれどころではなくなってしまいました。遊飛たちが自力で異変に気が付いていたかと思われていたのも、全てはクァイドゥールのデッキに選ばれたからに過ぎなかったかもしれない可能性にも鳥肌が立ちます。前々回出てきた“40”という数字がデッキの枚数=異変に気付いた者たちの数だというタネ明かしもされ、全てを自分の手のひらのままにするクァイドゥールがますます上位者として君臨しつつあることを実感せずにはいられなかったです。

 

 

トランスフォーマー アーススパーク

第7話「スラッシュのだいぼうけん」

 今回のエピソードはモーとスラッシュの2人が主役でしたが、絵に描いたような親への反抗にどこか胸が締め付けられました。両親からアレをしなさいコレは駄目と言われることに嫌気が差し、外出禁止を破ってまで外に飛び出すほどの悪ガキっぷりは見ている分には微笑ましかったものの、友達という名の利用するカモを探すスインドルにそそのかされていく様子は気が気ではなかったです。しかし悪い子になりかけている子どもが本当に悪い大人の餌食になりかかる、そんな危険を示す教育的な内容を真面目に描いてくれていることには好感が持てますね

 そんな2人をたぶらかすスインドルの手口も恐ろしかったです。最初は邪魔なモーをスラッシュから引き離そうとするものの、彼が拒否した途端「友達は大切だ」とのたまう切り替えの早さには一周回って感心させられますね。(一方でハードトップを助けようと行動している辺り、身内には優しいのかも?)他にも前半ゴーストの輸送車を襲うなど、すぃんすぃんうるさくて面白い口調でも隠し切れない悪質さが目につきます。加藤賢崇さんのゆる~い吹き替えに和みそうになりますが、スインドルは放置してはいけない凶悪なディセプティコンの1人であることがこれでもかと伝わってきました。*1

 

 

 以前触れたドラゴンボールの新作に加えてサンドランドの新章など、鳥山明作品が次々とフィーチャーされている最近の展開には驚かされるばかり。それだけドラゴンボールの人気が凄まじいことの証明なのでしょうが、その度に監修などについているであろう鳥山氏の心労についてちょっと心配してしまいますね。氏は大変素晴らしいクリエイターなのでもっと様々な作品をみてみたいと思うものの、無理だけはせずに健康に気を付けてほしいものです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

 

*1:ちなみにスインドルの語源である「Swindle」には「騙して奪い取る」「詐欺」といった意味がある。