新・メタレドの楽しんだもん勝ち!

様々な作品について語ったり語らなかったりするサイト

牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者 第3話「鋼(はがね)」感想

誇りを持つ者・持たぬ者

流牙の「人間を守ることが使命」と言い切るシーンに説得力がありすぎる

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

  • 固執する戦士の危うさ

 今回の牙狼ハガネでは派手な戦闘はちょっとお休み。ホラーが出現せず、鎧召喚で戦うこともないという珍しいエピソードとなっていました。(ホラーが登場しない回は他にもいくつかありますが)その代わり魔戒騎士同士の鍛錬・稽古が描かれていたのが何とも新鮮です。模造剣を使った生身での模擬戦も繰り広げられ、それぞれの生身アクションを堪能出来るという意味でも面白かったですね。流牙と他の騎士で立ち振る舞いの余裕に圧倒的な違いが表れている様子や、模擬戦前後の礼など興味深い見どころも多かったです。

 ストーリーに関してはまたもや創磨を取り巻く諸々に波乱が巻き起こることに。先輩騎士たちに噛みつく姿勢はそのままに、自分1人でクレアシティを守れることを証明しようと模擬戦を提案してくる展開にもともと悪かった印象がさらに下がってしまいました。そのうえ力を誇示しようとするあまり、負傷したオビに斬りかかるシーンにはため息が出てしまいましたね。(周りが引いている中1人だけ勝ち誇ったような顔をしているのが余計に痛々しい)前回の感想でも書きましたが、この「敵を倒せればそれでいい」という姿勢は守りし者としてあまりにも致命的に思えます。

 一方で創磨の父・ゴドウを想う描写は前回同様、加えて父の技である閃光剣舞を使いこなせないことへの焦りなども垣間見えました。ゴドウとの回想シーンでも他の面々には見せたことのないようなにこやかな笑顔も見せており、これだけで創磨が父親のことを本当に慕っているのが伝わってきます。それ故今回の周りに反発を繰り返す態度もわからなくはないのですが、精神的な未熟さが今回の件を招いてしまったことを思うと何とも複雑な気分になってきます。劇中でイグスが「創磨が守ろうとしているのはゴドウの居場所」と評していましたがまさにその通りで、その固執から脱して守りし者の誇りや矜持を学べるかどうかが創磨の今後の分かれ目と言えるのかもしれません。

 

 

  • それぞれの感情・鎧への想い

 今回は他にもアゴラの三剣士それぞれのキャラが立ってきたのも注目ポイント。今回主に鍛錬を繰り広げていたロンとオビは特にそれが顕著で、流牙や創磨たちとのやり取りで不敵な前者と人懐っこい後者の違いが良く表れていました。個人的にはオビの可愛さはもちろんのこと、ロンの騎士としてのしっかりとした態度も見逃せません。初登場時はどこかチャラチャラしたイメージを抱きやすかったのですが、蓋を開けば礼節を尽くしたり弟弟子を庇ったりと真面目な一面が現れていて一気に好感度が上がりましたね。

 そしてイグスの方は創磨に難色を示す一方で、ロンのことを強く推す辺りが印象的。上述のことを考慮すれば納得ですし、何より弟子への信頼が感じられる良き師匠です。ただ創磨に対する厳しさは相変わらずで、彼の想いを汲み取るムツギ法師と口論になるなどどこか焦燥感を見せていたイグスには少々不安なものを感じました。戦友だったゴドウの失踪と破滅の門の関連性を疑っていることがわかるだけに、イグスの気持ちも理解出来ます。(無論創磨を尊重する優しいムツギ法師も好きですね)各人の想いや主張がハッキリしてきて、そこから至るぶつかり合いも本作の味になっていたと言えます。イグスとムツギ法師のシーンは「子どもの教育方針でケンカする夫婦」みたいだぁ……とか思ったりしましたが

 あとはやはり三剣士もみんなハガネの鎧持ちであることがほぼ判明した点、そして騎士たちの鎧に関するスタンスの違いも大きな見どころ。父の鎧を継げなかった創磨や黄金騎士のファンであるオビがハガネであることにどこか劣等感を持っていそうな中、流牙やイグスは鎧に対する上下関係ない“誇り”を語る様子にグッときました。一見弱そうなハガネも立派な騎士の鎧であることを示してくれるのは視聴者としても嬉しいところ。本作は「ハガネであることへの誇り」を抱く物語になるのかもしれませんね。

 

 

  • 破滅の門にまつわるものについて

 本作の課題である破滅の門の情報や、ゴドウに関する謎も見逃せません。破滅の門こそ最古のゲートであるこそは1話から語られていましたが、今回明かされた伝承から当時の悲惨さが読み取れました。そして破滅の門を封印した先人たちの努力を賞賛し、門の破壊を誓う流牙に惚れ惚れしてしまいます。破壊は難しいからこそ先人は封印することしか対処出来なかったのではないか?と思うところはあるものの、悲劇の根本を元から正そうとする姿勢は見事の一言。「やるしかない」と言い切る流牙の頼もしさには視聴側も元気づけられますね。

 そんな流牙の才覚や人格を賞賛するゴドウについても気になるところが多かったです。今回イグスが言及したようにゴドウの失踪と破滅の門の活性化のタイミングはほぼ同時……3年前にゴドウが何かしらをしたのではないかと疑うのも無理はないかと思います。ただメタ的に見るとここでそのことを仄めかした結果、逆にゴドウはシロかもしれないと思えてきましたね。ここまでの回想シーンから心優しい人物であることがわかりますし、彼が裏切り者になるところはあまり想像出来ません。むしろ破滅の門がこれ以上開かないように必死に抑えていて身動きが取れずにいる、なんて真実があるかもしれません。創磨があそこまで尊敬する父親のことを、個人的にも信じてやりたいところです。

 

 

 余談ですが、1話で助けた一般人が今回物乞いをいじめる様子、それを眺めながらも使命を貫く流牙の姿勢も目に焼き付きました。あまりにも胸糞悪いので苦い顔をするコヨリの気持ちもわかる一方、それでも人間を守ることに疑いを見せない流牙が素晴らしかったですね。『闇を照らす者』で滔星のような外道に苦しめられながらもこれを言い切る説得力、『劇場版 -GOLD STORM- 翔』で阿号に言い切った「守るに値する光」を彷彿とさせるものにファンとしては歓喜で胸がいっぱいになります。流牙好きとしても結構嬉しい、ニヤリとくるシーンになっていましたね。(それはそれとしてクレアシティの治安は結構悪いと思う

 

 

 ではまた、次の機会に。