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メタレド的、印象に残った2023年アニメキャラ10選

 

 

 2024年も早いことで3月を迎えました。今現在多くの人が様々な冬アニメを視聴し、来月に控えている春アニメの期待もしていることでしょう。かくいう僕もアニメに限らず、多くの作品を糧にしている真っ最中です。

 ただその前に、例年同様に昨年のアニメ作品の中から印象に残ったアニメキャラについて書いていきたいと思い、今回筆を取りました。新年からバタバタと忙しく中々手につかなかったからこそ、今のうちに片付けておきたいと考えています。既に2024年アニメのモードに入っている人たちにとっては本当に今更な記事になってしまいますが、読んでいただければ幸いです。

 

metared19.hatenablog.com

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↑これまで書いた記事については上を参照。

 

 さて各キャラについての話に映る前に、昨年同様ルールの説明をば。上にもある昨年の記事に描いたルールに少々付け加えたものになります。というのも配信などの形態でテレビ放送が遅れるアニメが増えてきた現在、どうやって今年のアニメと判断するかを考える必要が出てきたからですね。そのため今回からルールは以下の通りになりました。

 

  • 2023年以内に国内でのテレビ放送または映画上映がされた作品(再放送などは含めない)
  • 2023年以前に配信されたり、海外で放送された作品でも上の条件を満たしていれば2023年アニメと含める。
  • 筆者が内容を8割以上視聴した作品
  • 当ブログで感想で書かれた作品

 

 そしてここに作品のテーマの理解や各キャラの造形、何より筆者の好み(←最重要!)など細かな条件を加えて10作品からそれぞれ10キャラを選びました。一般的な視聴者の好みとは大きく異なる・筆者の趣味が大きく入ったものになりますが、ご了承ください。

 

 

 というわけで以下、印象に残ったアニメキャラ一覧です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルガルド・ボナ・パレッティア:『転生王女と天才令嬢の魔法革命』

 トップバッターは『転生王女と天才令嬢の魔法革命』よりアルくんことアルガルド。(初っ端からメインではなくサブキャラという変則的な選出になってしまいましたがどうかご容赦を)本作は普通に百合アニメとして楽しむつもりで視聴したのですが、話が進むにつれ仄暗い世界観とそこに暮らすアニスフィアやユフィリアたちのお労しさの方に注目するようになってしまいました。その中でもアニスの弟アルくんの抱える事情や問題の数々に目が離せなくなったほどです。

 1話でのユフィリアとの婚約解消、その後のレイニへの仕打ちなど最初こそ間抜けな美少年かと思いきや、話が進むうちに切れ者にして狂気的な側面が徐々に露になっていくのが印象的。そして最後には姉のアニスに対する愛情の深さと、彼女を認めない国への憤りに胸を痛める一面が明らかになった時は内心声を上げてしまいました。国の連中が固執する魔法への嫌悪など、魔法に憧れるアニスとの対比も相まって実に痛々しく思えてきます。極めつけは魔法を「呪い」とする発言や姉を貶める自分の存在すら憎む姿勢で、姉が大好きなだけでここまで苦しむことになったその境遇に同情が止まりません。

 ユフィリアのおかげで姉弟での殺し合いは避けられてアルくんも無事になったものの、結局アニスとの真の和解は果たされなかったのも辛かったですね。姉と弟、それぞれ互いの心情は何となく理解出来たであろうにそれが共有されず、彼だけが廃嫡の末路を辿るのはあまりにも救いがなさ過ぎます。そんなお労しさMAXなアルくんが本作で最も印象に残りました。しかし聞いたところによると原作ではこの後送られた辺境である程度救われているようなので、機会があればチェックしておきたいですね。

 

 

有馬かな:『【推しの子】』

 続いては昨年大いに話題となりアニメ2期の放送も控えている『【推しの子】』より有馬かな。「10秒で泣ける天才子役」→「重装を舐める天才子役」→重曹ちゃんというあだ名をファンに与えられたある意味での愛され(?)キャラです。割と面倒くさい性格をしていながらも弄られキャラが確立されつつあり、劇中での報われなさも妙にくせになります。※筆者は原作漫画の続きも読んでいますが、ひとまずアニメ1期の範囲でのみ語ります

 そんな重曹ちゃんことかなですが、彼女に関してはストイックな性格に反した自虐的な面が目に付きますね。演技力だけでなく歌もダンスも得意で自分を売り出す努力を欠かさないのに、如何せん自分を過小評価しがちな様子が1期全体を通してこれでもかと描かれています。子役時代の旬を過ぎ売れ残ってしまったトラウマ故に、自身の力を当の本人が信じられずにいる姿が絶妙に痛々しかったです。ルビーのようなわかりやすいアイドル気質のヒロインが隣にいたのも、彼女の自信のなさに拍車をかけていたものと思われます。

 しかしアクアとの再会とB小町への誘いが徐々にかなの力に変わっていったのが大きな注目ポイント。11話での「アンタの推しの子になってやる」発言の決意に満ち溢れた姿は一転して活力に溢れていました。この辺りからかなの本当の実力は凄まじいこと、本人が果てしないやる気と尊大なまでの自信を持っていれば輝くことが存分に描かれていたと感じています。天才子役だった頃の自分は最強なんだからみんな私を見ろ!!とも言うべきわがままな面を持ち続けてこその有馬かな本来の魅力。そこに彼女自身が気付けるのかという問題も含めて2期での重曹ちゃんの活躍が楽しみです。

 

 

エラン・ケレス(強化人士5号):『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

 毎週放送されるたびに何かしらの関連ワードがトレンドに上がり、その都度話題になった『水星の魔女』。主人公のスレッタやそれ以上に活躍していた気がするグエルなど魅力的なキャラが多くみんな甲乙つけがたいのですが、個人的に最も印象的だったのはエランもとい強化人士5号でしょうか。しかしエランというと1クール目に出ていた強化人士4号のショッキングな最期とオリジナルのエラン・ケレスもあって、その後に出てきた5号のチャラいキャラクターには当初あまり慣れずにいました。

 しかし2クール目が始まって以降は、5号の軽薄さの中に隠れた「生き残るための執念」に似た一面を目撃して徐々に好きになってきましたね。ガンダム・ファラクトに乗りながらもパーメットを使用せず乗り切ろうとしたり、自分の身が危なくなるとみるやシャディク側に逃げ込んだりと徹底して保身に走る様子には笑いつつも気に入ってしまいました。(「こっちは本気出したら死ぬんだよ」と陰で毒を吐くシーンが地味に好き)ガンダムという作品でここまで生存意欲が高いキャラは珍しいと感じたので、一周回って清々しさすら覚えます。

 そんな自分の命優先で終わるキャラならまだそこまで印象的ではなかったのですが、20話でのノレアに対する言葉の数々でこれまた度肝を抜かれることに。それまでのねっとりとした喋り方ではなく、必死に訴えるような熱い声でノレアに「生きてもいいんだ」と言ってくれるシーンは衝撃的ながらグッときました。上でも書きましたが、命が容易く失われがちなガンダムシリーズにおいて生きることの貪欲さを魅せてくれたのは中々に興味深いことだと思います。最終的に何だかんだで生き残って、ノレアが遺した絵の湖を探しに出かけるラストがより彼の生き方を映えさせていましたね。生きるか死ぬか、ではなく“生きてこそ”を語ってくれたエラン5号は、ある意味でガンダムの「死の呪い」を破ってくれたのだと考えています。

 

 

アヌビス(シリウス):『贄姫と獣の王』

 筆者のお気に入り少女漫画の1つ『贄姫と獣の王』。多少駆け足だったものの原作で必要な部分を2クールで見事にまとめた良きアニメ化だった本作からは、王様(レオンハート)に仕える宰相アヌビスを選びました。原作の頃からのお気に入りキャラでもあるので完全な趣味枠の選出ですが、アニメでの活躍も印象深いので問題ありません多分きっとメイビー。

 このアヌビスをというキャラのイメージを一言で表すなら「意地悪な姑ポジション」でしょうか。王様の妻となった主人公・サリフィを認めず、彼女の活躍をあの手この手で妨害してくる様子はまさにシャクに触るタイプのキャラ。それでいて目論見が上手くいかずラントといった奴らには度々ナメられるので、ヘイトが溜まらずに済むいい塩梅の嫌がらせ担当に仕上がっていたと思います。何より人間に対する偏見や嫉妬にに凝り固まっていた彼が、サリフィとのやり取りを経て王夫婦の理解者へとなっていくのが素敵でした。

 しかしアヌビスの真骨頂は王への敬愛と忠誠心。幼少期に守ってくれた王様のために、嫌われ者になろうとも支えていく覚悟を決めた彼の姿は個人的にはかなり響きました。周囲が言いにくいことも口にし時には王の意向にも背く、イエスマンではない王に仕える者のあるべき形を体現していたと思います。特に終盤のセトの反乱の際にも味方を欺き、土壇場で王様を立てるシーンは最高にカッコよかったですね。最後にはそんな彼の頑張りを王様が理解し、再びわかりあえたのですから感動が止まりません。姑キャラと理想の従者、この二面性こそアヌビスの魅力と言えるでしょう。

 あとは余談ですが、アニメの次回予告ではよくオチ担当になっていたのも面白かったですね。ヨルムンガンドに「私のことなど放っておいて王を助けに行け!」と言って本当に置いて行かれるオチには爆笑してしまいました)基本的にコミカルな予告のコントで弄られポジションが多かったからこそ、上述のアヌビスの見方がより定まっていったと思います。

 

 

雷門瞬:『星屑テレパス』

 秋に放送されたきららアニメ『星屑テレパス』は、話題にこそあまりならなかったもののよく出来た作品でした。人と繋がることを恐れる主人公の海果がロケット開発をきっかけに壁を取っ払い、仲間たちと一歩を踏み出す過程は本当に素晴らしかったです。しんどい部分も多いけど、だからこそそれを乗り越えた瞬間のカタルシスが最高に心に響く作品だったと思います。

 そんな星テレで最も筆者の心に残ったキャラと聞かれると、間違いなく瞬(またたき)ちゃんを選びますね。ぶっきらぼうで口も悪いけど、不器用故の優しさや可愛さも併せ持つ非常に魅力的なキャラに仕上がっていました。何よりどこかフワフワしていた海果のロケット作りが、彼女の介入によって地に足が付いたものに変わっていく感覚が興味深ったです。機械弄りに慣れておりロケット制作の経験もある瞬だからこそ、楽しいだけではないロケット競技の危険性や怖さ、そして記録を出すことの難しさも伝わってきました。

 それでいて瞬自身はその責任感と自己肯定感の低さが問題として描かれていたのが見逃せないポイント。自分が頑張って結果を出さなければ仲間になる資格はない……と自身を追い詰める様子は見ていて胸が締め付けられるものがありました。海果とはまた別に人と関わることに恐怖を抱き、それ故に周りを傷付けてしまうどうしようもなさが見ている側の心にも大きな痛みを残していったと思います。そんな居場所を求めるものの立ちすくんでいた瞬の臆病な一面があったからこそ、海果たちのおかげでその輪に戻ってこれた時は涙が止まらなかったです。瞬の存在はまさに本作の面白さを大きく引き上げてくれていたと言っても過言ではありません。

 また瞬に関しては何かと絡むことが多かった遥乃との関係もいいですね。包容力に優れた遥乃との凸凹コンビで終わるかと思いきや、瞬が彼女の「本気になっていない」ことを指摘する回には衝撃を受けました。そこから先の感情をむき出しにした遥乃とのやり取りを考えると、これもまた彼女たちに取って必要なシーンだったと言えますね。そんな両者の関係性は本当に見事です。みんな、またはるはいいぞ……!!

 

 

秋里コノハ:『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』

 秋のオリジナルアニメの1作『16bitセンセーション』は、1990年代から2010年代のギャルゲー(エロゲー)をはじめとしたサブカルチャーを知る人に大きな衝撃を与えてくれた作品でした。筆者自身知っている作品の名前がチラホラ出てくることもあり、視聴中「これも出てくるの!?」と何度も耳を疑ったものです。当時のオタク文化を楽しんだ身ほど刺さる、そんな狭い範囲ながら絶妙なアニメだったと思います。

 そんな本作の主人公・コノハは良くも悪くも自分の“好き”に対するパワーに満ち溢れた少女。自分が描いたキャラをゲームで出したい!という目的を持ちながら、現代の職場では満足した仕事を貰えない。タイムリープ(タイムスリップ)した先の過去でも昔の製作環境に苦戦したりと彼女自身が持つ“情熱”を発散させることが出来ない……と有り余った体力の使い道に悩む中学生みたいなやかましさがありました。それでも過去で出会ったアルコールソフトのゲーム制作に関わり、充実感を得ていくことで周囲を振り回していくのがまた可愛らしかったと言えます。そのうえでマモルの98(PC-9800)愛を肯定するなど、基本的に好きに対する情熱がある点にも好感が持てました。

 その情熱でアルコールソフトが抱えた借金という危機を乗り越えるものの、そのために制作した「ラスト・ワルツ」によって未来が大きく改変されてしまう辺りからコノハのさらなる受難が始まったのも特徴的。衝動的な行動を繰り返した結果、取り返しのつかない事態にまで発展してしまったのは思春期の過ちというテイストがあって何とも趣深いです。(当人たちに取ってはそんなこと言っていられる状況ではないのですが)しかし自分たちの選択の大きさを思い知ってしまった後も、それをさらに良い方向に変えていこうとする姿勢に感心させられました。自身の記憶の消滅の危機やディストピアめいた制作環境を前にしても自分の好きなもののために一貫していくコノハのブレなさにはある種尊敬の念を抱きますね。時代から取り残されたモノに対しても“自分はこれが好きだ”と叫び続けられるコノハは、まさに本作の主人公に相応しかったのだと改めて感じます。

 

 

フリード:『ポケットモンスター(2023)』

 サトシとピカチュウが卒業し大きな転換点を迎えたアニポケ。昨年春から始まった新シリーズではリコという少女を中心に、全く新しい冒険を描いていくストーリーが話題を呼びました。縦軸の強いストーリーやジムバトルが中心ではない展開など、これまでのアニポケの常識を打ち破り新しいことを続々とやり出す内容はシリーズを長く見続けているファンとしても楽しみに注目しています。

 中でも新鮮だったのはライジングボルテッカーズとそれを束ねるフリードの存在ですね。日常やバトルで未熟なリコとロイを守り、エクスプローラーズというガチの強敵たちを相手に戦う頼もしい“大人”として活躍してくれるフリードには大いに驚かされました。過去のアニポケが子どもたちだけの冒険だったからこそ、子どもたちを見守る保護者たちがしっかりいることは衝撃的だったと言えます。豪放磊落なようでいて目上の相手への礼儀もしっかりしており、子どもたちを叱る時は叱る指導者としての優秀さもアニポケではかなり斬新に見えましたね。
 それでいてただの保護者では終わらず、自身の夢などをキチンと持っている点もフリードの魅力。それがわかったのは18話で、現在とは対照的に燃え尽きていたフリードが後にキャプテンピカチュウとなるピカチュウと出会い、情熱を取り戻していくストーリーには感動しました。ポケモン博士(たまに忘れそうになりますけど博士なんですよ)としてあらゆるポケモンを調べ尽くしたと驕っていた自分を恥じ、まだ見ぬ世界へと足を踏み入れていく決意を固める流れは大人の視聴者ほど刺さるものがあるかと思います。子どもたちの夢を支えるだけでなく、自分自身の夢と情熱の世界を持ったフリードは個人的にも大いに憧れる素敵なキャラになりましたね。

 

 

ソーニャ:『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』

 ここからはアニメ映画のターン。まずは毎年恒例の映画ドラえもんですが、この『空の理想郷』はユートピアに見せかけたディストピアの恐ろしさや良いところも悪いところもひっくるめて個性として受け入れる物語が実に素敵な作品でした。「これが僕だからだ!」と断言するドラえもんや、仲間の欠点を愛おしそうに指摘するのび太は個人的にも特に好きな名場面です。そんな本作ではゲストキャラであるソーニャが最も印象の残りました。

 パラダピアを守護するパーフェクトネコ型ロボットという肩書もさることながら、ずんぐりむっくりなドラえもんに対して非常にスラッとしたプロポーションがどこか奇妙で面白かったですね。しかしそれ以上に、礼儀正しい彼がドラえもんとのび太の関係を目の当たりにして徐々に砕けた態度になっていくのが見ていて心地よかったです。その一方でソーニャがかつて主人に捨てられた過去、それ故また捨てられるかもしれない恐怖に怯えている様子はかなり目に焼き付きました。今の主人である三賢人への忠誠を誓う一方で、パラダピアの悪事を暴こうとするドラえもんたちと戦うことになる彼の姿は本当に辛そうでした。

 ポンコツとして捨てられたから、完璧(パーフェクト)でいなければいけない……そんなトラウマからくる強迫観念で動いていた彼だからこそ、最後には友達のために身を投げうつ覚悟を見せる瞬間にほろりとさせられます。友達を得て、それらの歪んだ価値観から脱することが出来たいじらしさが素敵なキャラでした。パラダピアの爆発を受けてもソーニャの記憶チップは無事だったというオチはご都合展開と言われそうですが、ここまで彼に感情移入した身としてはいいだろご都合展開上等だ!と考えますね。(何より「ソーニャとのび太の0点の答案は、偽りの理想郷如きでは焼き払えなかった」と解釈するとエモいです)EDの元気そうなソーニャを見るだけで、本当に良かったと思えます。

 

 

グウェン・ステイシー/スパイダー・グウェン:『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』 

 今回唯一の海外アニメから選んだのはスパイダーウーマンの1人、グウェン。前作『スパイダーマン:スパイダーバース(Spider-Man: Into the Spider-Verse)』ではスパイダーマンになったばかりのマイルスを助けてくれる良き先輩の1人として活躍していましたが、続編のアクロス・ザ・スパイダーバースでは一転、悩める少女として描かれていました。自分の正体を友人や父親に隠し続け、友人・ピーターの死に苦しみ続ける序盤はかなり陰鬱だったと感じています。父に正体がバレて銃を向けられるシーンはもう見ていられなかったです。

 それ故にスパイダーマンのコミュニティに所属し、結果マイルスとの仲も若干拗れてしまうのがまた辛いですね。新しい居場所に固執するあまり、かつての仲間と適切な距離が取れずにいるのは見ていてもどかしくなってしまいます。そもそもの原因であるスポット探しのパートで、任務よりも先にマイルスに会いに行ってしまう辺りが彼女のどっちつかずな問題を表わしていたと言えます。自分の世界(アース)を見限る寸前にまで追い詰められていた、彼女の思春期な暴走と迷走は何とも言えない歯がゆさがありました。

 そのため最後に戻ってきた自宅で、警察官を辞めた父との和解を果たすシーンは感動的なものになっていました。警官ではなく親として娘を見てくれた父に対し、グウェン自身も狭めていた自身の視野を広げていく感覚を覚えました。それを証明するかのように、これまでは暗い色合いで描かれていたグウェンの世界が途端に色づく演出になっていったのも印象深いですね。そしてバンドすらまともに続けられなかった彼女が最終的には「だから自分でバンドを作った」=信じられる仲間と共にマイルスを助けに行くラストは最高の一言です。次回作では吹っ切れた彼女がマイルスと共に多くの世界を救う展開を期待したいですね。

 

 

梓川花楓:『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』

 最後は青春ブタ野郎シリーズより主人公の咲太の妹・花楓(かえで)を選出。花楓に関してはテレビシリーズの頃から思うところがありましたが、彼女が主役の『おでかけシスター』を見たことでそれらの心のしこりを一気に取り除くことが出来ました。そういった意味でも大いに印象に残る作品とキャラクターだったと思います。

 というのも彼女を語るうえで外せない“もう1人のかえで”の存在がチラつくからですね。中学でいじめを受けた花楓が自身を守るために記憶を失い、そうして生まれた別のかえでの方が視聴者としては愛着がある問題がありました。実際筆者自身もテレビシリーズの終盤、花楓の記憶と人格が戻ってきた時は愕然としたものです。本来の花楓が戻ってきたのは嬉しい、けど消えてしまったかえでのことを想うと……そんな複雑な感情を抱えてしまうほどショッキングだったため、花楓のことをどう扱えばいいのか迷う時期もありました。

 しかしそんな想いを抱えたまま本作を観に行った結果、花楓が抱えている苦しみや諸々の想いを知り一気に感情移入することになりました。何といっても兄の咲太と同じ高校に進学しようとした理由が「消えたかえでがノートに書き残した“やりたいこと”だったから」というのがいじらしくて涙が出てきます。視聴者がずっと抱えていたかえでへの感情を、花楓自身もずっと考えていたとわかったのは本当に大きかったです。花楓は自分自身に加えてもう1人のかえでのために頑張っていた、それを理解出来ただけでも涙ながらに嬉しかったです。
 そしていじめのトラウマと必死に戦いながらも受験に失敗し、彼女に合った通信制の道を選ぶ過程も受け入れることが出来ました。かえでのことも忘れられないけど、何より花楓自身の幸せも重要だと劇中の人物・視聴者共に考えさせられる映画だったと思います。テレビシリーズからずっと視聴者の頭の片隅に残されていた花楓とかえでの問題に対し気持ちの整理をつけさせてくれた点として、本作は本当に素晴らしかったです。

 

 

 というわけで各アニメキャラについてのコメントでした。また例によって長々と書いてしまいました。昨年のものより文章量を抑えようと試みたつもりですが、いざ書き始めると難しいものです。しかしその分各キャラへの想いを書き綴ることが出来たとは思うので、個人的には結構満足しています。

 また今年も10キャラ選ぶのは大変でしたね。惜しくも選ばれず次点となった候補をざっと挙げるだけでも……

 

  • 蜂楽廻:『ブルーロック』
  • モニカ:『スパイ教室』
  • 緒山みはり:『お兄ちゃんはおしまい!』
  • エンリコ・プッチ:『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』
  • ジョナス・アンダー:『シュガーアップル・フェアリーテイル』
  • 籠目原ミカヅキ:『吸血鬼すぐ死ぬ2』
  • トーマス・トーラス/ヒーイズトーマス:『TIGER & BUNNY 2』
  • ちびメカゴジラ:『ちびゴジラの逆襲』
  • 椿ゆかり:『山田君とLv999の恋をする』
  • 志摩聡介:『スキップとローファー』
  • 夏油傑:『呪術廻戦(2期)』
  • ライラプス:『幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-』
  • 修多羅千手丸:『BLEACH 千年血戦篇ー訣別譚ー』
  • シュタルク:『葬送のフリーレン』
  • メガトロン:『トランスフォーマー アーススパーク』
  • 最上静香:『アイドルマスター ミリオンライブ!』
  • フェニックス:『でこぼこ魔女の親子事情』
  • みっちゃん(光山):『ミギとダリ』
  • 覚知山ボウイ:『デュエル・マスターズ WIN 決闘学園編』
  • ゴーハ・ユウナ:『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』
  • 風見バード:『BEYBLADE X』
  • ウルツキ・セリア/マスクレディー:『ガンダムビルドメタバース』
  • 非理谷充:『しん次元! クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜』
  • ラオ(シバ):『SAND LAND』
  • 海原神:『劇場版シティーハンター 天使の涙』
  • 大和田ルイ&ウッコモン:『デジモンアドベンチャー 02 THE BEGINNING』
  • 小林先生(小林宗作):『窓際のトットちゃん』

 

 こんだけいます。こちらに関しても10選の中から選ぶことが出来なかったものの、非常に印象的かつお気に入りのキャラだとここで言っておきたいです。(無論ここに書き出されなかった作品にも印象に残るキャラが存在します)

 というわけで2023年のアニメについては書き終わり、次は今年2024年のアニメキャラにもしっかり目を向けていきたいところ。もうすぐ始まる春のアニメではどんなアニメを見つけられるか、そこで印象に残るキャラはいるのか楽しみになってきます。(現在放送している冬アニメにもいくつか気になるキャラが出てきましたね)そんな期待を胸に抱きながら、今回はここで筆を置きたいと思います。

 

 

 ではまた、次の機会に。