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牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者 第12話(最終話)「継(つなぐ)」感想

未来に、継(つな)げ

次なる時代の道を、輝き照らせ!牙狼<GARO>!!

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  • 闇を照らし、影の一閃で邪悪を斬る

 ついに始まった牙狼ハガネ最終回は、ムツギ法師の体を乗っ取った誘惑者との戦いからスタート。ガロとハガネの鎧をそれぞれ纏った流牙と創磨のコンビネーションに惚れ惚れする中、誘惑者の意外な強さに驚愕することになりました。誘惑者のブラック小林幸子みたいな見た目に前回の時点では鈍重そうなイメージを抱いきましたが、いざ戦いが始まったら瞬間移動などを駆使してくるので結構驚きでしたね。しかも謎の空間に引きずり込んで拘束してくるわ、ガロの鎧を邪気に染めるわとシリーズのボスキャラらしい「超然的な力で圧倒してくる敵」としての存在を存分に出していたかと思います。

 そんな誘惑者との戦いにハラハラさせられましたが、流牙が闇を乗り越えたうえで「ガロ・闇(オン)」の姿を披露してからは見ているこちらのテンションがマックスに。過去作で多くの闇を乗り越え、力にしてきた流牙が闇を制することが出来たのは当然といえば当然なので、ここにきてそれをハッキリ魅せてくれたのは本当に嬉しかったです。何より「流牙といえば黒い牙狼」というイメージが個人的にはあるので、満を持して牙狼・闇を活躍させてくれたことに心が躍りますこの“光と闇が両方そなわり最強に見える”ビジュアルが最高に良いんでよねはい。

 そしてゴドウがかつて話してくれたもう1つの奥義「閃影剣舞」で誘惑者を倒す瞬間も最高でした。閃光剣舞の対となる技と説明されていたように、閃光剣舞のエフェクトをそのまま黒や紫に置き換えたような映像は中々にクール。一目で「光を闇に変えて力とする技」であることが伝わってきますし、元々閃光剣舞のカッコよさに惚れ惚れしていた身としてもそのバージョン違いのような技に惹かれるものがありました。邪気という形でガロの鎧を闇に染めようとしていた誘惑者を、逆に闇を制した技で倒すシチュエーションのカタルシスも相まって最高にカッコよかったですね。

 

 

  • 受け継がれた2つの刃の剣舞

 誘惑者を撃破し、残るは破滅の門のみという状況の後半戦。門そのものがヤマタノオロチの如き複数の首を持った怪物と化した中、流牙と創磨の2人による閃光剣舞で決着をつける展開にまたもやテンションが上がりました。ある程度予想していたこととはいえ、いざ創磨が父親の技を使うとなると興奮しますね。過去の失敗がトラウマになっていた彼が、流牙や魔導輪イルヴァ、コヨリの言葉で「自分には闇を乗り越える力がある」ことを自覚していく流れは個人的にも結構好きなシーンです。

 まさに期待通りの流れだった一方、予想外だったのが流牙のハガネ装着。ガロの鎧が邪気で使えなくなった状況で、敢えてイグスが遺した剣と鎧を借りることで決戦に向かうシチュエーションには度肝を抜かれました。(1人で複数の鎧を着る例も『炎の刻印』のアルフォンソ以来だったのでびっくり)しかしハガネにスポットを当てた本作の方向性からして、黄金騎士もハガネの力を借りるというのは非常に納得のいく展開でもありますね。牙狼シリーズにおける想いと力を受け継ぐテーマだけでなく「鎧に上も下もない」という流牙自身の言葉を見事に体現してみせているのも素晴らしいです。

 そうして2人のハガネの騎士による閃光剣舞の迫力は凄まじいものでした。中でも注目したいのがそれぞれの手前にザンゴとガロの鎧がオーラのように現れる演出ですね。このオーラはザンゴの登場に関しては創磨がゴドウと共に戦っているようにも、また創磨がザンゴの鎧をまとっているようにも捉えられるようになっているのが秀逸。「ハガネの誇りとしてハガネのまま戦い抜く」ことを貫きつつ、「父親から受け継ぐ」構図もこなしてみせたことには感銘を受けました。創磨にはハガネのままゴドウの意志を継いでもらいたいと思っていたので、それを期待以上の形で魅せてくれた最終決戦の演出は大満足の一言です。

 

 

  • “原点(ハガネ)”を継ぐ者

 破滅の門の封印を果たし一件落着してからエピローグへ。ゴドウたち亡くなった仲間の英霊が見守ってくれている様子に微笑みつつ、破滅の門そのものの破壊ではなく共存の道を選んだ先人の想いを語るシーンが目に留まりました。これはつまり破滅の門の破壊は不可能=人間の中の陰我が決してなくならないからこそ、それらと上手く付き合っていくということでしょうね。この考えは前回流牙がムツギ法師に訴えかけていた「邪なことを乗り越える人間の強さ」にも繋がっていることが感じられます。

 そしてその想いを胸に、「守りし者」としての使命と想いを受け継いでいくことを創磨がようやく理解したのも喜ばしい話です。上述の戦いを含め、未熟な若者がしっかりと教えを受け取って成長してみせた様子に目頭が熱くなります。人がいる限り陰我は消えないことに悩んでいたムツギ法師に対してのアンサーにもなっており、人間を信じる心を次の世代へ繋いでいくことこそ闇や陰我に立ち向かうための最も大切なことであることが伝わってきました。

 あと個人的に感心したのは、流牙がこれらの考えを「ハガネの心」と表現したことですね。1話冒頭でザルバが語っていた「ハガネこそが魔戒騎士の原点。全てはここから始まった」を考慮すると、このシーンにおけるハガネとはまさに上述の「守りし者の考え」ということなのでしょう。何故戦うのか?何故人を守るのか?という疑問に対し、ハガネのみで戦っていた頃の“原点”に振り替えるべきことが語られているのだと思います。そうして鎧の力だけでなく、騎士や法師としての想いの大切さを受け継いだ者たちこそ、本作のタイトルにもある「ハガネを継ぐ者」というわけですね。最後に創磨がその言葉で締めてくれたおかげで、大いにスッキリさせられるラストでした。

(余談ですが、ED後の流牙が持っていたのは莉杏から貰ったものでしょうか。最後の最後で彼女の存在をしっかり匂わせてくれているのはありがたいですね

 

 

 というわけで牙狼ハガネ最終回の感想でした。いやぁ駆け足ながら見事な大団円だったと思います。前半でガロ闇を期待通り活躍させ、後半はWハガネで決着する二段構えのクライマックスには本当に驚かされました。牙狼の出番でファンを満足させたところで番組タイトルの意味を成すのは中々に上手いと感じます。特に最後の最後で閃光剣舞とハガネの合わせ技を、創磨が成し遂げるシチュエーションは感動ものです。

 また魔戒騎士にとってハガネとは何か?という視聴者の疑問に対し、守りし者が戦い理由の原点という答えを出してみせたラストも最高。序盤からハガネの存在についてじっくり描いてきたところで、ハガネである誇りなどと組み合わせてこの結論を出してきた時は本当に感心しました。牙狼シリーズ特有の受け継ぐテーマにも沿っており、騎士の鎧の称号などに縛られない話としても非常に頷かされるものになっていたと言えます。本作はまさに流牙やコヨリたちも含めた「ハガネ(原点)」の物語だったんだなぁ……だったのだろうとつくづく思いますね。

 

 そして本編終了後の特殊EDの豪華さなどもあって、終わりの余韻も非常に良かったです。演者1人1人のシルエットと名前のクレジットが表示される演出は、アメコミ映画のEDのようで映画を1作見終わった時のような満足感がありました。

 もちろん1クールという短さ故にアッサリ気味だったのもあり、もう少し見ていたかったという気持ちもあります。とはいえその短さで重要な部分を端的に、素早くこなしたからこそのこの感動的な最終回に最終回に辿り着けたとも感じているので、まずは無事完結したことを感謝したいところ。何より久々に本格的な牙狼が見られて、本当に嬉しかったです。そんな感謝の想いを胸に、最終回感想の筆を置きたいと思います。

 

 

 さて最後に総評ですが、当ブログの恒例としてこちらは後日個別の記事として投稿予定。そちらで評価点や不満点、自分なりの本作への受け止め方などを改めてまとめるつもりです。ここまで読んでくれた皆様も、総評の方も読んでくれると嬉しいです。

 

 

 ではまた、次の機会に。