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2024年映画簡易感想 その1

 

 

 2024年になってからそろそろ半年が過ぎようとしています。もう半年!?と驚きを隠せないものの、1月からの記憶を巡ると結構色々あったかもしれないと感じますね。この約半年の間に、アニメや特撮・ドラマや漫画など本当に様々な作品に触れて楽しんできました。

 その中でも映画は個人的にも重要な趣味。今年は個別で感想を書いた作品が多いですが、それ以外にもいくつか映画を観てきました。今回はそんな映画の感想をまとめていくので、よろしければお付き合いください。

※ここから先は映画の内容に触れているのでネタバレ注意!!

 

 

 

 というわけで以下、今回の映画感想です。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 


映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)

 言わずと知れた『ドラえもん』の春映画。今年はタイトル通り「音楽」がテーマになっており、のび太たちが演奏しながら冒険を繰り広げていくストーリーが特徴的な作品となっています。さらにドラえもんなだけあって宇宙人との交流あり、ひみつ道具を使った謎解きパートありとSF(すこしふしぎ)な要素もバランスよく混ざっており、例年と同じような感覚で見ることが出来ました。

 本作についてはやはり演奏シーンが最大の魅力。ファーレと呼ばれている音楽を力とする「惑星ムジーカ」の住人たちのために奏でていくのですが、要所要所で奏でられる音楽の軽やかさなどは見事の一言です。劇中の様々な場面、例えば会話の最中でも流れる様はまさにアニメオペラといったところ。それらが映画館の大音響が遺憾なく発揮される映画として仕上がっているのもポイントで、本作に限っては見応え以上に聴き応え抜群という楽しみ方が生まれていたと思います。(それでいて本作の敵である「ノイズ」によって、無音の宇宙の恐怖が描かれていたのも映画館ならではで面白かったですね)

 流れる音楽も「運命」や「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」から「猫ふんじゃった」まで、学校の音楽の時間などで一度は聞いたことがあるであろうチョイスで何度もこの曲は!といった反応が出来ました。そして極めつけはタイトルにもある「地球交響楽(シンフォニー)」ですね。地球の人々の生活風景がそのまま音楽になっただけでなく、テレビアニメのOP主題歌の1つ「夢をかなえてドラえもん」のメロディが流れた時は大興奮しました。生活の中で生まれる音や聞き覚えのある楽曲など、身近な音を合わせることで地球のメロディとして完成するクライマックスの盛り上がりは半端ではなかったです。

 それでいて演奏の上手さだけでなく、“楽しむ”姿勢を重視しているのがドラえもん映画らしくて素敵でしたね。リコーダーも上手く演奏出来ないのび太はまさにその要素を担っており、仲間たちが演奏の上達していく中で1人だけ置いて行かれる焦りや恐怖を克明に描いている辺りに親近感を覚えました。その分ムジーカ星人の「ニッカ」と出会い、彼女の力になりたい一心で練習に励むのも予想通り。その過程でみんなと時にぶつかり合いながらも、協力して演奏していく様子に心が暖かくなります。多くの人たちがイメージするのび太の成長と共に、“音”を“楽しむ”という意味での音楽を表現していくストーリーがわかりやすく魅力になっていたと思います。

 他にも上述にもある通り、ドラえもんの定番であるひみつ道具とそれらが関わる伏線・布石の描写も見逃せません。中でも「あらかじめ日記」が大きく関わっており、物語の発端にして勝利のキーアイテムという両方の側面を持っていたのが興味深かったです。家を忘れた宿題を焦って取り組むのび太が書いた日記の内容が、そのままノイズとの決着を付けるまでの道筋になっていたのが痛快でしたね。加えて「時空間チェンジャー」という新しい道具を関わっているのが衝撃的で、音が存在しない宇宙をまるごとのび太の家の浴槽に召喚することで音を響かせるタネ明かしには膝を打ちました。リアルな問題や恐怖を、荒唐無稽なひみつ道具で解決するくだりはまさに求めていたドラえもんの作風だったので満足度も高かったです。

 といった風に音楽の新鮮さといつも通りのドラえもんらしさの両方が詰まった両作でしたが、その一方で物語の展開そのもの冗長さが気になる作品でもありました。まず「ファーレの殿堂」を音楽で再生させていくメインパートですが、それぞれの場所で一通り演奏するくだりを何度も見せられるので少々退屈に感じる部分もあったと思います。また地球の歌姫「ミーナ」からキーアイテムの縦笛を貰うまでのやり取りも、彼女とミッカの関係性などを説明するのが長いうえ、状況が危機的なので悠長に感じる部分もありましたね。しかし良くも悪くも音楽要素が重視されているので、音楽への造詣や知識、それらが好きな人ほどのめり込めるものとして評価したいところです。

 

 

劇場版ブルーロック-EPISODE 凪-

 週刊少年マガジン連載のサッカー漫画『ブルーロック』の外伝。チームVのエースとして猛威を振るった凪誠士郎を主人公に据えたスピンオフ漫画のアニメ映画化として、以前から気になっていた凪と相棒の玲王との関係性にフォーカスしたストーリーが見事に展開されていました。2人の出会いとチーム結成を知り、気だるげで面倒くさがり屋な凪の視点からブルーロックでの戦いが再構築されていく様子には大いに見入りましたね。ブルーロック開始以降の物語は本編と同じなのですが、潔や馬狼といった対戦相手の異常性が客観的に映されていたのも興味深かったです。

 そんな本作の魅力はやはり凪がサッカーの面白さを知り、新たな自分を発見する過程でしょう。はじめは玲王に半ば無理やり連れてこられたサッカーの世界に、上述の異常な相手との出会いを経て変わっていくまでの様子が丁寧に描かれていました。まずブルーロックに入る前の高校サッカー部の様子は怠惰そのもので、玲王にお世話されっぱなしの様が何ともおかしかったです。この辺りはまさにチームVの頃の凪と同じで、何でも自分の想像通りになるからこその退屈に包まれているのがわかりました。

 その想像の範疇の日々がブルーロックによって打ち壊され、理解出来ない状況の連続に覚醒していくくだりが見逃せません。特にチームZとの試合以前の、他チームとの試合それぞれが印象に残りました。最初こそいつも通りやろうと思えば何でも出来た中で、チームXの馬狼の必死さに未知の感覚を覚えていくのが面白かったですね。潔よりも先にサッカーに必死な生き物を見てきたからこそ、異質な彼との出会いが衝撃的だったのだという説得力が生まれていました。それ故満を持してのVSチームZとの激戦にて、サッカーに夢中になる自分を得る瞬間に改めて感動を覚えます。絵心が劇中で言っていた覚醒の意味を当てはめるならば、まさに凪はサッカーによる自分を知って覚醒したのでしょう。

 そうして徐々に人間味あふれていく凪の成長とは対照的に、彼と玲王とのすれ違いは結構若者の苦々しさに溢れていましたね。凪とのコンビで天下を取ろうとしていた玲王の彼に対する固執が本編以上に描かれており、ずっと隣にいると思っていた相棒が離れる瞬間の切なさには胸が締め付けられました。それでいて現状に満足しかけている玲王に対して、凪は上述のように上昇志向になりつつあるのですからこうなるのも必然、と思わせてくるものがあります。(この辺りの玲王の描写は「あでぃしょなるたいむ」でフォローが入ったのが嬉しかったポイント)変わっていくことに対して凪は高揚し、玲王は焦燥を覚える対比も絶妙で、彼らの微妙な関係性には目が離せなかったです。

 他にもおバカな斬鉄の人の良さなどが描かれたりと、本編の裏側の魅力が多かったこの映画。それだけに二次セレクションがダイジェストで終わってしまったのが残念でなりませんが(潔が抜けた後のあのチームを見たかった……!)、その分一次セレクションでの凪の描写に力を入れていたので何だかんだ満足のいく内容となっていました。ラストにU-20日本代表との試合直前の瞬間も見られましたし、テレビアニメ2期の方も俄然楽しみになってきましたね、

 

 

Vシネクスト 特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター

 2004年に放送されたスーパー戦隊シリーズ第28作目『特捜戦隊デカレンジャー』の続編短編。デカレンジャーは『10 YEARS AFTER』や『ギャバンVSデカレンジャー』など多くの続編が作られており、20周年の新作ラッシュが続く中で制作されるのはほぼ予想通りでした。そんな続編の内容を端的に表すとデカレンジャーの明るく痛快な一面が重視されており、前述の続編がシリアス気味だった分余計にコミカルに感じましたね。約50分という短い時間ということもあり、それくらい気軽なノリで見やすくなっていたのは非常にありがたかったです。アクションに関してもお馴染みの名乗りやデカレンジャーロボの出動など、外せないポイントはしっかり押さえているので見応えも抜群でしたね。(ただ「特捜戦隊!!」の直後の頭部のサイレンが鳴るシーンがなかったのはちょっと惜しかったです)

 そんな本作のストーリーはデカレンジャーたちの“この先”を考えさせるものになっていたのが印象的。何と言ってもバン/デカレッドが後進の育成に力を注いでいるのが驚くべきポイントで、歳をとって落ち着いた彼の変わりようは感慨深いような、どこか寂しいような気分にさせられました。それ故ホージー/デカブルーの叱咤激励で生涯現役を貫く瞬間、いつも通りのバンに戻るくだりは興奮ものでしたね。同時に地球署のメンバーが抱える後輩が次々別の部署に移っていく悩みも、そんな熱い先輩たちの背中を見て育っていくという結論に繋がっていくのが面白いところです。丁寧に後輩に立場を譲るよりも、前に出てついてこい!とばかりの勢いがデカレンジャーらしさというのも大いに納得させられます。

 その育成論に当てられた後輩の「江戸川塁(えどがわ・るい)」も本作の見どころ。どこか不愛想でそっけない、生意気な後輩といったキャラクターは個人的にかなり刺さりました。(それでいて事件被害者への温和な対応などから、決して冷徹な人物でないことがわかるのもここすきポイント)そんな塁の視点から地球署の自由でぶっ飛んだノリが描かれるのも特徴的で、一般人目線だと彼らがどれだけ変なのかを改めて見せてくるくだりにクスっとさせられます。そこから塁の失敗から様々なことを学ぶまでの展開もあるので、最終的に彼への好感を抱ける構成になっていたと思います。その一方で敵に騙されかけてから挽回の機会が得られず、バトルの場面でもバンに持っていかれたのは残念なポイント。どうせなら『キングオージャーVSキョウリュウジャー』のようにWデカレッド!!といった揃い踏みを披露してほしかったです。

 あとは以前から告知されていた高知県での地方ロケもありましたが、高地に行くくだりがあまりにも強引で笑ってしまいましたね。高知城や桂浜水族館といった観光地を延々と巡るパートが異様に長く、高知県のプロモーションのあからさまな部分が何とも言えない味わいになっていたと思います。(ただ高知の植物園に登場した協力者のリドミハ星人は宇宙人差別などの問題にも触れていて結構好きですね)出演者の高知県町おこしの一環でもあるのはわかるのですが、そこら辺の導入がちょっと雑なのは気になってしまうところ。ただこうしたザックリとした部分も平成ゼロ年代の戦隊らしさもあるので、個人的には好意的に受け止めたいですね。むしろデカレンジャーの1エピソードとして、変な特別感なく楽しめる1作に仕上がっていたと思います。

 

 

 上でも書きましたが、もうすぐ2024年の半分が終わろうとしています。時が経つのは早いもので、あっという間に駆け抜けた気分になってきますね。(そう思うのは単に僕が歳を取っただけなのかもしれませんが……)この調子だと年末もあっという間かもしれないと思いつつ、その間に観れる映画のこともしっかりと考えていく所存です。

 

 

 ではまた、次の機会に。