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牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者 第6話「眼(まなこ)」感想

惑える幻界へようこそ

鈴村さんの演技がほぼリュウタロスだこれ!

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  • 翻弄の世界を見据える心“眼”

 ゴドウの思念と思われる声を聞いた流牙と、彼について行く創磨がメインだった今回の牙狼ハガネ。前回の大掛かりな戦いを終えても一息つく暇がなく、今度は朱月の夜に開く隻眼の森にて常闇の石を回収する様子が描かれました。破滅の門がある迷宮アリビスに行くのに必要な石が3年に1度しか開かない森に置かれている……という結構面倒な手順(お使いイベントの連続かな?)を踏まなければならない本作の事態に苦笑いしつつ、隻眼の森の描写に唸ることになりましたね。

 何といってもおどろおどろしさと神秘性が混在している森の世界観に惹かれます。薄暗い森の中で蠢く「目玉が付いた葉」は初見ギョッとしますし、それらが襲い掛かってくる絵面もまた新鮮です。その他にも後述の精霊など、単純に綺麗で幻想的ではないファンタジー描写は牙狼ならではと言えますね。シリーズ原作である雨宮慶太氏が描く、奇妙でどこか美しい非現実的な要素も感じられます。そんな雨宮ファンタジーの空気感をある意味で再現したような隻眼の森、個人的には満足度が高かったです。

 その森に暮らす精霊「ラウル」とのやり取りも印象的です。老人のような見た目に反して若々しい声色と子どものような無邪気な性格のギャップがこれまた奇妙奇天烈。(声を担当しているのは鈴村健一さん現在某イサミ大好きロボットの声もやっていますね……)そんなラウルの遊びと称した追いかけっこも見応え抜群で、パルクールのような動きで縦横無尽に創磨を翻弄する姿に目を奪われました。それでいて「光と闇は切っても切れない関係」と意味深な忠告をするなど、幼さと老獪さを併せ持った興味深いキャラクターに仕上がっていたと言えます。

 あとはやはり森の中での「心の眼」の描写や闇に打ち勝つ云々の話も面白かったですね。ベタながら創磨の成長の要因となるものが揃っており、未熟ながらもラウルを捕まえるといった成果をキッチリ出すところに感動しました。(流牙については最後の石の入手で良いところを持っていくのですがこれもまぁご愛敬)ホラーとのバトルとはまた別の、ファンタジー作品としての牙狼の側面が楽しめる回でしたね。

 

 

  • 羨望故に黒く濁る“眼”差し

 流牙たちが隻眼の森を探索していた一方、クレアシティにて新たな陰我の気配が漂っていたのも今回の見どころ。クレアホールというダンスクラブ(?)にて働く「ナオミ」の不遇な扱いにまず胸がザワザワさせられました。この辺りはホールを沸かす女性ダンサーに目を輝かせる姿やどこか不自由な足どりなど、詳細な説明がなくとも彼女の身に何が起きたのかを察せられるように描かれていたのが上手かったです。(言うまでもないことですが、何らかの理由でダンスを続けられなくなったのでしょうね)そのためホールのダンサーたちから心無い言葉を浴びせられるシーンなんかはもう見ていられませんでした。

 「悲劇のヒロイン」「落ちた物を拾うと人生も落ちる」といったワードの数々に加え、同僚にして友人と思われる「マリー」からの仕打ちもとんでもなくキツかったです。個人的には舞台に上げてくれたマリーの態度が、ただの善意からの行動なのか逆に吊るし上げるためにやっているのか判断が付きにくく恐怖を覚えました。ナオミのトラウマ描写と相まって、脱落した相手に向けられる陰湿ないじめのストーリーが後半かなり突き刺さりましたね。

 その結果ナオミがホラーに憑依されるラストがよりショッキングに映りました。ホラーになってからの一言目が「お前を食べたい」など、マリーへの憧れや嫉妬が巡り巡って「相手を食べる」というホラーに行きついてしまったであろう点が何とも切なかったです。非現実的なダンサーたちの世界で、憧れの相手に向ける眼差しがいつの間にか黒く濁り染まってしまう……人がホラーになってしまう過程としては少々悲惨でやりきれない話だったと思います。

 

 

 次回は上述のホラーと化してしまったナオミとの戦闘が開始。流牙や創磨だけでなくアゴラの三剣士も遅れる中、ムツギ法師とコヨリがまず駆けつけて戦うようです。しかし相手の強さは予想以上で、間に合った騎士たちが揃っても歯が立たないとか……予告映像ではオビが追い詰められているシーンも確認出来ますし、かつてない強敵との戦いが繰り広げられるようです。ここまでくると仲間の誰かが脱落しそうな雰囲気ですが、出来ればみんな生き残ってほしいところですね。

 

 

 ではまた、次の機会に。