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牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者 第4話「傷(きず)」感想

共に戦う仲間として

賀集利樹が鬼気迫る表情でカネカネ叫んでいるだけで何かじわる件

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  • 孤独な青年に教えるは使命と絆

 イグスの心無い言葉に憤る創磨の様子から始まった今回の牙狼ハガネ。味方に剣を向ける創磨に最初ハラハラさせられましたが、流牙の言葉で剣を下したりムツギ法師に剣を預けたりと冷静さを見せてからは一転してホッとしました。父親への発言は許せないものの、自分の非も認めるくらいには頭を冷やせているようで安心です。一方で自分の不甲斐なさに打ちのめされているような態度には胸が痛みますが。
 創磨を守ってくれたゴドウ、今の創磨を見守るコヨリ&ムツギ法師と彼の関係性も印象的。かつて閃光剣舞習得の鍛錬で闇に呑まれかけたという過去(そんな危険な技だったんだなアレ……*1)も判明し、創磨が自分の未熟ぶりに焦りや恐怖を抱いていることが読み取れました。止めてくれる父親がいない今、創磨はまた暴走して誰かを傷つけてしまうことを恐れているのかもしれませんね。妹と母親のように何も言わずとも寄り添ってくれるコヨリたちの想いとは裏腹に、孤独に戦っている彼につい同情してしまいます。

 そんな力に怯える創磨に対し、流牙が厳しくも優しい言葉をかけてくれるシーンが素晴らしかったです。彼の苦しみを理解したうえで自ら立ち上がる機会を与えるだけに留める塩梅も絶妙でした。また牙狼シリーズ共通のテーマである「守りし者の想いは受け継がれることで“永遠”となる」の要素を感じさせる流牙の語りは興味深かったですね。この辺りは上述の創磨のことを考えると「戦っているのはお前だけじゃない」「共に力を合わせて戦うんだ」という“絆”を暗に教えているのでしょう。魔戒騎士としての使命と仲間の存在を改めて学んだことで、次回創磨が立ち上がってくれることを期待したいところです。

 

 

  • 親しみと誇りのハガネ

 今回はもう1つ、前回に引き続きアゴラの三剣士たちの描写が大きな見どころとなっていました。冒頭からみんなで食事の準備をして、囲んで料理を食べる様子にほっこりさせられましたね。出来上がった肉のスープのような料理が普通に美味しそうだったこと、みんな美味しそうに食べていることから見ている側もお腹が空いてくるシーンだったと思います。(あとロンの玉ねぎのみじん切り捌きがあまりにも上手くてびっくり)他にもその食事で関係を深めるパートも素敵で、どんな相手にも対等な流牙にオビが呼び捨てになるまでのくだりが微笑ましかったです。これから共に戦う仲間としての絆を深めていく過程は安心感がありますね。

 そしてクレアシティでのロンとオビの会話も見逃せません。オビがガロのような称号持ちの騎士になりたいことを零す一方で、ロンのハガネのままでいたい姿勢には中堅騎士としての達観したものを見ました。この辺りは「ハガネだけでも重いのに、他の鎧はもっと重そうだ」と一見中年の情けない感じの物言いながら、今の自分への“誇り”も感じられましたね。鎧に上も下もない、ハガネもしっかりとした騎士であることを示した前回と合わせて感慨深いものがあります。上昇志向の若いオビと今のままでも十分だと言い切れるロン、それぞれのキャラクターがわかりやすく伝わってくるちょっとした名シーンと言えるでしょう。

 

 

  • 金の亡者に巣くう陰我

 今回登場したホラーの描写ですが、謎のブラック企業の社員が全員憑依されるという異例の絵面にギョッとすることになりました。先ほどまで電話をかけまくっていた社員がいつの間にかホラーとなって蠢く光景は、さながらゾンビ映画を観ているかのようです。これは果たして敵の黒幕が狙って仕掛けたことなのか、それともたまたまこの会社の人たちの陰我がホラーを呼び寄せてしまったのかも気になるところ。ラストシーンに小さく映った電話主の「Unknown(アンノウン)」がまた意味深です。

 さてこのホラー一斉憑依のくだりですが、社員たちを詐欺のテクニックを教える「風祭(かざまつり)」の徹底指導シーンが妙に面白かったですね。怒声のような大声でマルチ商法(?)の心得を教えながら、詐欺の電話をかけて金を稼ぎまくれ!と指示する様はまさに悪徳企業そのもの。それがまとめてホラーになった後も魔界語でカネカネ叫びながらウロウロするものですから一転してシュールになってきて笑えてきます。ホラーに憑依されることで、文字通り金の亡者になってしまったといったところでしょうか。

 その風祭を演じた賀集利樹さんについても個人的には注目したいところ。かつて『仮面ライダーアギト』で主人公を演じた俳優さんが、ホラーかつ悪役としてここまでの存在感を放っていることには特撮オタクとしてニヤリとくるものがあります。(あと上述のUnknownにもフフッときたり)『華衛士F8ABA6ジサリス』のデジールなど、最近は特撮で敵キャラを演じるようになった賀集さん*2の演技力に改めて惚れ惚れさせられる一幕でもありました。

 

 

 というわけで4話の感想でした。3話と同じく箸休め的エピソードであった一方で、創磨やロンたちそれぞれの抱えるものや人となりが読み取れる非常に趣き深い回だったと思います。2話続けてホラー相手に戦っていないため少々物足りなく感じるところはありますが、称号持ちではない一般騎士とはどういったものなのかが細かく描かれているのは好印象。上述の食事シーンなど、和気あいあいとした様子のおかげで彼らに愛着が湧いてきました。本作は創磨たちを騎士としてだけでなく、1人の人間として親しみが持てるように丁寧に描写してくれていると思いますね。

 そして次回はホラーが蔓延するオフィスビルでの総力戦が開始される模様。ここまでアクションが大人しめだった分、大量のホラー相手との大規模バトルが展開されるようです。イグスたちアゴラの三剣士の鎧召喚も予告で確認出来ますし、彼らの活躍にも期待出来ますね。創磨の再起も含め、次回が実に楽しみです。

 

 

 ではまた、次の機会に。

*1:この辺りは「闇を制する」という閃光剣舞の使い方が判明したことで、闇を力に変えた流牙がそれを習得出来たのも納得がいく説明にもなっていたと思う。

*2:最もジサリスで演じたデジールは一概に悪役とは言い切れないキャラクターではあったが。