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仮面ライダーガッチャード 第29話「この村は泣いている」感想

護り守られる奇妙な話

「仮面ライダーのキックなら温泉を掘り当てることが出来る」とかいうパワーワードに震えよ

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  • コミカル&シュールな解決劇?

 前回の続いて九ツ村を襲う謎の怪事件を追うことになった宝太郎たち。しかし冒頭から村長が犬神家やってるわ、地上げ屋も謎のポーズで被害に遭うわとシュールなシーンのオンパレードで笑いが止まりませんでした。加えて加治木も突然金田一耕助染みたビジュアルと仕草で名探偵気取りを始めるので、畳みかけてくるギャグの応酬に腹筋崩壊しまくってしまった印象です。中でも加治木がさっきまで慕っていたスターシャイン星野を犯人扱いしてから、村人が加治木ごと監禁されるくだりのテンポの良さなどは本当に愉快でしたね。

 その後も村長たちを襲っている犯人「キュウビマルガム」の存在からお狐様の社に向かうまで、長い階段を登る宝太郎たちのヘトヘト具合にまずほっこりさせられます。(異様な長回しと明らかにアドリブ込みのやり取りがまたおかしかったです)極めつけの「ライダーキックで温泉を掘り起こす」展開には困惑しつつも、ここまで視聴してきた分すんなりと違和感なく見ることが出来るパワーがあったと思います。この辺りのコミカルな要素が普通に受け入れられている、ガッチャードという作品の懐の深さを再確認した気分です。

 

 

  • お狐様は見ている

 それでいてケミーたちの目的、そしてキュウビマルガムの意外な正体に関する話も興味深かったです。キュウビマルガムが普通のケミーとは異なる可能性が劇中でも語られていましたが、社に祀られているお狐様そのものがマルガムと一体化していたというオチはあまりにも予想外かつ衝撃的でした。ただ人間の悪意といった感情がケミーをマルガムにする設定を考慮し、人間のお祈りという感情が長い時間の中でお狐様に込められたことでマルガム化が可能になったと考えるなら納得ではあります。(異様に強かったのも神様ならあり得るかも……?となったり)

 そしてナインテイルをはじめとしたケミーたちが村を救うためにここまでやってのけた話にも大いに頷かされました。妖怪騒ぎやコズミックケミーがスターシャイン星野の元に集まった件も、全ては村おこしを狙ってケミー同士で協力しあったのでしょう。人騒がせなやり方でしたが、あくまで善意で行動するケミーらしいと言えます。(神様が地上げ屋はともかくそれ以外を襲った辺りは、やる気のない者や部外者に容赦がない荒神的な部分が表出したものだと考えられます)まさに村を見守ってきた神様が、ケミーと一緒に起こした奇妙な事件だったわけですね。

 あとはキュウビマルガムの戦闘シーンですが、2度目のプラチナガッチャードでの戦闘が結構ド派手でカッコよかったですね。ケミーを一緒に撃ち出して繰り広げる空中戦の迫力は、プラチナガッチャードとキュウビマルガムそれぞれの拮抗した戦力差も相まって見応えがありました。この辺りの空中の映像の面白さは流石田口監督といったところです。

 

 

  • 祖母と共に足並み揃え

 トンチキな要素以外でも、心が暖かくなる展開が多かったのも今回の特徴。何といっても蓮華と民子お婆ちゃんのやり取りに癒されました。前回の時点でお婆ちゃんの孫娘に過保護な部分が目立っていましたが、かつては怖がりだった蓮華のことを想っているが故の行動だとわかりほっこり。あの蓮華先輩にもそんな時代があったことに顔がほころびつつ、お婆ちゃんの溺愛ぶりが読み取れました。心配性すぎて多少うっとおしいところはあるものの、この人にとって孫はいつまでも可愛い存在であることが伝わってきます。年配の人たちからしたらどんなに大きくなった孫も可愛い孫のまま、というのはあるあるなので個人的にも実感が湧いてきますね……

 そのうえで蓮華が守られるだけではない、お婆ちゃんを守る力を発揮してみせたのが素敵でした。キュウビマルガムが作り出したこのロリコンどもめ!の人目玉の怪物相手に果敢に立ち向かう姿に、マーキュリンをはじめとしたコズミックケミーたちが力を貸してくれる構図がまたカッコよかったです。大切な人のために奮起出来る、蓮華の度胸と心の強さが現れたと言えるでしょう。さらに事件解決後、蓮華がお婆ちゃんをおんぶしようとして失敗して一緒に歩くラストで、2人の間に対等な関係とも言える新しい一歩が刻まれたのを感じました。祖母が孫をおんぶして始まった物語が、成長した孫が祖母と並んで歩くことで終わる話の美しさにウルっとさせられますね。

 

 

 というわけで29話の感想でしたが、ガッチャード特有の「はじめはコミカルかつシュールだったのにいつの間にか良い話になってる」ノリを堪能出来て大満足。肩の力を抜いて視聴し、終わるころにはちょっと感動させられるこの展開の心地よさは流石といったところです。間でりんねとアトロポスのシリアスなやり取り(アトロポスが罪を償ったうえで普通に生活することを望むりんねが優しくて好き)を挟んで本筋を進めながらも、しっかり単発エピソードとしてカオスながらも成立させる展開は個人的にも非常に好み。改めてガッチャードの面白さというものを実感した次第です。

 あとはスターシャイン星野ですが、前回と比べると影が薄いまま出番が終わったことには笑ってしまいましたね。特に活躍らしい活躍もなかったのでアイツ何だったんだろう……?という印象が強いですが、まぁ田口監督の趣味だったのだろうと納得は出来ます。何だかんだで加治木とのコンビは健在のようですので、また何らかの形でこのハイテンションぶりを披露してほしいところです。

 

 

 そして次回は宝太郎のクラスにある美少女が転入。しかも彼女は宝太郎の幼馴染という特大の青春要素の持ち主だというのですから驚きです。しかも演劇部の「ロミオとジュリエット」の演目で2人がそれぞれ主演と……りんねを巻き込んだ三角関係が勃発しそうな予感がしますね。(予告画像などで確認出来るりんねの真顔が既に怖い)暗躍するアトロポスも巻き込んで、このアオハル展開はどんな波乱を呼ぶのでしょうか。

 

 

 ではまた、次の機会に。