新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

仮面ライダーガッチャード 第12話「暴走ライナー!暗黒ライダー!」感想

絶望が絆を蝕む……

エボルト「人の心無いんか?」

ビルド「お前が言うな」

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 卑劣なる戦法、絶望の襲撃

 いやぁ絶望的……今回のガッチャードはまさに「急転直下の絶望」とも言うべき衝撃的展開でした。前回のラストで裏切り者だと判明した針馬さんがアトロポスに早々消されたシーンに早速ギョッとしたのも束の間、錆丸が敵側のライダー・ドレッドに強制変身させられてからの戦闘シーンはそれ以上に面食らってしまいましたね。仲間を操られているというシチュエーションでも宝太郎たちは必死に戦うものの、敵わず一方的に嬲られていく光景に絶句するほかなかったです。

 何といっても敵側が錆丸を人質に取っているとも言える状況を最大限に活かしているのがエグかったですね。アイザック越しに錆丸の悲痛な叫びを伝えてくる時点でしんどいものがあったのに、マスクの半分を剥がし、中にいる錆丸の顔を見せることで宝太郎の戦意を喪失させてきた時は思わず顔を覆いそうになりました。錆丸が意識のあるまま操られていることを劇中の人物・視聴者共に理解してきたところで、この最悪のマスク割れを披露してくる点が何とも嫌らしいです。今回アトロポスは「仲間なんて曖昧な関係に依存する」ことを宝太郎の弱点だと指摘していましたが、まさにその仲間の関係性を的確に突いてきていることに恐怖を覚えました。

 個人的には錆丸が強制変身させられるシーンが印象的でした。上述の操られながらも錆丸自身の自我は残っていることがわかる描写がありましたし、何よりアトロポスの「何ていうだっけ?」からの「変身」の流れが絶妙に怖かったですね。多くの人にとってテンションの上がる要素であるライダーの変身シークエンスをここまで邪悪なテイスト溢れる光景に仕上げる、今回の絵作りには舌を巻くばかりです。

 

 

  • 贄の心と尊厳を貪る恐怖の破壊者

 

スチームライナー

STEAMLINER.

 

ドレッド……

零式!!

 

 鶴原錆丸が冥黒の三姉妹のアトロポスの洗脳を受け、彼女たちが開発した「ドレッドライバー」に「レプリスチームライナー」を装填して変身した姿「仮面ライダードレッド 零式」。本作では2人目となる仮面ライダーですが、2人目からにしていきなりまさかの敵ライダーです。その姿も禍々しく、外骨格を思わせるビジュアルと真っ黒なボディカラーが見る者に「邪悪なライダー」であることを瞬時に印象付けてきます。また変身シーンもショッキングで、黒い骨のエフェクトが錆丸を覆い尽くす光景にはギョッとさせられました。さながら骨を以て拘束し、対象を逃がさないようにしているかのようです。余談ですがこのライダーのフォーム名である零式、これはこの先もあることを示しているかのようですが……?

 戦闘では冥黒の三姉妹が複製した「レプリケミーカード」を使用した多彩な攻撃を披露。後付けでスキャンしたカードの能力をそのまま使用することが出来(「レプリピカホタル」で体を発光させたり、「レプリスケボーズ」で高速移動を行ったり等)、複数の重ね掛けが可能なことからガッチャードやヴァルバラドの多重錬成を大きく上回る性能を誇ると思われます。加えてドレッドはケミーのことを知り尽くしている錆丸の知識を利用しているようで、それによりその場その場に応じて必要なカードを瞬時に判断・使用することを実現しているとのこと。その結果ガッチャードのフォームチェンジにも即座に対応し、常に一歩先を行く圧倒的な戦闘力を発揮していました。

 そのうえ上述にあるように、宝太郎と仲間たちの関係を最大限利用した戦法もこれまた非道。実質錆丸を人質に取っていることをいいことに、彼らの身も心もズタボロにして追い詰めていく姿は卑劣ながら感嘆させられるところもありました。主人公たちに絶望を与え、視聴者に恐れと憤りを抱かせるという点で、敵側のライダーとしてある意味理想的な暴れっぷりだったと思います。

 

 

  • わずかな希望と共に立ち上がる

 さてこのドレッドとそれを操る冥黒の三姉妹の情け容赦のない攻撃に大敗を喫してしまった宝太郎たち。振り返ってみるとスパナはドレッドとラケシス、ミナト先生はクロトーに倒されてしまい、戦えるのが宝太郎だけになってしまった状況下で負けてしまったのが印象に残りますね。他にもりんねアトロポスの精神攻撃にやられ呆然自失でしたし、蓮華も錆丸の目を覚まさせようと声をかけるものの無力……と各々が自分に出来る精一杯を果たそうとしていた中での敗北だったことがわかります。そのうえで完膚なきまでに叩きのめされたわけですから、絶望感もかつてないほど大きく伝わってきたと言えるでしょう。

 しかしただ主人公の敗北で終わらせるのではなく、ある程度希望の芽を残していったのも今回の見どころ。ドレッドに変身させられた錆丸が抵抗する意志を見せてきましたし、ユーフォーエックスが「エクスガッチャリバー」を宝太郎に授けてくれる瞬間は一転してテンションが上がりました。ここからどうやって反撃するのか、という期待を持たせてくれる展開もしっかりやってくれるので、見ていて何だかんだで安心しましたね。

 あとはラストの錬金アカデミーでのやり取りも印象的。スパナの甘い考えを咎める厳しい説教は一理あると思いましたし(これを言っているスパナ自身が内心自分の無力を悔しがっていそうなのがここすきポイント)、何より宝太郎の「初めて死ぬかもしれないと思った」には思わず聞き入ってしまいました。これまで錬金アカデミーで楽しく過ごしていた中で自分が死と隣り合わせの世界にいることをようやく自覚し、それでもなお立ち上がる姿には感動させられます。戦うことに対する覚悟を得て、主人公として一皮剥けた宝太郎を応援したくなるラストでしたね。

 

 

 というわけでガッチャード12話の感想でした。予告の時点である程度のシリアスを覚悟していたものの、予想以上に打ちのめしてくるので本当に見入ってしまいましたね。(同日に公開された『仮面ライダーレジェンド』が無かったらひたすら暗い気分になるところだったぜ……!)これまでの本編が明るく前向きに描かれていた分、今回で一気に落としてきた内容に一周回って感心させられます。また全編通してほとんど原っぱで物語が繰り広げられていたのも面白いポイントで、場面転換も多用しなかったのはかなり珍しいと感じました。

 あとはやはりアクションの描写も見事の一言。次々とフォームチェンジしていくガッチャードVSレプリカードで多彩に反撃するドレッドという構図をこれでもかと見ることが出来ました。上述の通り約30分丸々バトルだらけの構成だったので、いつにも増してかなり見ごたえがあったと思います。総じて安定してきたガッチャードの物語が、さらに盛り上がってくる感覚を覚える怒涛の回だったと言えますね。

 

 

 そして次回は錆丸を救い出すため宝太郎たちの反撃が開始するとのことで、鍵を握るのは今回エクスガッチャリバーを渡してくれたユーフォーエックス。加治木も加えてその最強ケミーを迎えようとするようです。錆丸の憧れのケミーで錆丸を救う……というシチュエーションは中々にグッときますね。もちろんそのユーフォーエックスを使用したガッチャードの新フォームお披露目も要注目。今回の絶望的展開を吹き飛ばしてくれるような、爽快感溢れる逆転劇に期待したいですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。