ダイヤモンドボウイは砕けない
ボウイとカイザどちらにも尊みを感じて困る困らない
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- 修羅と化した怒れる皇子
2週間ぶりとなるデュエマWINは引き続きカイザにスポットが当たりましたが、ボルシャックとの絆を見せつけた前回とは打って変わって彼の傍若無人な面がこれでもかと発揮されていました。火文明の太陽だけでなくマイハマの太陽までも取り込み力を増大させるボルシャックはともかく、力を手にして高らかに笑いつつも険しい表情を見せるカイザの姿はかなり衝撃的です。そのうえ仲間であるはずのD4を前にして突き放す態度を取ってきたのはショックでしたね。
挙句の果てにはD4解散という、自らの居場所を壊すような真似までしてくるので終始愕然としっぱなしでした。前回母の形見であるはずのジオラマを燃やして時点で怪しかったものの、まさかここまでするとは思ってもみなかったです。これまでの出来事を無意味だったと言い切り、全て捨ててしまおうとするカイザに悲壮感を覚えずにはいられません。ただD4関連の回想シーンにロクなのがなくて見ていて気が抜ける点はどうにかならなかったんですかね。
何と言いましょうか、今のカイザは使命感と怒りで我を忘れていると捉えていいかもしれません。「憎き邪神を倒すためには力以外のものは不要」とばかりに切り捨てる様子は、悪い意味で復讐者としてのやけっぱちな精神そのものです。しかもその復讐を果たせるだけの力を手に入れてしまったのがタチが悪いですね。なまじ優秀すぎる故に、全て自分とボルシャックだけで解決すればいいと思考をロックしてしまったと捉えてもいいでしょう。周りに頼らず必死に大人になろうとした若者の成れの果てがこれだと思うと、中々に切なくなってきます。
- 光輝く精神で憧れを超えろ!
カイザが色々とヤバい中、1人立ち上がったボウイの奮起が今回の大きな見どころ。カイザに真正面から向かい説得に臨む姿からもう胸にくるものがありました。(他のD4の面々が項垂れる中で「情けない」と叱咤するシーンもここすきポイント)カイザの身を案じ、彼を前にしても怯まずに止めに入る辺りに今の彼の強さが伺えます。それもこれもボウイがD4を抜け、デュエル・ウォーズでの戦いを勝ち抜いてきたからこそ。上述の通りD4やデュエル・ウォーズを無駄だと断じていたカイザと、D4やデュエル・ウォーズでの出来事を経て強くなっていったボウイ。切り捨てた者と得たものを糧にした者の2人の対比は非常に興味深いです。
個人的にはボウイがカイザのことを目標であると同時に「大事な仲間」と言ってくれるシーンが特にグッとくる場面と言えます。思えばボウイはこれまで挫折するたびにカイザのことを想い、彼への憧れを胸に立ち上がってきました。その結果今のカイザと同じ目線に立とうとしているのですから感銘を受けずにはいられません。当初は「この人のようになりたい」から始まったカイザへの憧憬が、まさに彼に追いつこうとすることで結実していっていることを実感させられます。(幼少期のカイザに何度も挑む回想シーンを挟むことで、昔と今の違いを明確に見せているのもグッド)以前と比べても精神的に一皮剝けたことがわかるだけに、ボウイのことを全力で応援したくなりましたね。
- 強き意志に寄り添う堅牢なる剣(つるぎ)の竜
堅(かた)き革命(かくめい) ボルシュゴス 光/火文明 (5)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン
パワー4000
▪️革命チェンジ:アーマード
▪️スピードアタッカー
▪️自分の他のクリーチャーすべてに「ブロッカー」を与える。
▪️メガ・ラスト・バースト(このクリーチャーが離れて、手札、マナゾーン、または墓地に置かれた時、このカードの呪文側をコストを支払わずに唱えてもよい)
「ボルシュゴス・スラッシャー!!」 火文明 (2)
呪文:アーマード・アーツ
▪️自分の山札の上から5枚を見る。その中からアーマードを1枚、相手に見せてから手札に加えてもよい。残りを好きな順序で山札の下に置く。
ボウイ戦にてカイザが《襲撃者 「鎧」ドライブ》からの革命チェンジで繰り出したクリーチャー。アーマードのツインパクトカードの1つです。アーマード・ドラゴンらしい筋骨隆々なドラゴンですが、イラストで特に目を引くのは腕から光輝く剣を現出させている部分。(腕から剣というと個人的には『ウルトラマンメビウス』を彷彿としますね)光や炎から作り出されたであろう腕の剣のビジュアルはシンプルにカッコよく、それでいてボル“シュゴ(守護)”スと防御を意識したネーミングになっているのが面白いところです。
まずクリーチャー面は光と火の多色ドラゴンで、コスト5ながら革命チェンジによって速攻で出せるのが特徴。スピードアタッカーなので手打ちでも即打点となり、かつ《ボルシャック・ヴォルジャアク》といった大型の革命チェンジ持ちアーマードに繋げられる魅力も持っています。そうして革命チェンジなどで場を離れればメガ・ラスト・バーストで下の呪文面を唱えられる点も見逃せません。仮に除去されても最低限仕事出来るので安心ですね。
さらに自分以外の味方にブロッカーを付与する能力も保有。攻撃後無防備になったこのクリーチャーを殴り返しから守ったりと、次のターンの時間稼ぎにもなる防御的な能力です。この付与はアーマードの切り札である《竜皇神 ボルシャック・バクテラス》と被っているのであまり意味はないと思われそうですが、どちらも自分自身への付与は出来ないので並べることでお互いをブロッカー化させられる利点があります。どちらかが除去されてもある程度ケアが可能ということもあり、より強固な布陣を敷くことが出来るでしょう。
そして呪文面はアーマード1枚を探せるサーチ効果。呪文名からして必殺技っぽいけど効果は特に必殺技感がないという……デッキトップ5枚と掘れる枚数の多さもさることながら、《ボルシャック・サイン》や《ボルシャックの古代神殿》といった非クリーチャーのアーマードも持ってこられるのが非常に便利です。アーマードのデッキでは革命チェンジはもちろんのこと、《轟炎の竜皇 ボルシャック・カイザー》などのコンボなどから手札に出したいカードが多いのであらかじめキープしておきたい時に打ってつけの呪文となりえます。コストの軽さから手打ちによる初動として準備しておくことももちろんアリです。総じてアーマードにおける潤滑油としての働きが期待出来る1枚と言えますね。
- 己の“やるべきこと”を為すために
カイザとボウイが激戦を繰り広げる一方、ウィンはデュエル・ウォーズに備えていたシーンも見逃せません。「ボウイが今“やるべきこと”をやっているなら俺も“やるべきこと”をやるだけ」といった旨の発言をしていましたが、これは再開するカイザ戦に向けてデッキ調整など万全の準備をしていくという意味なのでしょう。この時は自分の最善手はこれだと直感的に理解して行動しているようにも見えましたね。他にもボウイの覚悟を感じ取って激励を送る瞬間など、今回のウィンは全体を通してスピリチュアルな面が目立っていた気がします。
そんな中で邪神くんを煽って新たな力を要求してきた時は笑ってしまいました。カイザのボルシャックに対抗するためなのでしょうが、ここにきて邪神くんに「この程度」と挑発して利用してくるクレバーさが何ともウィンらしいです。邪神くんも邪神くんでウィンが自分から力を求めていたことに喜ぶなどチョロい意外と嬉しそうな態度を取っていましたし、改めてこの2人の関係性に不思議な感覚を覚えます。デュエル・ウォーズが再開したあかつきにはその「新たな力」が如何にして発揮されるのか、非常に見ものです。
そして次回はカイザVSボウイの後編。ここまでは割と順調なボウイでしたが、どんな状況でもたじろぐことのないカイザに対しどこまで喰らいついていけるのか少々心配なところ。しかもカイザはついに最強のボルシャックを解き放つようですし、ボウイが勝てるかはかなり怪しいです。(そもそも次回のサブタイに「哀切」とかありますし)とはいえデュエマで勝てなくても心でカイザに訴えかける手はあると思いますし、ボウイにはその辺りに期待したいですね。
ではまた、次の機会に。